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93.樹海にあるもの (蒼紫・夢主・恵)
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「夢の中で会えなくてもお墓参りに行けばきっと蒼紫にも彼らが近く感じられるかも・・・。観柳邸って東京にあったんでしょ?だからお墓も東京の近くにあると思うんだけど京都へ帰ってしまったら遠くてなかなか行けないんじゃない?」
「そうだな・・・・墓参りか。」
蒼紫はこんなに早く東京に戻って来るとは自分でも思ってもいなかった。
抜刀斎を追って京都へ向かった時は、再戦後のことなど考えてもなく、今、こうやって自分が生きているとはそれこそ夢にも思わなかった。
生きている自分に出来る事、それは・・・。
「いや、墓参りではなく迎えに行ってやらねば・・・。」
そう言う蒼紫の顔はどことなく憑き物が落ちた顔をしていた。
「蒼紫・・・。」
「苔むした陽も少ない森の奥にであいつらだけを残しても仕方あるまい・・・御頭の俺が連れて帰ってやらねば。」
「・・・そうだね、それがいいと思う。 これからは一緒に京都で暮らせるんだもん、きっとみんな喜んでると思うよ。」
「・・・そうだな。」
蒼紫はふっと口元に笑みを浮かべた。
それを見て武尊もほっとして微笑んだ。
そして武尊は
「いつだったっけ、お弟子さん帰って来るの?」
と、切り出した。
「緋村か?予定通りだと明後日の夜には戻ってくると思うが。」
「じゃあ、早めに蒼紫に神谷道場へ連れてってもらわなくっちゃね。」
「ん?仕事があるんじゃなかったのか?斎藤との約束は一ヶ月と言っていなかったか?」
「うん、まだ一ヶ月の約束は終わってないけど、どうせこの傷ではすぐには満足に仕事出来ないと思うから怪我している間に・・っていうわけじゃないけど一応最初の約束で抜刀斎さんが帰って来たら道場へ顔出してもいいっていう約束だし、できるだけ早い方が蒼紫もいいかなって思って?」
「別に約束の期間が終わるぐらいまでなら待つが・・・。その方が武尊の都合がいいんじゃないのか。」
「ねぇ蒼紫・・・、みんなのお墓ってどこにあるの?森って言ったけど、蒼紫のことだから絶対人が踏み入らないような所にお墓を作ったと思うんだけど・・・もしかして青木ヶ原?」
とすれば、人が入らない森といえば富士の麓の広大な樹海・・・・、蒼紫だったらきっとそこへあの四人を葬ったと武尊は直感した。
「もし富士の麓だったらここよりずっと早く冬が来る・・・だから・・・少しでも早く行ってあげた方がいい。」
「だが・・・。」
「私のことなら大丈夫!ほら!もうこんなに元気になったんだから!」
武尊は背中にピリっと皮膚がつっぱる痛みはあるものの、寝ていた体を起こしてベッドにもたれかかった。
「・・・・・・。」
「それにもともと蒼紫と操ちゃんは日記を届けるのが任務だったし、そのついでに私も届けたらめでたく任務完了!一回顔出ししとけば斎藤さんとの約束が終わってからゆっくり話を聞きにいっても行きやすいかなって思って。」
「それはそうだが・・・。」
「でしょ。私も直に退院するし、蒼紫にずっと付き添ってもらってるわけにもいかないし。」
「・・・俺は別に構わんが。」
「だめ。操ちゃんをほったらかしでは可哀想だし、きっと寂しい思いをしてると思うよ。」
「操は強い子だ。それにもう子供ではない、一人にしておいても問題ない。」
「ちっちっちっ、それとこれとは違うんです。操ちゃんは蒼紫がいれば千人力にもなれるだから。」
「いや・・、だが・・、しかし・・・。」
「私は操ちゃんが心配。いったい毎日どうやって過ごしてるんだろう・・・だって一人なんでしょ?」
「・・実は昨日、俺は神谷道場へいったん帰って来た。操のこともちょっと気になっていたからな。」
「で、どうだったの?やっぱり寂しそうだったでしょ?」
「操が俺に甘えるのは昔からだ。・・・・操には俺の留守中、門下生の面倒を見るように言ってあったのだが操の奴、食事の世話をよその娘に頼っていたようだったので少々指導してきたところだ。」
「門下生?」
「ああ、神谷道場には明神弥彦という門下生が一人いる。元気のいい少年だ。だがこの間の孤島で闘いでかなり手傷を負って武尊同様、食べる以外は伏している状態だ。その門下生の世話を操に任せたのだが、明神弥彦の知合いの娘が牛鍋屋に奉公している娘らしく、その娘の用意した食事に操は世話になっていたという事だ。」
「いや・・・、別にどちらが作ってもいいのでは。」
「否!」
と、即答する蒼紫に武尊はうおっ!と心の中で叫んだ。
「操とてすでに十六、ゆくゆくは葵屋の・・・。」
と、眉をしかめて話し出した蒼紫が急に口を閉ざした。
