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82.ぎりぎりの時間 (斎藤・夢主・恵)
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(*****話は数分前に戻る*****)
パタン。
蒼紫と恵が室内から出て行き扉が閉まるのを見届けると、斎藤はようやく威嚇するような気を解いた。
武尊は寝たままの姿勢で、
「斎藤さん、そんなにトゲトゲしなくても・・・・。」
と、ぼそっと言った。
武尊は斎藤と蒼紫があまり仲がよくないと、薄々わかっていた。
というか、武尊は二人が実際真剣を抜いて斬り付けあったのを目の当たりにした張本人である。
武尊の立場からすると二人がまたこんなに近くにいる事自体が冷や汗ものなのであった。
「阿呆、俺の武尊に傷でもつけられたらかなわん。武尊が誰のものかしっかりあいつに分からせておかないとな。」
と、フンと鼻をならす斎藤を、武尊は上目使いで見上げた。
『俺の武尊』
と、言われて嬉しくない訳がない。
つい口元が緩む。
斎藤はそんな武尊の表情の変化を見てふっ、っと微笑むとベッドサイドの椅子に腰掛けた。
斎藤は武尊の目をじっと見る。
その視線に熱を感じながらも武尊はそんな斎藤の視線を目をそらさず受け止めた。
斎藤はゆっくり覆いかぶさるように武尊の顔に自分の顔を近づけた。
その距離20cm。
斎藤はそこで数秒距離保ち武尊の瞳を射抜くように覗き込んだ。
「斎藤さん・・・。」
と、武尊が斎藤の名を呼ぶと、
「武尊が生きていることを感じさせてくれ。」
と言って斎藤は唇を合わせた。
合わせて、押し付けて、舌を武尊の唇の隙間からねじ込み、口内を探るように舌を動かした。
武尊は自分の唇に斎藤の唇が触れるだけで息が荒くなる。
(ああっ、でも今はだめだ!)
すでにこのままでもくらっとくる。
斎藤の色気とかではなく、明らかに貧血のくらっと感がきた。
「斎藤さんだめっ-!」
と、言ってもすでに口をふさがれているため、
「んんんんっ-!」
というくぐもった声にしかならない。
力の入らない両手で斎藤の体を制止しようとするが無駄であった。
武尊は目の前が真っ暗になろうかというその瞬間、斎藤が武尊の唇を開放した。
「ぅぅぅ・・・・。」
武尊は荒い呼吸を繰り返しながら小さくうめいた。
「よし、生きてるな。」
と、言う斎藤に、
「いや・・・、斎藤さんの所為でまた死にかけたかと思いました。血が足らないんですからあんまり興奮させないでください・・・。」
と、武尊は、まだハアハア言いながら目をつむり、くらくらする額を片手で押さえながら言った。
いつもの斎藤だったらここで、
『ふっ、このくらいで興奮するのか?嘘つきめ、もっと欲しいんじゃないのか。』
とでも言ってやるとこなのだが、流石に自分で武尊をひん死状態にしておいて、あのように血が噴き出るのを見ていたからには、そこまで言うのは気が引けた。
そのかわりもう一つの本音を、
「そうだな、かなりの出血だったからな。武尊がこうやって生きていてくれて・・・・本当によかった。」
と、斎藤は今度は自分の片手を武尊の額の手の上に優しく重ねながら言った。
武尊はゆっくり目を開けると斎藤の顔をみながら、
「斎藤さん・・・・・私・・・あの時、どうなったんですか?」
と、今度は武尊が斎藤の瞳を覗き込んだ。
「私、あの時、間違いなく死んだと思いました。・・・・でも、こうして生きている。」
「斎藤さん、この間話してくれましたよね、十六夜丸って傷を治す力があるって。やっぱり、私、十六夜丸になったんですか?!」
「・・・・嗚呼。」
武尊はあの薬は兄にしか作れない、そう思っていた。
いや、そう信じていた。
斎藤が飲ませたのは、実は味は良く似ていたけど別物だったと、武尊はそう思いたかった。
そうでないと、粉薬がありさえすれば自分はまたいつでも十六夜丸になってしまう。
そんな恐ろしい事、あるはずがない。
と、思いたかった。
だけど、あの太刀傷を受けて命があった自分はやはり・・・・・十六夜丸になったのだろう・・・・。
それでも武尊は斎藤に否定して欲しかった。
でも、帰って来たのは肯定の答え。
武尊は落胆した。
分かっている。
