その夜、ずいぶん長い間武尊は座禅に集中していた。



ようやく意識を現実に戻し、やけに身体の調子がいいような気がすると思って武尊が目を開けると暗闇の中に自分が青いオーラで包まれているのが見えた。



（うわっ！座禅しばらくしてなかったけど、なにこのオーラの量！）



と武尊はびっくりした。



酷い怪我をしたからオーラなんか枯渇していると思っていたのに枯渇どころかその量は明らかに増えている。



しかし調子をこいてこのオーラを飛ばすとえらい事になることは学習済み。



（じゃあ、逆に体内に巡らせられればその力で体調よくなったりするのかな？）



と武尊は考え、とりあえずやってみようという事にした。



（大事なのはイメージかな？）



武尊はこの時何よりも『今の自分はそんなこともきっと出来る！』という根拠のない確からしさをものすごく強く感じていた。



（じゃ、やってよくなったらラッキ－！ってことで！）




こんなところは天然的に楽観主義者の武尊。




先程に引き続き座禅をして気の流れとともにオーラを体中に巡らせた。







そして夜も更けて、武尊は好きなだけオーラを集中させた後、さすがに疲れて布団に入った。



（でもなんとなく体が軽い気がする。きっと明日はもっと良くなってるんじゃないかな。）



と、思いつつ。



気持も前向きになったところで武尊は静かに眠りについた。












明け方、病室のカ－テンがふわりと大きく揺れた。



入って来た黒い影は武尊の近くに来て止まり、武尊の寝顔をを上からじっと見下ろした。













「あんれま。」



武尊が気がつけばいつもの漆黒の世界。



毎回ちょっとずつふわふわ感だとか空間構成が違っているがとりあえず真っ暗の世界。



「また夢の中か。」



と、武尊は思った。



最近夢といえば何故かいつもこの世界。



なんかもっといい夢みないのかなぁ、と思っていると、急に背後から何かの気配がして武尊はそちらの方向へ振り向いた。



そこに武尊が見たものは以前も見た四つの光の玉。



「・・・・四乃森さんが来ている。」



武尊はそう思った。



何故なら今までの経験でいくと、あの玉が見える時はいつも蒼紫が近くにいる時だから｡



（私がこうやって夢の世界にいる間、私を見下ろすように立っているのかなぁ・・・。いったいどんな顔しているんだろう。この間は気まずかったからなぁ～。）



と、ここからでは見えない蒼紫の姿を想像しようとした時、背後から急に声がした。