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81.川の流れ (蒼紫・夢主・斎藤・恵)
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斎藤が武尊の入院している診療所に着いたのは昼も大分過ぎた頃だった。
斎藤は、ガラっと玄関から入ると、勝手知ったる診療所とばかりにスリッパをつっかけスタスタスタと病室へ向かう。
玄関の開く音がした後、診察室の方を通り過ぎて奥へ向かう足音を不審に思った恵が廊下まで確認しに出ると、すでに奥の方に斎藤の姿が見えた。
「ちょっと!待ちなさいったら。」
と、恵が斎藤の後を追いかけるが斎藤は止まることなく病室へと向かう。
それでもドアノブは少し静かにカチャっと回し斎藤は室内を覗き込んだ。
「武尊。」
斎藤は声をかけるが武尊は寝ていた。
斎藤は壁際で昨日と同じように座禅を組んでいる蒼紫に目を移すと、
「武尊の容体はどうなんだ。」
と、聞いた。
蒼紫は目を閉じたまま口だけ開いて
「昨日より少しは良くなってきているようだ。午前中は少しの間起きて話も出来た。」
と言った。
斎藤はそれを聞いて武尊のベッドに近づくと上から寝顔を覗き込んだ。
そして手袋をした手で武尊の頬にそっと片手を当てた。
すると、
「ん・・・、んん・・・・・。」
と、武尊が身じろいて小さく声を出した。
寝言かと斎藤が思っていると、武尊がをゆっくり目を開けた。
斎藤は瞳の中に自分の姿を映す武尊を見て安堵のあまり、フゥ-、と息を吐いた。
と、同時に武尊が
「斎藤さん・・・・?!」
と、声を出した。
武尊の声に蒼紫が目を開いて武尊と斎藤の方を向いた。
まだかなり頭の中がぼ-っとしている武尊だったが、目の前に斎藤がいる事に驚いた。
「斎藤さん・・、どうしたんですか?お仕事は?」
斎藤は、大丈夫か、と、言おうとしたがそれよりも何も、武尊のしゃがれた声に驚いて、
「武尊、その声はどうしたんだ。」
と、思わず手を引っ込めてそう言った。
「え?これ?あ、私・・・言ってませんでしたっけ。十六夜丸になった後っていつもこうなんです。声が変になるんですよね-。あ、でもこれでも大分よくなったんですよ。大抵はすぐ直るんですけど、なぜか長引いてますね。」
と、言って武尊は斎藤を見上げた。
(斎藤さんの服って、ものすごい煙草の臭いがする・・・。だからか、寝ていて、斎藤さんの煙草の臭いがするなって思ったのは。)
いつもはもうそんなに気にならなくなっていた斎藤の煙草の臭いもクリーンな病院だからよけいに臭いというのだろうか。
武尊は斎藤の煙草の臭いで目覚めたのだった。(ちなみに先回気が付かなかったのは生死をさまよっている状態だったのでそれどころではなかった)
斎藤の後からついてきた恵が蒼紫に小声で、
「ねぇねぇ、十六夜丸になったってどういうこと?」
と言ったがその声は十分に斎藤の耳にでも届き、斎藤はくるっと後ろの二人の方へ向くと、
「仕事の話だ。部外者は席を外してもらおうか。」
と言った。
「まっ。部外者ですって。この前まで剣さんの手を借りといて。」
と恵が怒ってそう言うと、
「勘違いするな。手を借りた覚えはないぞ。お前らが神谷薫を救出するからと言ったからわざわざ船に乗せてやったんだ。」
と斎藤が片手でしっしっと、恵たちを払いのける仕草をした。
「・・・・・・。」
蒼紫は無言で立ち上がると、恵に、
「・・・・出るか。」
と言って恵の帯を後ろから押し退出をうながした。
病室から出る寸前に蒼紫は斎藤を振り返り、こちらをずっと見ている斎藤の視線に一瞬目を合わせるとそのまま扉を閉めた。
カチャリ。
蒼紫がドアを閉めると、恵が、
「どうして私達が部屋を出なきゃいけないの。」
と言うと、
「斎藤にとっては俺達は部外者でしかない。仕事の話とあらば仕方あるまい・・・。」
と言った。
もちろん蒼紫自身も斎藤が仕事の話であるかどうかというのは虚言であるかもしれないという疑惑は持っていたがどうしようもなかった。
