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95.退院報告 (蒼紫・斎藤・夢主)
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病人用の薄い寝間着。
後から武尊が前かがみになるのを見ると布地が背中から腰のラインがわかる。
蒼紫は坦々と武尊の動作を見つめていた。
「よし!」
久しぶりに身に着けたズボンの太ももをパンと叩くと武尊は気合を入れた。
ただし、寝間着は羽織ったまま。
「あの・・、さらしはどうなったんでしょう。」
と武尊が蒼紫に聞くと、
「ああ・・・あれは手当の際に鋏で切ったからもうだめだな。」
と、腕を組みながら言われてしまった。
「・・・わかりました、仕方がないですね、それは。」
と、武尊は答えたものの、
(困った・・、着て帰るものがない。)
と思った。
いっそ、この寝間着をこのまま借りて帰ろうか、そう思った時遠くで
「御免。」
と武尊のよく知る声がした。
「結局声をかけても誰も出てこないじゃないか。」
と斎藤は文句を言いながら煙草を靴底で消すとスリッパをはいて診療所に上がりこんだ。
斎藤は病室の扉を開けた瞬間二人の視線を感じ、すばやくその元を確認すると焦点を武尊に合わせた。
「斎藤さん!」
と、斎藤の顔を見て武尊の明るい声がした。
「具合はどうだ。」
と斎藤は言いつつも武尊が制服のズボンを履いてベッドに座っているのを見て、
「どうした、その恰好は。」
と聞いた。
「退院ですよ、退院の許可が出たんです!よかった、丁度退院の報告が出来て。」
と、武尊が嬉しそうな顔をした。
「それはよかったな。だが上着はどうした。」
と、武尊の横にたたんである上着を見た。
「あ・・・、だってこれ・・・。」
と言いつつ武尊は先ほどと同様に上着を広げて見せた。
見事なまでに斬り裂かれた所から武尊と斎藤は目が合った。
「というわけで、もう一枚新しいの欲しいんですけど・・・。」
斎藤も使い物にならないそれを見て、
「・・・・・・・倉庫係に至急言っておくことにする。」
と言って口をへの字に曲げた。
「あとは恵さんが傷ぐすりを作ってくれてますので出来上がるのを待つだけです。」
と武尊が言ったあと病室は沈黙した。
武尊は斎藤と蒼紫を目で交互に見て、この場の微妙な雰囲気の中声を発した。
「ねぇ・・・前から思ってたんだけど・・・二人とも仲悪いの?」
そんな事をお互いの相手がいる前で聞くか?
と、斎藤も蒼紫も思ったのか一瞬二人とも眼が点になった。
「それからこれも聞きたかったんだけど、神社で何があって二人とも刀抜いてたの?」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
二人とも僅かに開口するがなんと言うべきかを考えると言葉が出ない。
武尊が二人をじっと見るなか蒼紫がようやく、
「仲は良いわけでも悪いわけでもない・・・・・ただ・・・・。」
とまた口をつぐんだ。
「ただ?」
と、武尊が更にじっと蒼紫を見つめると、蒼紫はその視線から逃れるように目を伏せて、
「・・・武尊はその理由を聞かぬ方がよいと思う。」
と言った。
はい?それでは何もわかりませんと武尊は今度は斎藤を注視して答えを求めた。
斎藤は悩んだあげく、
「成行きだ。」
と言った。
「成行き???」
武尊は先ほどより二つクエスチョンマ-クを増やし思わず裏返った声で斎藤に聞き返した。
(成行きで殺し合いをするのかこの二人は?ありえないでしょ!)
すると蒼紫も非常にバツの悪い顔をして、
「成行きだ・・・。」
と言った。
(え?!)
蒼紫までもが斎藤さんと同じことを?!
ちゃんとした理由を話して下さいと、まさに武尊が言おうとした時斎藤が、
「簡単に言えば、今後も武尊が俺の所に残るか四乃森が京都に連れて帰るのかどうするかでもめた結果だ。」
と言った。
斎藤は今これほど煙草を吸いたいと思ったことはないというくらいに武尊の視線から何か他に気が紛れるものが欲しかった。
武尊の目は驚きすぎて目が落ちそうなくらいに見開き斎藤を見ている。
武尊は今の斎藤の言葉を頭の中で何度も繰り返した。
今後私が斎藤さんの所に残るか蒼紫と京都に帰るか・・・・ですって?
そんな事で刀を抜くの?この二人は?