「蒼紫?」
と武尊が聞くと、
「高荷が来た。」
「え?」
武尊が耳を澄ませば少ししてからパタパタという足音。
「耳・・・いいんですね。」
「そういう訓練を積んできたからな。」
なるほど、と武尊が思っていたらカチャっと扉が開いた。
「そうだな・・・・墓参りか。」
蒼紫はこんなに早く東京に戻って来るとは自分でも思ってもいなかった。
抜刀斎を追って京都へ向かった時は、再戦後のことなど考えてもなく、今、こうやって自分が生きているとはそれこそ夢にも思わなかった。
生きている自分に出来る事、それは・・・。
「いや、墓参りではなく迎えに行ってやらねば・・・。」
そう言う蒼紫の顔はどことなく憑き物が落ちた顔をしていた。
「蒼紫・・・。」
「苔むした陽も少ない森の奥にであいつらだけを残しても仕方あるまい・・・御頭の俺が連れて帰ってやらねば。」
「・・・そうだね、それがいいと思う。 これからは一緒に京都で暮らせるんだもん、きっとみんな喜んでると思うよ。」
「・・・そうだな。」
蒼紫はふっと口元に笑みを浮かべた。
それを見て武尊もほっとして微笑んだ。
そして武尊は
「いつだったっけ、お弟子さん帰って来るの?」
と、切り出した。
「緋村か?予定通りだと明後日の夜には戻ってくると思うが。」
「じゃあ、早めに蒼紫に神谷道場へ連れてってもらわなくっちゃね。」
「ん?仕事があるんじゃなかったのか?斎藤との約束は一ヶ月と言っていなかったか?」
「うん、まだ一ヶ月の約束は終わってないけど、どうせこの傷ではすぐには満足に仕事出来ないと思うから怪我している間に・・っていうわけじゃないけど一応最初の約束で抜刀斎さんが帰って来たら道場へ顔出してもいいっていう約束だし、できるだけ早い方が蒼紫もいいかなって思って?」
「別に約束の期間が終わるぐらいまでなら待つが・・・。その方が武尊の都合がいいんじゃないのか。」
「ねぇ蒼紫・・・、みんなのお墓ってどこにあるの?森って言ったけど、蒼紫のことだから絶対人が踏み入らないような所にお墓を作ったと思うんだけど・・・もしかして青木ヶ原?」
とすれば、人が入らない森といえば富士の麓の広大な樹海・・・・、蒼紫だったらきっとそこへあの四人を葬ったと武尊は直感した。
「もし富士の麓だったらここよりずっと早く冬が来る・・・だから・・・少しでも早く行ってあげた方がいい。」
「だが・・・。」
「私のことなら大丈夫!ほら!もうこんなに元気になったんだから!」
武尊は背中にピリっと皮膚がつっぱる痛みはあるものの、寝ていた体を起こしてベッドにもたれかかった。
「・・・・・・。」
「それにもともと蒼紫と操ちゃんは日記を届けるのが任務だったし、そのついでに私も届けたらめでたく任務完了!一回顔出ししとけば斎藤さんとの約束が終わってからゆっくり話を聞きにいっても行きやすいかなって思って。」
「それはそうだが・・・。」
「でしょ。私も直に退院するし、蒼紫にずっと付き添ってもらってるわけにもいかないし。」
「・・・俺は別に構わんが。」
「だめ。操ちゃんをほったらかしでは可哀想だし、きっと寂しい思いをしてると思うよ。」
「操は強い子だ。それにもう子供ではない、一人にしておいても問題ない。」
「ちっちっちっ、それとこれとは違うんです。操ちゃんは蒼紫がいれば千人力にもなれるだから。」
「いや・・、だが・・、しかし・・・。」
「私は操ちゃんが心配。いったい毎日どうやって過ごしてるんだろう・・・だって一人なんでしょ?」
「・・実は昨日、俺は神谷道場へいったん帰って来た。操のこともちょっと気になっていたからな。」
「で、どうだったの?やっぱり寂しそうだったでしょ?」
「操が俺に甘えるのは昔からだ。・・・・操には俺の留守中、門下生の面倒を見るように言ってあったのだが操の奴、食事の世話をよその娘に頼っていたようだったので少々指導してきたところだ。」
「門下生?」
「ああ、神谷道場には明神弥彦という門下生が一人いる。元気のいい少年だ。だがこの間の孤島で闘いでかなり手傷を負って武尊同様、食べる以外は伏している状態だ。その門下生の世話を操に任せたのだが、明神弥彦の知合いの娘が牛鍋屋に奉公している娘らしく、その娘の用意した食事に操は世話になっていたという事だ。」
「いや・・・、別にどちらが作ってもいいのでは。」
「否!」
と、即答する蒼紫に武尊はうおっ!と心の中で叫んだ。
「操とてすでに十六、ゆくゆくは葵屋の・・・。」
と、眉をしかめて話し出した蒼紫が急に口を閉ざした。
「蒼紫?」
と武尊が聞くと、
「高荷が来た。」
「え?」
武尊が耳を澄ませば少ししてからパタパタという足音。
「耳・・・いいんですね。」
「そういう訓練を積んできたからな。」
なるほど、と武尊が思っていたらカチャっと扉が開いた。