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81.川の流れ (蒼紫・夢主・斎藤・恵)
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「藤田君。」
「はい?」
斎藤が自室から外へ出ようと階段から降りたところで誰かが斎藤を呼んだ。
普段聞かないその声に振り返ると、そこには先日夜会の事件の時にホールで見かけた男が立っていた。
(・・・陸軍軍人、田母野(たもの)男爵。)
斎藤には数々の死線をくぐりぬけた経験から時にピンと来る時がある。
あの夜会襲撃事件の時、銃声がして斎藤が急いで建物のホールに入って来た時、多くの人がいる中、ドス黒い視線で会場を見ていたものが数名いた。
今、斎藤の眼の前にいるのはそのうちの一人だった。
斎藤は表情険しく自分を呼んだ男を見た。
ここは警視庁。
陸軍軍人が何の用でここ(警視庁)にいる。
と思った斎藤だったが、そう言えば先程、陸軍卿が川路の所へ来ていたようだった。
と、斎藤は見慣れぬ制服の男がいる理由がわかると、
(なるほど、金魚のふんか・・・。)
と、心の中で呟いた。
その心とは別に斎藤は
「陸軍男爵が私に何か御用でしょうか。」
と、一応社会的礼儀を持って相手に聞いた。
「そう睨むなよ。こうして陸軍卿の御供で警視庁に来るなんてそうそうないことだからな。せっかく噂の君に会えたんだから直接どんな人物か話して見たかっただけだ。」
「噂?」
斎藤がそう聞き返すと、田母野男爵は
「そう、先日の夜会襲撃事件の犯人を招待客の犠牲を出すことなく片を付けたのは君の指示だったと聞いたぞ。それから我が国に不正に武器を密輸しようとしていた上海マフィアの組織を壊滅に追い込んだともな。私としては君みたいな優秀な人材は是非陸軍に欲しいのだがね。どうかな、君なら出世も欲しいままにできるだろう。」
と言い、にやりと笑った。
斎藤は即座に口先だけの褒め言葉にうんざりして、
「結構です。私は今のままで満足していますので。お話は以上でしょうか。こんなしがない警部補でも一応忙しいので・・・・、失礼。」
と言うと、早々にその場を離れた。
(フン、印象通りの腹の黒い、そしてくだらん男だ。)
と、斎藤は呆れながら門を出ると煙草に火を点け、外で止まっているたいそう立派な馬車に目をやった。
(しかし世間を騒がせるのはああいったくだらん輩が多い事は確かだ。今後も注意をしないとな。)
と、斎藤はこの日、田母野男爵をマイブラックリストに名前を載せた。
「はい?」
斎藤が自室から外へ出ようと階段から降りたところで誰かが斎藤を呼んだ。
普段聞かないその声に振り返ると、そこには先日夜会の事件の時にホールで見かけた男が立っていた。
(・・・陸軍軍人、田母野(たもの)男爵。)
斎藤には数々の死線をくぐりぬけた経験から時にピンと来る時がある。
あの夜会襲撃事件の時、銃声がして斎藤が急いで建物のホールに入って来た時、多くの人がいる中、ドス黒い視線で会場を見ていたものが数名いた。
今、斎藤の眼の前にいるのはそのうちの一人だった。
斎藤は表情険しく自分を呼んだ男を見た。
ここは警視庁。
陸軍軍人が何の用でここ(警視庁)にいる。
と思った斎藤だったが、そう言えば先程、陸軍卿が川路の所へ来ていたようだった。
と、斎藤は見慣れぬ制服の男がいる理由がわかると、
(なるほど、金魚のふんか・・・。)
と、心の中で呟いた。
その心とは別に斎藤は
「陸軍男爵が私に何か御用でしょうか。」
と、一応社会的礼儀を持って相手に聞いた。
「そう睨むなよ。こうして陸軍卿の御供で警視庁に来るなんてそうそうないことだからな。せっかく噂の君に会えたんだから直接どんな人物か話して見たかっただけだ。」
「噂?」
斎藤がそう聞き返すと、田母野男爵は
「そう、先日の夜会襲撃事件の犯人を招待客の犠牲を出すことなく片を付けたのは君の指示だったと聞いたぞ。それから我が国に不正に武器を密輸しようとしていた上海マフィアの組織を壊滅に追い込んだともな。私としては君みたいな優秀な人材は是非陸軍に欲しいのだがね。どうかな、君なら出世も欲しいままにできるだろう。」
と言い、にやりと笑った。
斎藤は即座に口先だけの褒め言葉にうんざりして、
「結構です。私は今のままで満足していますので。お話は以上でしょうか。こんなしがない警部補でも一応忙しいので・・・・、失礼。」
と言うと、早々にその場を離れた。
(フン、印象通りの腹の黒い、そしてくだらん男だ。)
と、斎藤は呆れながら門を出ると煙草に火を点け、外で止まっているたいそう立派な馬車に目をやった。
(しかし世間を騒がせるのはああいったくだらん輩が多い事は確かだ。今後も注意をしないとな。)
と、斎藤はこの日、田母野男爵をマイブラックリストに名前を載せた。