やがて武尊の手がぷるぷると震えだした。
そして
「馬っ鹿じゃない!!」
と病室の窓ガラスが振動するぐらいに武尊の叫び声が響いた。
後から武尊が前かがみになるのを見ると布地が背中から腰のラインがわかる。
蒼紫は坦々と武尊の動作を見つめていた。
「よし!」
久しぶりに身に着けたズボンの太ももをパンと叩くと武尊は気合を入れた。
ただし、寝間着は羽織ったまま。
「あの・・、さらしはどうなったんでしょう。」
と武尊が蒼紫に聞くと、
「ああ・・・あれは手当の際に鋏で切ったからもうだめだな。」
と、腕を組みながら言われてしまった。
「・・・わかりました、仕方がないですね、それは。」
と、武尊は答えたものの、
(困った・・、着て帰るものがない。)
と思った。
いっそ、この寝間着をこのまま借りて帰ろうか、そう思った時遠くで
「御免。」
と武尊のよく知る声がした。
「結局声をかけても誰も出てこないじゃないか。」
と斎藤は文句を言いながら煙草を靴底で消すとスリッパをはいて診療所に上がりこんだ。
斎藤は病室の扉を開けた瞬間二人の視線を感じ、すばやくその元を確認すると焦点を武尊に合わせた。
「斎藤さん!」
と、斎藤の顔を見て武尊の明るい声がした。
「具合はどうだ。」
と斎藤は言いつつも武尊が制服のズボンを履いてベッドに座っているのを見て、
「どうした、その恰好は。」
と聞いた。
「退院ですよ、退院の許可が出たんです!よかった、丁度退院の報告が出来て。」
と、武尊が嬉しそうな顔をした。
「それはよかったな。だが上着はどうした。」
と、武尊の横にたたんである上着を見た。
「あ・・・、だってこれ・・・。」
と言いつつ武尊は先ほどと同様に上着を広げて見せた。
見事なまでに斬り裂かれた所から武尊と斎藤は目が合った。
「というわけで、もう一枚新しいの欲しいんですけど・・・。」
斎藤も使い物にならないそれを見て、
「・・・・・・・倉庫係に至急言っておくことにする。」
と言って口をへの字に曲げた。
「あとは恵さんが傷ぐすりを作ってくれてますので出来上がるのを待つだけです。」
と武尊が言ったあと病室は沈黙した。
武尊は斎藤と蒼紫を目で交互に見て、この場の微妙な雰囲気の中声を発した。
「ねぇ・・・前から思ってたんだけど・・・二人とも仲悪いの?」
そんな事をお互いの相手がいる前で聞くか?
と、斎藤も蒼紫も思ったのか一瞬二人とも眼が点になった。
「それからこれも聞きたかったんだけど、神社で何があって二人とも刀抜いてたの?」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
二人とも僅かに開口するがなんと言うべきかを考えると言葉が出ない。
武尊が二人をじっと見るなか蒼紫がようやく、
「仲は良いわけでも悪いわけでもない・・・・・ただ・・・・。」
とまた口をつぐんだ。
「ただ?」
と、武尊が更にじっと蒼紫を見つめると、蒼紫はその視線から逃れるように目を伏せて、
「・・・武尊はその理由を聞かぬ方がよいと思う。」
と言った。
はい?それでは何もわかりませんと武尊は今度は斎藤を注視して答えを求めた。
斎藤は悩んだあげく、
「成行きだ。」
と言った。
「成行き???」
武尊は先ほどより二つクエスチョンマ-クを増やし思わず裏返った声で斎藤に聞き返した。
(成行きで殺し合いをするのかこの二人は?ありえないでしょ!)
すると蒼紫も非常にバツの悪い顔をして、
「成行きだ・・・。」
と言った。
(え?!)
蒼紫までもが斎藤さんと同じことを?!
ちゃんとした理由を話して下さいと、まさに武尊が言おうとした時斎藤が、
「簡単に言えば、今後も武尊が俺の所に残るか四乃森が京都に連れて帰るのかどうするかでもめた結果だ。」
と言った。
斎藤は今これほど煙草を吸いたいと思ったことはないというくらいに武尊の視線から何か他に気が紛れるものが欲しかった。
武尊の目は驚きすぎて目が落ちそうなくらいに見開き斎藤を見ている。
武尊は今の斎藤の言葉を頭の中で何度も繰り返した。
今後私が斎藤さんの所に残るか蒼紫と京都に帰るか・・・・ですって?
そんな事で刀を抜くの?この二人は?
やがて武尊の手がぷるぷると震えだした。
そして
「馬っ鹿じゃない!!」
と病室の窓ガラスが振動するぐらいに武尊の叫び声が響いた。