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92.御庭番衆VS夢主 (御庭番衆・夢主・恵・玄斎・蒼紫)
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(なんて恰好悪い自分なんだろう・・・、それにいつからこんなに泣き虫になったんだ。)
武尊は布団の下で堪えようと思ってもこぼれる涙を止められず嗚咽を堪えていた。
そんな時布団の上から
「・・・すまなかった。俺の心の弱さが武尊を苦しめてしまったようだな。」
と、蒼紫が武尊に話かけた。
(・・・・えっ!?)
謝罪の言葉もそうだが、それ以上に蒼紫の後の言葉に武尊は驚いた。
(弱い?誰が?四乃森さんが?こんなに強い人なのに?御庭番衆御頭だったこの人が?斎藤さんにもこっちが冷や冷やするぐらいの口をきくそんな人が?・・・そんな事を言うなんて・・・・信じられない!)
という気持ちに武尊の嗚咽はいつの間にか止まり、武尊は布団の中から蒼紫の様子を伺った。
「武尊、すまなかった。」
再度謝罪の言葉を口にする蒼紫。
「武尊の手は心地がよかった。俺の心の負の部分をすべて溶かし昇華させてしまうような温かい気が流れ込んでくる感じがした。」
武尊は黙って布団の中で蒼紫の言葉を聞いていた。
「だが分かって欲しい・・・俺の中には忘れるわけにはいかない悲しみがあるという事を。俺はこの気持ちまで昇華させることは出来ん。」
その言葉を聞いて瞬時に武尊は蒼紫に傍にいるあの四人のことが頭に浮かんだ。
彼らとは夢の中で言い合いになったけど、彼らがどれだけ蒼紫のことを慕っているのか武尊にも分かるところがある。
「うん・・・・、分かるよ・・・・。」
と、言って武尊は布団からおずおずと顔を出した。
武尊の顔に残る涙の痕。
武尊が、あっ、と思う前に蒼紫の指がその痕をぬぐった。
「泣かせてしまったな・・・・。」
と、蒼紫は優しい眼差しで武尊を見つめた。
そんな眼差しを受け、さっきまで友達終了宣言をしようと思っていた武尊の気持ちがぷしゅ~っとしぼんでいく。
(ずるい・・・本当にずるい・・・。)
自分の心をいとも簡単に変えてしまう蒼紫に武尊は自分自身と蒼紫のどちらに対しても小さく憤慨しながらも、
「私もごめんなさい・・。蒼紫には蒼紫にとって大事なものがあるはずなのに・・そんな気持ちも知らないで勝手に自分の気持ちを押し付けて、そのあげく蒼紫を悪者にして勝手に自分で怒ってた・・・。」
と素直に謝った。
蒼紫は、そんなことはかまわないと柔らかく微笑むと、
「・・・武尊、話しておきたいことがある・・・よかったら聞いて欲しい。」
と言った。
武尊が頷くと、
「前にも少し話したが、俺は公儀隠密御庭番衆の御頭だった。江戸幕府の崩壊後、御庭番衆も奉公先がなくなり十年。多くの部下は日本各地に再就職先を見つけ、俺はそういった一人一人の新たな人生を見送ってきたが最後に四人、どうしても行く宛てが見つからない者がいた。平和な世を生きる術を持たぬ闘うことでしか己を生かせない者達・・・・そんな俺達は闘いを求めてある実業家の用心棒となったのだが・・・。」
「観柳邸事件・・・・・。」
蒼紫は口を挟んだ武尊を驚いた顔をして見た。
「・・・知っているのか?」
「少しだけ・・・、この間斎藤さんが蒼紫の事を『お尋ね者だ』って言ってたから資料室で少し調べたの。」
「・・・そうか。」
「でもそこには武田観柳と阿片の事は詳しく書いてあったけど、蒼紫の事はあんまり書いてなかったから・・・・真実を蒼紫の口から聞きたい。」
「俺を雇った観柳は実業家と言いつつも裏では阿片を製造していたことは知っているな。」
「・・うん。」
「だがそれを作っていた女が逃げ出してたまたま抜刀斎に匿われることになった。観柳は俺にその女を取り戻すように言い、俺は御庭番衆を使い女を奪還したのだが抜刀斎とその仲間が女を取り返しに来た。それを迎えたのが俺達御庭番衆だったのだが・・・・。」
いったん言葉を止めた蒼紫に武尊は
「・・・・・負けたの?」
と聞いた。
そして真剣な顔で蒼紫の顔を見る。
