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87.自力しかない! (夢主・蒼紫・恵)
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一方、蒼紫の方は病室を出た後、高荷恵の所へ行った。
恵は診療室の隣の部屋で薬を調合していた。
カチャ。
扉の音に恵は薬研(やげん)を動かす手を止めて振り向いた。
そして目に入った人物・・・蒼紫を見て、
「あら、どうかしたの。」
と声をかけた。
「俺は神谷道場へ戻る。」
と蒼紫は答えた。
今まであんなに武尊にくっついて離れようともしなかった男がいきなりの帰宅宣言。
恵は一体どういう風の吹き回しだと、
「え?武尊さんの傍を離れていいの?」
と、聞いた。
「・・・意識は戻った。先ほど小用も済ませた。もう大丈夫だろう。」
と蒼紫は言った。
「それに操の方も心配だ。」
(確かにあの子の事も心配材料ではあるかと思うけど・・・。)
と恵はこれまでの操から行動パタ-ンを分析した。
神谷薫とはまた違うタイプのトラブルメ-カ-とも思われる操を思い浮かべた時、蒼紫の気苦労もわからないではないと思ったが、まさかこんな突然にとは・・・。
恵はそう思いつつも、この男には何を言っても無駄だと、分かりきっているぐらいわかっているので何も言う気にはなれなかった。
「・・・それで、今日は戻って来るの?」
と恵が聞くと、
「いや・・・そのつもりはない。」
と蒼紫は答え、そのまま扉を閉めて出て行った。
その後、玄関を開けてそれから閉める音が聞こえた。
恵は蒼紫が出て行った音を聞いてから、
「まったく何を考えているのかしら、四乃森蒼紫は。」
と、腰に手を当て恵は鼻息を荒くして言った。
その時、カチャっとまた扉の音がした。
その音で恵は心臓が縮み上がるぐらいびっくりした。
(はっ、先ほど出て行った玄関の音はフェイント!?若しかして四乃森蒼紫が戻って来た?)
と、焦って扉に向うと玄斎が立っていた。
「せ、先生・・・・。」
恵は安堵して緊張の糸が切れたように言った。
「なんじゃ、そんなに気が抜けた顔をして。」
と、あまりにもの恵の顔を見て言った。
「誰か出て行ったような感じじゃったが患者が来とったんかいな。」
と、玄斎は恵に聞いた。
「いえ、お話した入院患者に付き添っていた者が神谷道場へ帰ったんです。」
と、恵が言うと、
「ああ、四乃森とか言った男だったかの。そうか。それにしても急じゃの。入院している方の具合は大丈夫なんかいな。」
「私が後で見てきます。とりあえず今は大丈夫みたいですので。」
「そうかそうか。わしはちょっとこれから町内の亀吉の所へ行って来なくては。女房が風邪ひいて寝こんでしまったらしくてのぅ。恵君はその入院しとるのを見てやんなさい。」
「わかりました。申し訳ありません先生、御一緒出来なくて。」
「いやいや、わしのほうこそ助かっとる。こうして恵君がいてくれるからここを留守にして往診に行っても安心だからのぅ。」
玄斎は、はっはっはっと笑うと往診の準備を始めたのだった。
余談:
恵が調剤のために使っていた道具。
よく時代劇とかでみるのですが名前を知らないことに気が付いて調べてみました。
薬研(やげん)っていうんですね・・・。
別名、【くすりおろし】とも言うそうです。
材質は鉄が多数でその他、石、木材もあるそうです。
恵は診療室の隣の部屋で薬を調合していた。
カチャ。
扉の音に恵は薬研(やげん)を動かす手を止めて振り向いた。
そして目に入った人物・・・蒼紫を見て、
「あら、どうかしたの。」
と声をかけた。
「俺は神谷道場へ戻る。」
と蒼紫は答えた。
今まであんなに武尊にくっついて離れようともしなかった男がいきなりの帰宅宣言。
恵は一体どういう風の吹き回しだと、
「え?武尊さんの傍を離れていいの?」
と、聞いた。
「・・・意識は戻った。先ほど小用も済ませた。もう大丈夫だろう。」
と蒼紫は言った。
「それに操の方も心配だ。」
(確かにあの子の事も心配材料ではあるかと思うけど・・・。)
と恵はこれまでの操から行動パタ-ンを分析した。
神谷薫とはまた違うタイプのトラブルメ-カ-とも思われる操を思い浮かべた時、蒼紫の気苦労もわからないではないと思ったが、まさかこんな突然にとは・・・。
恵はそう思いつつも、この男には何を言っても無駄だと、分かりきっているぐらいわかっているので何も言う気にはなれなかった。
「・・・それで、今日は戻って来るの?」
と恵が聞くと、
「いや・・・そのつもりはない。」
と蒼紫は答え、そのまま扉を閉めて出て行った。
その後、玄関を開けてそれから閉める音が聞こえた。
恵は蒼紫が出て行った音を聞いてから、
「まったく何を考えているのかしら、四乃森蒼紫は。」
と、腰に手を当て恵は鼻息を荒くして言った。
その時、カチャっとまた扉の音がした。
その音で恵は心臓が縮み上がるぐらいびっくりした。
(はっ、先ほど出て行った玄関の音はフェイント!?若しかして四乃森蒼紫が戻って来た?)
と、焦って扉に向うと玄斎が立っていた。
「せ、先生・・・・。」
恵は安堵して緊張の糸が切れたように言った。
「なんじゃ、そんなに気が抜けた顔をして。」
と、あまりにもの恵の顔を見て言った。
「誰か出て行ったような感じじゃったが患者が来とったんかいな。」
と、玄斎は恵に聞いた。
「いえ、お話した入院患者に付き添っていた者が神谷道場へ帰ったんです。」
と、恵が言うと、
「ああ、四乃森とか言った男だったかの。そうか。それにしても急じゃの。入院している方の具合は大丈夫なんかいな。」
「私が後で見てきます。とりあえず今は大丈夫みたいですので。」
「そうかそうか。わしはちょっとこれから町内の亀吉の所へ行って来なくては。女房が風邪ひいて寝こんでしまったらしくてのぅ。恵君はその入院しとるのを見てやんなさい。」
「わかりました。申し訳ありません先生、御一緒出来なくて。」
「いやいや、わしのほうこそ助かっとる。こうして恵君がいてくれるからここを留守にして往診に行っても安心だからのぅ。」
玄斎は、はっはっはっと笑うと往診の準備を始めたのだった。
余談:
恵が調剤のために使っていた道具。
よく時代劇とかでみるのですが名前を知らないことに気が付いて調べてみました。
薬研(やげん)っていうんですね・・・。
別名、【くすりおろし】とも言うそうです。
材質は鉄が多数でその他、石、木材もあるそうです。