それに蒼紫にしても十六夜丸のことは恵に伏せておきたい事項だった。
蒼紫と恵が廊下で待つ間、しばらくすると病室から斎藤の
「阿呆!」
と言う怒鳴り声が響いた。
斎藤は、ガラっと玄関から入ると、勝手知ったる診療所とばかりにスリッパをつっかけスタスタスタと病室へ向かう。
玄関の開く音がした後、診察室の方を通り過ぎて奥へ向かう足音を不審に思った恵が廊下まで確認しに出ると、すでに奥の方に斎藤の姿が見えた。
「ちょっと!待ちなさいったら。」
と、恵が斎藤の後を追いかけるが斎藤は止まることなく病室へと向かう。
それでもドアノブは少し静かにカチャっと回し斎藤は室内を覗き込んだ。
「武尊。」
斎藤は声をかけるが武尊は寝ていた。
斎藤は壁際で昨日と同じように座禅を組んでいる蒼紫に目を移すと、
「武尊の容体はどうなんだ。」
と、聞いた。
蒼紫は目を閉じたまま口だけ開いて
「昨日より少しは良くなってきているようだ。午前中は少しの間起きて話も出来た。」
と言った。
斎藤はそれを聞いて武尊のベッドに近づくと上から寝顔を覗き込んだ。
そして手袋をした手で武尊の頬にそっと片手を当てた。
すると、
「ん・・・、んん・・・・・。」
と、武尊が身じろいて小さく声を出した。
寝言かと斎藤が思っていると、武尊がをゆっくり目を開けた。
斎藤は瞳の中に自分の姿を映す武尊を見て安堵のあまり、フゥ-、と息を吐いた。
と、同時に武尊が
「斎藤さん・・・・?!」
と、声を出した。
武尊の声に蒼紫が目を開いて武尊と斎藤の方を向いた。
まだかなり頭の中がぼ-っとしている武尊だったが、目の前に斎藤がいる事に驚いた。
「斎藤さん・・、どうしたんですか?お仕事は?」
斎藤は、大丈夫か、と、言おうとしたがそれよりも何も、武尊のしゃがれた声に驚いて、
「武尊、その声はどうしたんだ。」
と、思わず手を引っ込めてそう言った。
「え?これ?あ、私・・・言ってませんでしたっけ。十六夜丸になった後っていつもこうなんです。声が変になるんですよね-。あ、でもこれでも大分よくなったんですよ。大抵はすぐ直るんですけど、なぜか長引いてますね。」
と、言って武尊は斎藤を見上げた。
(斎藤さんの服って、ものすごい煙草の臭いがする・・・。だからか、寝ていて、斎藤さんの煙草の臭いがするなって思ったのは。)
いつもはもうそんなに気にならなくなっていた斎藤の煙草の臭いもクリーンな病院だからよけいに臭いというのだろうか。
武尊は斎藤の煙草の臭いで目覚めたのだった。(ちなみに先回気が付かなかったのは生死をさまよっている状態だったのでそれどころではなかった)
斎藤の後からついてきた恵が蒼紫に小声で、
「ねぇねぇ、十六夜丸になったってどういうこと?」
と言ったがその声は十分に斎藤の耳にでも届き、斎藤はくるっと後ろの二人の方へ向くと、
「仕事の話だ。部外者は席を外してもらおうか。」
と言った。
「まっ。部外者ですって。この前まで剣さんの手を借りといて。」
と恵が怒ってそう言うと、
「勘違いするな。手を借りた覚えはないぞ。お前らが神谷薫を救出するからと言ったからわざわざ船に乗せてやったんだ。」
と斎藤が片手でしっしっと、恵たちを払いのける仕草をした。
「・・・・・・。」
蒼紫は無言で立ち上がると、恵に、
「・・・・出るか。」
と言って恵の帯を後ろから押し退出をうながした。
病室から出る寸前に蒼紫は斎藤を振り返り、こちらをずっと見ている斎藤の視線に一瞬目を合わせるとそのまま扉を閉めた。
カチャリ。
蒼紫がドアを閉めると、恵が、
「どうして私達が部屋を出なきゃいけないの。」
と言うと、
「斎藤にとっては俺達は部外者でしかない。仕事の話とあらば仕方あるまい・・・。」
と言った。
もちろん蒼紫自身も斎藤が仕事の話であるかどうかというのは虚言であるかもしれないという疑惑は持っていたがどうしようもなかった。
それに蒼紫にしても十六夜丸のことは恵に伏せておきたい事項だった。
蒼紫と恵が廊下で待つ間、しばらくすると病室から斎藤の
「阿呆!」
と言う怒鳴り声が響いた。