「・・・ああ、伝説の人斬りの強さは噂に違わないものだった。」
と、蒼紫は抜刀斎との戦いを回顧し一瞬だけ眼光を鋭くしすぐにいつもの表情に戻った。
武尊は初めて見た蒼紫の鋭い眼光に武尊は心臓を射抜かれるような思いに駆られたが、そのまま黙って蒼紫の話を聞きながら、どうして勝負がついたのに何故あの四人が命を落とさなければならなかったのかと疑問に思った時蒼紫が、
「だが抜刀斎との勝負がついた時、観柳がガトリングガンを持ち込み俺と抜刀斎に向かって連射をし、その時俺は足を負傷した。まさに観柳に狙い撃ちされようとした時、駆け付けた四人は俺を庇って次々と盾になり命を落とした。」
「・・・・・。」
「その後抜刀斎が観柳を制止たのだがすぐに警官隊が駆けつけてきた為、俺は逃れる際四人の首を落とし森の奥へ隠れ四人を葬った・・・・誇り高き俺の御庭番衆を警察の手に渡すわけにはいかなかったからな。」
蒼紫の握り締めた両手に力が入る。
「俺は御頭としてあのような死に方をした四人を忘れることなど許されぬ。すべてを昇華してしまうような武尊の手が・・・俺は怖かったのだ・・・すまなかった。」
と、蒼紫は悲しみをたたえた顔で少しだけ微笑んだ。
「・・・蒼紫。」
何だ?という眼で蒼紫は武尊を見た。
「般若も・・式尉も・・火男も・・癋見も・・・みんな霊魂となって蒼紫の傍にいる・・・そして今も蒼紫の傍で蒼紫の幸せを願っているよ・・・。」
蒼紫はあの四人の名を呼んだ武尊に驚いた。
「何故その名を知っている、誰から聞いた!」
「・・・夢の中で・・・・さっき会った・・・。」
そんな事言ってもどうせ信じてもらえないだろうと、武尊はぼそっと呟くように言った。
そして武尊は今でもどこかで自分の様子を伺い見ているあの四つの霊魂がどこかに見えないかと目で蒼紫の周囲を探した。
「霊など・・・・。」
と、言いかけて蒼紫は言葉を止めた。
今まで霊など信じぬ、そんなのは迷信だと思っていた。
だが武尊に関しては常識では考えられない事がおきる・・・それが現実、ならば・・・己の正直な気持ちを言うのがよいのだろう・・・。
「そうか・・・・、俺の傍にいるというのか・・・・。せめて俺も武尊のように夢の中で会えるものなら会いたいものだ。」
と言って蒼紫は遠い目で窓から覗く空を見上げた。
武尊は布団の下で堪えようと思ってもこぼれる涙を止められず嗚咽を堪えていた。
そんな時布団の上から
「・・・すまなかった。俺の心の弱さが武尊を苦しめてしまったようだな。」
と、蒼紫が武尊に話かけた。
(・・・・えっ!?)
謝罪の言葉もそうだが、それ以上に蒼紫の後の言葉に武尊は驚いた。
(弱い?誰が?四乃森さんが?こんなに強い人なのに?御庭番衆御頭だったこの人が?斎藤さんにもこっちが冷や冷やするぐらいの口をきくそんな人が?・・・そんな事を言うなんて・・・・信じられない!)
という気持ちに武尊の嗚咽はいつの間にか止まり、武尊は布団の中から蒼紫の様子を伺った。
「武尊、すまなかった。」
再度謝罪の言葉を口にする蒼紫。
「武尊の手は心地がよかった。俺の心の負の部分をすべて溶かし昇華させてしまうような温かい気が流れ込んでくる感じがした。」
武尊は黙って布団の中で蒼紫の言葉を聞いていた。
「だが分かって欲しい・・・俺の中には忘れるわけにはいかない悲しみがあるという事を。俺はこの気持ちまで昇華させることは出来ん。」
その言葉を聞いて瞬時に武尊は蒼紫に傍にいるあの四人のことが頭に浮かんだ。
彼らとは夢の中で言い合いになったけど、彼らがどれだけ蒼紫のことを慕っているのか武尊にも分かるところがある。
「うん・・・・、分かるよ・・・・。」
と、言って武尊は布団からおずおずと顔を出した。
武尊の顔に残る涙の痕。
武尊が、あっ、と思う前に蒼紫の指がその痕をぬぐった。
「泣かせてしまったな・・・・。」
と、蒼紫は優しい眼差しで武尊を見つめた。
そんな眼差しを受け、さっきまで友達終了宣言をしようと思っていた武尊の気持ちがぷしゅ~っとしぼんでいく。
(ずるい・・・本当にずるい・・・。)
自分の心をいとも簡単に変えてしまう蒼紫に武尊は自分自身と蒼紫のどちらに対しても小さく憤慨しながらも、
