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86.意固地な者同士 (蒼紫・夢主・張)
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その矢先に武尊に心の内を指摘されたのだった。
蒼紫はどう対応していいのか決めかねていると、武尊が、
「・・・・蒼紫。」
と言って蒼紫の片手を取り自分の両手でそっと包み込んだ。
「・・・・武尊。」
いつもはするりさらりとかわす態度をとる武尊なのに、と蒼紫は驚き戸惑った。
そしてやっと、
「何をしている・・・・。」
と口を開いた。
武尊は、
「わからない・・・。でもこうすることがいいような気がして・・・。蒼紫が嫌ならやめる・・・・。」
と答えた。
(温かいな・・・。)
武尊の掌から蒼紫の手に温かいものが流れ込んでくるような気がした。
蒼紫には今まで感じたことがない感覚だったが、それは蒼紫にとって心地よい感覚だった。
蒼紫はまるで氷の壁を溶かしていくように、そして悲しみが薄らいでいく感じがするような【気】が自分に流れ込んでくるのを感じた。
そんな自分の感情にはっ、と気がついて蒼紫は武尊の手を振り払った。
武尊はいきなり手を振り払われて一瞬驚いたがそのまま蒼紫を見上げて、
「・・・やっぱり嫌だった?」
と聞いた。
蒼紫は、
「いや・・・・・嫌ではない。むしろ心地よい感じがした。俺の中の悲しみが安らいで行く・・・そんな感じがした。だが俺は・・・この悲しみを、痛みを、忘れることは許されぬ。」
と顔を曇らせて言った。
「なぜ?・・・・・蒼紫前に言ったじゃない、『前に進めそうだ』って。そうやって悲しみをいつまでも一人で背負って、全然前に進めてないじゃない・・・私だって蒼紫の力になりたい!よかったら私に話して。」
武尊は心からそう思ってそう言った。
だが蒼紫は、
「武尊は知らなくていい事だ。」
と無感情に言った。
蒼紫は別に故意に武尊を傷つけようとして言ったわけではなかったが、その言いようにはカチンときた。
「・・・・・・わかった。」
武尊は小さく呟くと、手ぬぐいを蒼紫に差し出した。
「ありがとうございました。」
そう言って武尊は、まだ固まったままの蒼紫の手に手ぬぐいを握らせると、自分で恵に作ってもらった経口保水液を飲もうと手を伸ばした。
武尊は背中の皮が引きつって痛くて思わず顔をしかめた。
その表情に気がついて蒼紫がそれを取ってやろうとした時、
「大丈夫です、自分でできます。」
と武尊は今までにないくらい強い口調で蒼紫に言った。
まるで蒼紫の手助けを拒否するようにはっきりとした口調の為、蒼紫の手がそれ以上動くことはなかった。
「・・・・・。」
辛そうに腕を動かしながら何杯もその液体を飲む武尊を蒼紫は黙って見ていた。
ようやく必要量を飲み終わると武尊は黙って蒼紫に背を向けて布団に横になった。
蒼紫はそんな武尊の背中を見ていたがしばらくすると部屋を出て行った。
パタン。
乾いた音を立てて閉まった病室の扉の音を聞くと武尊の鼻すじを熱い液体が伝って布団にこぼれた。
.
蒼紫はどう対応していいのか決めかねていると、武尊が、
「・・・・蒼紫。」
と言って蒼紫の片手を取り自分の両手でそっと包み込んだ。
「・・・・武尊。」
いつもはするりさらりとかわす態度をとる武尊なのに、と蒼紫は驚き戸惑った。
そしてやっと、
「何をしている・・・・。」
と口を開いた。
武尊は、
「わからない・・・。でもこうすることがいいような気がして・・・。蒼紫が嫌ならやめる・・・・。」
と答えた。
(温かいな・・・。)
武尊の掌から蒼紫の手に温かいものが流れ込んでくるような気がした。
蒼紫には今まで感じたことがない感覚だったが、それは蒼紫にとって心地よい感覚だった。
蒼紫はまるで氷の壁を溶かしていくように、そして悲しみが薄らいでいく感じがするような【気】が自分に流れ込んでくるのを感じた。
そんな自分の感情にはっ、と気がついて蒼紫は武尊の手を振り払った。
武尊はいきなり手を振り払われて一瞬驚いたがそのまま蒼紫を見上げて、
「・・・やっぱり嫌だった?」
と聞いた。
蒼紫は、
「いや・・・・・嫌ではない。むしろ心地よい感じがした。俺の中の悲しみが安らいで行く・・・そんな感じがした。だが俺は・・・この悲しみを、痛みを、忘れることは許されぬ。」
と顔を曇らせて言った。
「なぜ?・・・・・蒼紫前に言ったじゃない、『前に進めそうだ』って。そうやって悲しみをいつまでも一人で背負って、全然前に進めてないじゃない・・・私だって蒼紫の力になりたい!よかったら私に話して。」
武尊は心からそう思ってそう言った。
だが蒼紫は、
「武尊は知らなくていい事だ。」
と無感情に言った。
蒼紫は別に故意に武尊を傷つけようとして言ったわけではなかったが、その言いようにはカチンときた。
「・・・・・・わかった。」
武尊は小さく呟くと、手ぬぐいを蒼紫に差し出した。
「ありがとうございました。」
そう言って武尊は、まだ固まったままの蒼紫の手に手ぬぐいを握らせると、自分で恵に作ってもらった経口保水液を飲もうと手を伸ばした。
武尊は背中の皮が引きつって痛くて思わず顔をしかめた。
その表情に気がついて蒼紫がそれを取ってやろうとした時、
「大丈夫です、自分でできます。」
と武尊は今までにないくらい強い口調で蒼紫に言った。
まるで蒼紫の手助けを拒否するようにはっきりとした口調の為、蒼紫の手がそれ以上動くことはなかった。
「・・・・・。」
辛そうに腕を動かしながら何杯もその液体を飲む武尊を蒼紫は黙って見ていた。
ようやく必要量を飲み終わると武尊は黙って蒼紫に背を向けて布団に横になった。
蒼紫はそんな武尊の背中を見ていたがしばらくすると部屋を出て行った。
パタン。
乾いた音を立てて閉まった病室の扉の音を聞くと武尊の鼻すじを熱い液体が伝って布団にこぼれた。
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