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101.子と母 (斎藤・時尾・夢主)
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「お義父さん、お腹が痛い・・・。」
「武尊、周りを見てごらん、動物達は怪我や病気をした時は寝て治すんだよ。人間も同じなんだ。」
武尊はぼんやり眼を開けた。
どうやら昔の夢を見ていたようだ。
「あの頃はどうして病院へ連れてってくれないんだろうって思ってたけど、病院何かへ行ったらその場できっと捕まって研究所送りだったんだよね、きっと・・・体調が悪い時は寝て治すのが一番って言うけど私のは寝てるだけじゃ、って・・・・・・ん?」
気がつけば外は明るい。
武尊は一瞬自分が何処にいるのか分からなかったが、
「あーっ!」
と、叫び、
「出勤!!」
と言って布団から跳ね起き・・れなくて動きが止まった。
背中の激痛と凄い立ちくらみの所為だった。
「ほら、やっぱり貧血だ・・・血・・・、血が足らない・・・。」
斎藤の危惧した通り武尊は夕飯にも起きてこなかった。
起きたのは翌日の昼前。
上司はとっくの昔に出勤していた。
どうやら制服のズボンを穿いたまま寝てしまったようだと、武尊は上着がないので着流しに着替えた。
朝御飯をもらえるかなぁ、と廊下に出ると雑巾がけをしていた時尾に会った。
「おはようございます、時尾さん。あの・・・藤田警部補は・・・?」
と、分かりきっている事だがとりあえず確認をすると、いつも通りに出勤したとのこと。
(やっぱり。)
落胆する武尊に時尾は掃除を中断して食事を準備してくれた。
本当に上げ膳据え膳とはこの事だと、
武尊はとてもとても感謝して、
「いただきます!」
と手を合わせた。
メニューは、麦飯、わかめと麩の味噌汁、梅干し、と、煮干とカボチャの煮物。
とてもヘルシーだ。
いつもと同じ量の朝ごはんなのに、すでにお腹いっぱいなのに食後に武尊が思ったことは、
(足らない・・・鉄・・・鉄分ちょうだい・・・・それから肉・・・肉・・・。)
だった。
食後に出勤するという武尊に時尾が、
「熱があるのでは、武尊さん。お怪我もされてますから今日はお休みになってはどうですか?」
と気遣ってくれたが、
「これ以上休む・・・っと、いえ、これ以上もとの仕事から離れてると恒常業務が溜まるのでちょっと様子だけ見てきます。調子が悪くなったら早めに帰してもらうようにいいますから大丈夫ですよ。それに今日は制服じゃなくて着流しだもの。なんかこの恰好じゃ、居ずらいしね。あっ・・。」
「どうかしました?武尊さん。」
「いえ、下が包帯じゃあちょっと・・(胸が出るので)さらしあったら貸してくださいませんか?それからすみません、薬を背中の傷に塗るのを手伝って欲しいんですけど・・・。」
「ええ、いいですよ。ではお部屋で待ってて下さい。サラシを持っていきますから。」
パタパタと時尾が出て行ったので武尊も自分の部屋へ戻ってズボンのポケットから貝殻の軟膏を取り出した。
時尾が来る間に武尊は帯を解いて自分のお腹を見た。
刀が横倒しに刺さったと思われる所は赤くみみずばれのようになっていたが傷は塞がっていた。
痛みもほとんどない。
それに比べて背中の方はまだツッパリ感と痛みが残っていた。
いったい後ろはどんな風になっているのだろうか。
鏡で見たいと武尊は思った。
時尾が戻ってきたので袖を肩から抜いて包帯を取ってもらった。
時尾も武尊がどんな怪我を負っているのか内心知りたかった。
包帯の下に現れたのは背中に大きく刻まれた×印。
軟膏と混ざった漿液が滲んでいた。
一瞬、怪我の惨さに時尾が無口になった所、
武尊が、
「時尾さん、背中どうなってますか?まだ痛むんですけど。」
「酷く傷つかれましたね、武尊さん、痛かったでしょう。」
「(死ぬかと思ったぐらいですが。)・・ええ、でも先生は傷は浅いって。」
「そうですね・・、ちょっと深めの切り傷と言ったところかしら。」
時尾はそう言いながら女の背中にこれほどまでの傷を負わせた相手を恨みつつ、薬指で優しく軟膏を塗っていく。
「時尾さん、今塗ってもらってる所以外に傷ありませんか?」
「ええ・・・、ここに丁度一寸大ほどの赤いみみずばれのようなものがありますが、これもお怪我なのですか?」
「あ、いえ・・・ちょっと前の・・へへへ。」
あまり怪我をしたと言えば怒られそうだったので武尊は笑って誤魔化した。
時尾の返答から察するに斎藤さんからの傷は塞がっている。
どうして蒼紫の傷の方は直ってないのだろう?