「私もごめんなさい・・。蒼紫には蒼紫にとって大事なものがあるはずなのに・・そんな気持ちも知らないで勝手に自分の気持ちを押し付けて、そのあげく蒼紫を悪者にして勝手に自分で怒ってた・・・。」
と素直に謝った。
蒼紫は、そんなことはかまわないと柔らかく微笑むと、
「・・・武尊、話しておきたいことがある・・・よかったら聞いて欲しい。」
と言った。
武尊が頷くと、
「前にも少し話したが、俺は公儀隠密御庭番衆の御頭だった。江戸幕府の崩壊後、御庭番衆も奉公先がなくなり十年。多くの部下は日本各地に再就職先を見つけ、俺はそういった一人一人の新たな人生を見送ってきたが最後に四人、どうしても行く宛てが見つからない者がいた。平和な世を生きる術を持たぬ闘うことでしか己を生かせない者達・・・・そんな俺達は闘いを求めてある実業家の用心棒となったのだが・・・。」
「観柳邸事件・・・・・。」
蒼紫は口を挟んだ武尊を驚いた顔をして見た。
「・・・知っているのか?」
「少しだけ・・・、この間斎藤さんが蒼紫の事を『お尋ね者だ』って言ってたから資料室で少し調べたの。」
「・・・そうか。」
「でもそこには武田観柳と阿片の事は詳しく書いてあったけど、蒼紫の事はあんまり書いてなかったから・・・・真実を蒼紫の口から聞きたい。」
「俺を雇った観柳は実業家と言いつつも裏では阿片を製造していたことは知っているな。」
「・・うん。」
「だがそれを作っていた女が逃げ出してたまたま抜刀斎に匿われることになった。観柳は俺にその女を取り戻すように言い、俺は御庭番衆を使い女を奪還したのだが抜刀斎とその仲間が女を取り返しに来た。それを迎えたのが俺達御庭番衆だったのだが・・・・。」
いったん言葉を止めた蒼紫に武尊は
「・・・・・負けたの?」
と聞いた。
そして真剣な顔で蒼紫の顔を見る。
「・・・ああ、伝説の人斬りの強さは噂に違わないものだった。」
と、蒼紫は抜刀斎との戦いを回顧し一瞬だけ眼光を鋭くしすぐにいつもの表情に戻った。
武尊は初めて見た蒼紫の鋭い眼光に武尊は心臓を射抜かれるような思いに駆られたが、そのまま黙って蒼紫の話を聞きながら、どうして勝負がついたのに何故あの四人が命を落とさなければならなかったのかと疑問に思った時蒼紫が、
「だが抜刀斎との勝負がついた時、観柳がガトリングガンを持ち込み俺と抜刀斎に向かって連射をし、その時俺は足を負傷した。まさに観柳に狙い撃ちされようとした時、駆け付けた四人は俺を庇って次々と盾になり命を落とした。」
「・・・・・。」
「その後抜刀斎が観柳を制止たのだがすぐに警官隊が駆けつけてきた為、俺は逃れる際四人の首を落とし森の奥へ隠れ四人を葬った・・・・誇り高き俺の御庭番衆を警察の手に渡すわけにはいかなかったからな。」
蒼紫の握り締めた両手に力が入る。
「俺は御頭としてあのような死に方をした四人を忘れることなど許されぬ。すべてを昇華してしまうような武尊の手が・・・俺は怖かったのだ・・・すまなかった。」
と、蒼紫は悲しみをたたえた顔で少しだけ微笑んだ。
「・・・蒼紫。」
何だ?という眼で蒼紫は武尊を見た。
「般若も・・式尉も・・火男も・・癋見も・・・みんな霊魂となって蒼紫の傍にいる・・・そして今も蒼紫の傍で蒼紫の幸せを願っているよ・・・。」
蒼紫はあの四人の名を呼んだ武尊に驚いた。
「何故その名を知っている、誰から聞いた!」
「・・・夢の中で・・・・さっき会った・・・。」
そんな事言ってもどうせ信じてもらえないだろうと、武尊はぼそっと呟くように言った。
そして武尊は今でもどこかで自分の様子を伺い見ているあの四つの霊魂がどこかに見えないかと目で蒼紫の周囲を探した。
「霊など・・・・。」
と、言いかけて蒼紫は言葉を止めた。
今まで霊など信じぬ、そんなのは迷信だと思っていた。
だが武尊に関しては常識では考えられない事がおきる・・・それが現実、ならば・・・己の正直な気持ちを言うのがよいのだろう・・・。
「そうか・・・・、俺の傍にいるというのか・・・・。せめて俺も武尊のように夢の中で会えるものなら会いたいものだ。」
と言って蒼紫は遠い目で窓から覗く空を見上げた。