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92.御庭番衆VS夢主 (御庭番衆・夢主・恵・玄斎・蒼紫)
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ズン。
低い地響きと同時に診療所が揺れた。
「地震!」
「地震か!」
それぞれ別の部屋で寝ていた玄斎と恵は同時に飛び起きた。
だがそれ以降揺れはなかった。
「気のせい?だったのかしら?」
恵は布団の上で首をかしげた。
「まだ・・・・起きるにはちょっと早いわね・・・もうちょっとだけ・・・・。」
と、恵は布団にもぐりこんだ。
「なんじゃ今のは?儂の気のせいじゃったのかの?」
とまた玄斎も首をかしげながら布団に入った。
(重たい・・・・。)
そう思って武尊は目が覚めた。
すると目の前の、自分に覆いかぶさっている蒼紫と眼が合った。
(やっぱり来てた・・・。)
と、武尊は思った。
(今のいままで御庭番衆と一触即発だった・・・・いや、最後は何だか十六夜丸のせいでまたややこしくなったような気がする・・・、いや、なったかも。)
全くもって嫌な夢だったと、心の中でため息をつきながら武尊はその原因となった人物を見た。
今日の蒼紫はよりによって忍び装束で否が応でも御庭番衆を意識させる。
そしてそんな憂鬱な武尊の気持ちの口から出たのは、
「おはようございます・・・四乃森さん・・・。」
という言葉。
昨日の蒼紫の態度に傷ついた割には社会的な挨拶が出来るものだと武尊は変に自分に感心していると、蒼紫は武尊から体を起こしながら、
「・・・もう、名前を呼んではくれぬのか。」
と、少し沈んだ声で言った。
しばしの沈黙。
武尊は迷っていた。
昨日はあんなに蒼紫に憤慨したのに、武尊がこうしている間も黙って武尊の言葉を待っている蒼紫に対して『もう、友でいるのはやめましょう。』と言えない自分に、なんて気が弱いんだと情けなく思った。
この人はもうすぐ京都へ帰る。
もう、きれいさっぱりお互いを忘れて他人に戻った方が変に期待などして傷つくこともない。
友だと思っていても再びあんなにも簡単に手を振り払われては私はきっと立ち直れない。
だから。
「『もう、お友達は終わりにしましょう。』と言いなさい。」
と、もう一人の自分が傷つかないようにもう一人の自分が語りかける。
(そうだよね、そうした方がいいのかな。)
と、武尊はもう一人の自分に押し切られるようにそう思った。
蒼紫が今まで自分を体を張って助けてくれた事も清算して『ありがとう、さようなら』、と。
武尊はそう言おうと思い口を開きかけたが、そう思うと同時に蒼紫の恩に対し自分が出来るたった一つの蒼紫の願いを無視するのは礼に背くと変な所に律儀な自分が待ったをかけた。
結局長い沈黙・・・・。
その間も蒼紫は武尊を静かに見つめていた。
穏やかな視線。
昨日のように心に壁を作るでもなく。
今までと同じように武尊を見つめる視線。
いや、表情に隠してあるが今までよりも熱を帯びた視線であることを武尊は感じていた。
少なくとも私は傷ついたのに・・・。
それとも世間一般の【友】というのはああやって冷たくするのが常識なのか?
・・・そんなのは耐えられない・・・。
【友】がそういうものなら友などいらない。
沈黙を破り、ようやく武尊の口から言葉が漏れた。
「・・・蒼紫は・・・ずるい・・・・どうしてそんなに、そんな穏やかに私を見ていられるの・・・。」
と、言うと同時に武尊の目から涙がぽろりとこぼれた。
「私は弱いから・・・・突き放すぐらいなら優しくしないで・・・・。」
武尊はそう言うと布団を頭までかぶり鼻をすすった。
低い地響きと同時に診療所が揺れた。
「地震!」
「地震か!」
それぞれ別の部屋で寝ていた玄斎と恵は同時に飛び起きた。
だがそれ以降揺れはなかった。
「気のせい?だったのかしら?」
恵は布団の上で首をかしげた。
「まだ・・・・起きるにはちょっと早いわね・・・もうちょっとだけ・・・・。」
と、恵は布団にもぐりこんだ。
「なんじゃ今のは?儂の気のせいじゃったのかの?」
とまた玄斎も首をかしげながら布団に入った。
(重たい・・・・。)
そう思って武尊は目が覚めた。
すると目の前の、自分に覆いかぶさっている蒼紫と眼が合った。
(やっぱり来てた・・・。)
と、武尊は思った。
(今のいままで御庭番衆と一触即発だった・・・・いや、最後は何だか十六夜丸のせいでまたややこしくなったような気がする・・・、いや、なったかも。)
全くもって嫌な夢だったと、心の中でため息をつきながら武尊はその原因となった人物を見た。
今日の蒼紫はよりによって忍び装束で否が応でも御庭番衆を意識させる。
そしてそんな憂鬱な武尊の気持ちの口から出たのは、
「おはようございます・・・四乃森さん・・・。」
という言葉。
昨日の蒼紫の態度に傷ついた割には社会的な挨拶が出来るものだと武尊は変に自分に感心していると、蒼紫は武尊から体を起こしながら、
「・・・もう、名前を呼んではくれぬのか。」
と、少し沈んだ声で言った。
しばしの沈黙。
武尊は迷っていた。
昨日はあんなに蒼紫に憤慨したのに、武尊がこうしている間も黙って武尊の言葉を待っている蒼紫に対して『もう、友でいるのはやめましょう。』と言えない自分に、なんて気が弱いんだと情けなく思った。
この人はもうすぐ京都へ帰る。
もう、きれいさっぱりお互いを忘れて他人に戻った方が変に期待などして傷つくこともない。
友だと思っていても再びあんなにも簡単に手を振り払われては私はきっと立ち直れない。
だから。
「『もう、お友達は終わりにしましょう。』と言いなさい。」
と、もう一人の自分が傷つかないようにもう一人の自分が語りかける。
(そうだよね、そうした方がいいのかな。)
と、武尊はもう一人の自分に押し切られるようにそう思った。
蒼紫が今まで自分を体を張って助けてくれた事も清算して『ありがとう、さようなら』、と。
武尊はそう言おうと思い口を開きかけたが、そう思うと同時に蒼紫の恩に対し自分が出来るたった一つの蒼紫の願いを無視するのは礼に背くと変な所に律儀な自分が待ったをかけた。
結局長い沈黙・・・・。
その間も蒼紫は武尊を静かに見つめていた。
穏やかな視線。
昨日のように心に壁を作るでもなく。
今までと同じように武尊を見つめる視線。
いや、表情に隠してあるが今までよりも熱を帯びた視線であることを武尊は感じていた。
少なくとも私は傷ついたのに・・・。
それとも世間一般の【友】というのはああやって冷たくするのが常識なのか?
・・・そんなのは耐えられない・・・。
【友】がそういうものなら友などいらない。
沈黙を破り、ようやく武尊の口から言葉が漏れた。
「・・・蒼紫は・・・ずるい・・・・どうしてそんなに、そんな穏やかに私を見ていられるの・・・。」
と、言うと同時に武尊の目から涙がぽろりとこぼれた。
「私は弱いから・・・・突き放すぐらいなら優しくしないで・・・・。」
武尊はそう言うと布団を頭までかぶり鼻をすすった。