あの傷は普通は死んでいる。
十六夜丸が治してくれなければ私は絶対死んでいた、ということは頭では理解出来ている。
なのに・・・、なのに・・・。
パタン。
蒼紫と恵が室内から出て行き扉が閉まるのを見届けると、斎藤はようやく威嚇するような気を解いた。
武尊は寝たままの姿勢で、
「斎藤さん、そんなにトゲトゲしなくても・・・・。」
と、ぼそっと言った。
武尊は斎藤と蒼紫があまり仲がよくないと、薄々わかっていた。
というか、武尊は二人が実際真剣を抜いて斬り付けあったのを目の当たりにした張本人である。
武尊の立場からすると二人がまたこんなに近くにいる事自体が冷や汗ものなのであった。
「阿呆、俺の武尊に傷でもつけられたらかなわん。武尊が誰のものかしっかりあいつに分からせておかないとな。」
と、フンと鼻をならす斎藤を、武尊は上目使いで見上げた。
『俺の武尊』
と、言われて嬉しくない訳がない。
つい口元が緩む。
斎藤はそんな武尊の表情の変化を見てふっ、っと微笑むとベッドサイドの椅子に腰掛けた。
斎藤は武尊の目をじっと見る。
その視線に熱を感じながらも武尊はそんな斎藤の視線を目をそらさず受け止めた。
斎藤はゆっくり覆いかぶさるように武尊の顔に自分の顔を近づけた。
その距離20cm。
斎藤はそこで数秒距離保ち武尊の瞳を射抜くように覗き込んだ。
「斎藤さん・・・。」
と、武尊が斎藤の名を呼ぶと、
「武尊が生きていることを感じさせてくれ。」
と言って斎藤は唇を合わせた。
合わせて、押し付けて、舌を武尊の唇の隙間からねじ込み、口内を探るように舌を動かした。
武尊は自分の唇に斎藤の唇が触れるだけで息が荒くなる。
(ああっ、でも今はだめだ!)
すでにこのままでもくらっとくる。
斎藤の色気とかではなく、明らかに貧血のくらっと感がきた。
「斎藤さんだめっ-!」
と、言ってもすでに口をふさがれているため、
「んんんんっ-!」
というくぐもった声にしかならない。
力の入らない両手で斎藤の体を制止しようとするが無駄であった。
武尊は目の前が真っ暗になろうかというその瞬間、斎藤が武尊の唇を開放した。
「ぅぅぅ・・・・。」
武尊は荒い呼吸を繰り返しながら小さくうめいた。
「よし、生きてるな。」
と、言う斎藤に、
「いや・・・、斎藤さんの所為でまた死にかけたかと思いました。血が足らないんですからあんまり興奮させないでください・・・。」
と、武尊は、まだハアハア言いながら目をつむり、くらくらする額を片手で押さえながら言った。
いつもの斎藤だったらここで、
『ふっ、このくらいで興奮するのか?嘘つきめ、もっと欲しいんじゃないのか。』
とでも言ってやるとこなのだが、流石に自分で武尊をひん死状態にしておいて、あのように血が噴き出るのを見ていたからには、そこまで言うのは気が引けた。
そのかわりもう一つの本音を、
「そうだな、かなりの出血だったからな。武尊がこうやって生きていてくれて・・・・本当によかった。」
と、斎藤は今度は自分の片手を武尊の額の手の上に優しく重ねながら言った。
武尊はゆっくり目を開けると斎藤の顔をみながら、
「斎藤さん・・・・・私・・・あの時、どうなったんですか?」
と、今度は武尊が斎藤の瞳を覗き込んだ。
「私、あの時、間違いなく死んだと思いました。・・・・でも、こうして生きている。」
「斎藤さん、この間話してくれましたよね、十六夜丸って傷を治す力があるって。やっぱり、私、十六夜丸になったんですか?!」
「・・・・嗚呼。」
武尊はあの薬は兄にしか作れない、そう思っていた。
いや、そう信じていた。
斎藤が飲ませたのは、実は味は良く似ていたけど別物だったと、武尊はそう思いたかった。
そうでないと、粉薬がありさえすれば自分はまたいつでも十六夜丸になってしまう。
そんな恐ろしい事、あるはずがない。
と、思いたかった。
だけど、あの太刀傷を受けて命があった自分はやはり・・・・・十六夜丸になったのだろう・・・・。
それでも武尊は斎藤に否定して欲しかった。
でも、帰って来たのは肯定の答え。
武尊は落胆した。
分かっている。
あの傷は普通は死んでいる。
十六夜丸が治してくれなければ私は絶対死んでいた、ということは頭では理解出来ている。
なのに・・・、なのに・・・。