同じ時に受けた傷なのに。
と、武尊はちょっと引っ掛かったが、
「終わりましたよ。」
と言って新しい包帯を巻いてくれた。
武尊はその様子とじっと見てるうちに、
「時尾さんって優しいですね。」
と、つい口から思っていることが漏れてしまった。
「え?」
と顔をあげる時尾に、
「いえ、時尾さんはいつも優しいと思いますが、・・その、お母さんってきっとこんな感じなのかな・・って思ったもんだから・・。」
と、武尊は小恥ずかしそうに言った。
「武尊さんのお母様の方がお優しくてよ、きっと。」
と、言いつつ時尾はサラシも巻いてくれた。
だが、巻き終わって時尾が武尊の方に向くまで武尊の方から返事がなかった。
「武尊さん?」
「あ・・・、いえ・・・・・・私、養父はいましたけど、父も母もいないので・・・。」
と、言ってしまって武尊はしまった、と思った。
未来でなくても本当の事を言ってはいけない。
ましてこの時代はより偏見が厳しいのだ。
「すみません・・、今のは忘れてください。包帯ありがとうございました、では行ってきます。」
と武尊は時尾に頭を下げ逃げるように職場へ向かった。
「武尊、周りを見てごらん、動物達は怪我や病気をした時は寝て治すんだよ。人間も同じなんだ。」
武尊はぼんやり眼を開けた。
どうやら昔の夢を見ていたようだ。
「あの頃はどうして病院へ連れてってくれないんだろうって思ってたけど、病院何かへ行ったらその場できっと捕まって研究所送りだったんだよね、きっと・・・体調が悪い時は寝て治すのが一番って言うけど私のは寝てるだけじゃ、って・・・・・・ん?」
気がつけば外は明るい。
武尊は一瞬自分が何処にいるのか分からなかったが、
「あーっ!」
と、叫び、
「出勤!!」
と言って布団から跳ね起き・・れなくて動きが止まった。
背中の激痛と凄い立ちくらみの所為だった。
「ほら、やっぱり貧血だ・・・血・・・、血が足らない・・・。」
斎藤の危惧した通り武尊は夕飯にも起きてこなかった。
起きたのは翌日の昼前。
上司はとっくの昔に出勤していた。
どうやら制服のズボンを穿いたまま寝てしまったようだと、武尊は上着がないので着流しに着替えた。
朝御飯をもらえるかなぁ、と廊下に出ると雑巾がけをしていた時尾に会った。
「おはようございます、時尾さん。あの・・・藤田警部補は・・・?」
と、分かりきっている事だがとりあえず確認をすると、いつも通りに出勤したとのこと。
(やっぱり。)
落胆する武尊に時尾は掃除を中断して食事を準備してくれた。
本当に上げ膳据え膳とはこの事だと、
武尊はとてもとても感謝して、
「いただきます!」
と手を合わせた。
メニューは、麦飯、わかめと麩の味噌汁、梅干し、と、煮干とカボチャの煮物。
とてもヘルシーだ。
いつもと同じ量の朝ごはんなのに、すでにお腹いっぱいなのに食後に武尊が思ったことは、
(足らない・・・鉄・・・鉄分ちょうだい・・・・それから肉・・・肉・・・。)
だった。
食後に出勤するという武尊に時尾が、
「熱があるのでは、武尊さん。お怪我もされてますから今日はお休みになってはどうですか?」
と気遣ってくれたが、
