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90.【東京】 (恵・夢主・蒼紫)
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恵はすぐに尿瓶を持って来てすぐ戻って行った。
そして再び訪れた部屋の静寂。
すっかり日も暮れて窓から涼しい風がそよそよと入ってくる。
武尊は眠くないのに寝るのも何だからと、ベッドの上で座禅を組んだ。
*************
目をつむって意識を空気に溶け込ませると、いろいろな事が思い浮かんで来る。
ずっとベッドにいるせいか随分長い事入院しているような気になるが、よくよく考えればまだ二日前の事なのだ。
怪我の功名というのだろうか、自分がこんな目にあったことで十六夜丸の謎が少しわかった。
と、ちょっと複雑な心境の武尊。
「と、いうか、本人に会ったし・・・・。」
武尊は自分にそっくりな姿をしていた十六夜丸の眼を思い出し、
「濡れるように紅い色だった・・・・。」
と、呟いた。
今も自分の近くにいるのだろうか?
武尊は目を開いて左右に向けるがそこは誰もいない静かな病室のまま。
「あれじゃあ私と十六夜丸を間違えても無理ないよね、そっくりだもの。というか、私か?」
つい、思ったことが独り言となって口に出てしまうが本人は気付いていない。
そしてあの姿でたくさんの人を・・・・・。
と、考えると武尊はやりきれない思いで胸がいっぱいになり両手で顔を覆って心で呟く。
この焦燥感からまだ抜け出せない・・・・。
あれは私の所為?
あれは私の罪?
私さえいなければそんなことは起らなかった?
そもそも自分はどこの誰かもわからない人のクロ-ン。
死人から創られた人形・・・・。
本来なら絶対存在しない自分という物体。
己の存在自体が罪。
神への背徳。
罪。
罪。
罪。
罪。
罪!
「苦しいよぉ・・・・・、比古さん・・・・・・。」
堪えきれない感情が武尊の口からついてこぼれる。
その声は震えていた。
そして顔を覆った手の隙間から涙が伝って落ちる。
比古と約束をする前と何ら変わっていない。
この苦しさから逃げたい、逃げ出したくてたまらない。
【東京】
その時武尊の脳裏をふとかすめた一つの単語。
私がここに来た理由は・・・。
比古さんのお弟子さんに会って、・・・【人斬り】と言われたその人に会って・・・話を聞く。
その為に東京に来た。
「そうだよね、まだ何も始まってないんだ。」
武尊は涙に濡れた顔をあげた。
「比古さんはただ『話を聞いてこい』としか言わなかったけど、聞けば何か心に響く物があるかもしれない。だから・・・・もう少し頑張らなくっちゃ・・。」
抜刀斎、いや、比古さんのお弟子さんはもうすぐ帰って来る。
私が斎藤さんの所に置いてもらうのも一ヶ月ということだったし、蒼紫も本来なら東京へ私を送るだけの用事だったから縁の事件のゴタゴタが終わったら京都へ帰るだろう。
それがいい。
只でさえ罪を背負っているというのに、このままだと私の存在が時尾さんや操ちゃんに迷惑をかけてしまう。
これ以上はもう・・・・いい・・・・・。
武尊は涙をぬぐい、深呼吸をした。
そして、
「無心・・・。」
と、一言呟き武尊は瞑想に入った。
この弱い心が折れないように、細くとも真っ直ぐと立っていられるように。
と、願いながら。
そして再び訪れた部屋の静寂。
すっかり日も暮れて窓から涼しい風がそよそよと入ってくる。
武尊は眠くないのに寝るのも何だからと、ベッドの上で座禅を組んだ。
*************
目をつむって意識を空気に溶け込ませると、いろいろな事が思い浮かんで来る。
ずっとベッドにいるせいか随分長い事入院しているような気になるが、よくよく考えればまだ二日前の事なのだ。
怪我の功名というのだろうか、自分がこんな目にあったことで十六夜丸の謎が少しわかった。
と、ちょっと複雑な心境の武尊。
「と、いうか、本人に会ったし・・・・。」
武尊は自分にそっくりな姿をしていた十六夜丸の眼を思い出し、
「濡れるように紅い色だった・・・・。」
と、呟いた。
今も自分の近くにいるのだろうか?
武尊は目を開いて左右に向けるがそこは誰もいない静かな病室のまま。
「あれじゃあ私と十六夜丸を間違えても無理ないよね、そっくりだもの。というか、私か?」
つい、思ったことが独り言となって口に出てしまうが本人は気付いていない。
そしてあの姿でたくさんの人を・・・・・。
と、考えると武尊はやりきれない思いで胸がいっぱいになり両手で顔を覆って心で呟く。
この焦燥感からまだ抜け出せない・・・・。
あれは私の所為?
あれは私の罪?
私さえいなければそんなことは起らなかった?
そもそも自分はどこの誰かもわからない人のクロ-ン。
死人から創られた人形・・・・。
本来なら絶対存在しない自分という物体。
己の存在自体が罪。
神への背徳。
罪。
罪。
罪。
罪。
罪!
「苦しいよぉ・・・・・、比古さん・・・・・・。」
堪えきれない感情が武尊の口からついてこぼれる。
その声は震えていた。
そして顔を覆った手の隙間から涙が伝って落ちる。
比古と約束をする前と何ら変わっていない。
この苦しさから逃げたい、逃げ出したくてたまらない。
【東京】
その時武尊の脳裏をふとかすめた一つの単語。
私がここに来た理由は・・・。
比古さんのお弟子さんに会って、・・・【人斬り】と言われたその人に会って・・・話を聞く。
その為に東京に来た。
「そうだよね、まだ何も始まってないんだ。」
武尊は涙に濡れた顔をあげた。
「比古さんはただ『話を聞いてこい』としか言わなかったけど、聞けば何か心に響く物があるかもしれない。だから・・・・もう少し頑張らなくっちゃ・・。」
抜刀斎、いや、比古さんのお弟子さんはもうすぐ帰って来る。
私が斎藤さんの所に置いてもらうのも一ヶ月ということだったし、蒼紫も本来なら東京へ私を送るだけの用事だったから縁の事件のゴタゴタが終わったら京都へ帰るだろう。
それがいい。
只でさえ罪を背負っているというのに、このままだと私の存在が時尾さんや操ちゃんに迷惑をかけてしまう。
これ以上はもう・・・・いい・・・・・。
武尊は涙をぬぐい、深呼吸をした。
そして、
「無心・・・。」
と、一言呟き武尊は瞑想に入った。
この弱い心が折れないように、細くとも真っ直ぐと立っていられるように。
と、願いながら。