自分はずっと寝っぱなしだ。



この時代では寝るしか回復する手段がない。



改めて未来の科学の進化や最新の医療技術のすごさに何も言う事ができない。



だがそれもどうなのだろう？



武尊は自分の生まれを考えると人間の在り方を考えさせられる。




それにしても・・・・・・。



と、武尊は考える。



絶対死んだと思われる傷をおっても生きている十六夜丸の修復力。



もし、未来で手術してもあれは助かったかどうかわからない。



それほどの傷だと思うのに今は自分でもわかるほど回復されているのが実感できる。



いったい十六夜丸というのはどれだけの力をもっているのだろうか。





斎藤が帰ってからしばしの間、眠りについた武尊だったが二時間ぐらいして覚醒した。



そして目をつむったまま、そんな事を考えていた。



窓から入った少しの風が武尊の顔をなでていく。



静かな病室。



そういえば、何かしら腕の所が重い？という事に気がついて武尊はゆっくり目を開けた。



（四乃森さん・・・。）



重さを感じるほうに武尊が顔を向けると、蒼紫が椅子に座ったままベッドに突っ伏していた。



蒼紫は武尊を診療所に連れてきてから寝ていなかった。



座禅を組んでいる時も寝ずに十六夜丸を警戒したり、武尊の体調が急変しないかと気を張っていた。



それが先ほど椅子に座って武尊の顔を見ていると普段はありえない事なのに急に眠気がさしてきてそのまま寝てしまったのであった。




武尊は視界に入る蒼紫の頭を見ながら、



（四乃森さんありがとう・・・・。）



と感謝した。



きっと自分に付きっきりでいてくれたのだから・・・と。



しかし、目が覚めてしまったらずっと同じ姿勢でいるのが辛くなって武尊は布団の中でもぞもぞと動いた。



すると蒼紫はすぐ気がついて体を起こした。



「武尊・・・、起きたのか。」



「あ、すみません。起こしちゃったみたいですね。すみません、お疲れなのに。」



「・・・寝てしまっていたのか？俺は・・・。いや、いい。大丈夫だ。具合はどうだ。」



（・・・・・・。）



毎回自分のことより武尊を気遣っている蒼紫に武尊はかなり申し訳ないと思った。



なので武尊は、



「斎藤さんが来てくれた時よりもいい気がします。」



と、答えたあと、



「あの・・・蒼紫・・・・。無理しないでくださいね。」


と、武尊は言った。



（間違えて苗字で呼ぶと絶対訂正されると思ったから、一応名前で呼んだけど・・・。）



と、思いつつ。