「これ以上休む・・・っと、いえ、これ以上もとの仕事から離れてると恒常業務が溜まるのでちょっと様子だけ見てきます。調子が悪くなったら早めに帰してもらうようにいいますから大丈夫ですよ。それに今日は制服じゃなくて着流しだもの。なんかこの恰好じゃ、居ずらいしね。あっ・・。」
「どうかしました?武尊さん。」
「いえ、下が包帯じゃあちょっと・・(胸が出るので)さらしあったら貸してくださいませんか?それからすみません、薬を背中の傷に塗るのを手伝って欲しいんですけど・・・。」
「ええ、いいですよ。ではお部屋で待ってて下さい。サラシを持っていきますから。」
パタパタと時尾が出て行ったので武尊も自分の部屋へ戻ってズボンのポケットから貝殻の軟膏を取り出した。
時尾が来る間に武尊は帯を解いて自分のお腹を見た。
刀が横倒しに刺さったと思われる所は赤くみみずばれのようになっていたが傷は塞がっていた。
痛みもほとんどない。
それに比べて背中の方はまだツッパリ感と痛みが残っていた。
いったい後ろはどんな風になっているのだろうか。
鏡で見たいと武尊は思った。
時尾が戻ってきたので袖を肩から抜いて包帯を取ってもらった。
時尾も武尊がどんな怪我を負っているのか内心知りたかった。
包帯の下に現れたのは背中に大きく刻まれた×印。
軟膏と混ざった漿液が滲んでいた。
一瞬、怪我の惨さに時尾が無口になった所、
武尊が、
「時尾さん、背中どうなってますか?まだ痛むんですけど。」
「酷く傷つかれましたね、武尊さん、痛かったでしょう。」
「(死ぬかと思ったぐらいですが。)・・ええ、でも先生は傷は浅いって。」
「そうですね・・、ちょっと深めの切り傷と言ったところかしら。」
時尾はそう言いながら女の背中にこれほどまでの傷を負わせた相手を恨みつつ、薬指で優しく軟膏を塗っていく。
「時尾さん、今塗ってもらってる所以外に傷ありませんか?」
「ええ・・・、ここに丁度一寸大ほどの赤いみみずばれのようなものがありますが、これもお怪我なのですか?」
「あ、いえ・・・ちょっと前の・・へへへ。」
あまり怪我をしたと言えば怒られそうだったので武尊は笑って誤魔化した。
時尾の返答から察するに斎藤さんからの傷は塞がっている。
どうして蒼紫の傷の方は直ってないのだろう?
同じ時に受けた傷なのに。
と、武尊はちょっと引っ掛かったが、
「終わりましたよ。」
と言って新しい包帯を巻いてくれた。
武尊はその様子とじっと見てるうちに、
「時尾さんって優しいですね。」
と、つい口から思っていることが漏れてしまった。
「え?」
と顔をあげる時尾に、
「いえ、時尾さんはいつも優しいと思いますが、・・その、お母さんってきっとこんな感じなのかな・・って思ったもんだから・・。」
と、武尊は小恥ずかしそうに言った。
「武尊さんのお母様の方がお優しくてよ、きっと。」
と、言いつつ時尾はサラシも巻いてくれた。
だが、巻き終わって時尾が武尊の方に向くまで武尊の方から返事がなかった。
「武尊さん?」
「あ・・・、いえ・・・・・・私、養父はいましたけど、父も母もいないので・・・。」
と、言ってしまって武尊はしまった、と思った。
未来でなくても本当の事を言ってはいけない。
ましてこの時代はより偏見が厳しいのだ。
「すみません・・、今のは忘れてください。包帯ありがとうございました、では行ってきます。」
と武尊は時尾に頭を下げ逃げるように職場へ向かった。