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119.九月三十日夜(藤田家の場合) (時尾・夢主・斎藤)
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「先回休みになった代りに日を変えてお稽古をやってくれるんですか、よかったですね。」
「そうなの。で、先生がおっしゃるには丁度今、先生の流派の家元様が京都から東京へ来られていてその家元様が特別に教えて下さるから是非って。」
「よかったじゃないですか~。すごいですね、家元様が教えて下さるなんて。」
「そうでしょう~、ね、だから武尊さんも御一緒してくださりませんか。」
「・・・。」
武尊は先程もそうだが、どうして自分が一緒に行こうと誘われるのかが全く見当がつかない。
「ねえ時尾さん、どうして私を誘うんですか?私なんて茶道なんて全く知らないんですよ?こんな門外漢連れて行ったら時尾さんが恥をかきます。どなたかお知り合いでいい方いらっしゃらないんですか?」
「それが・・、私こちらにあまり知合いとかいませんし・・。それに先生のお話によると家元様はもっと茶の道をたくさんの人に知ってもらいたいから是非どなたでもお連れして欲しいらしいんですよ。ですから私と一緒に行ってくださいませんか武尊さん。」
「でも私には仕事が・・・。」
「武尊さん・・・正直そんなお怪我をされて御無理をされるのは感心いたしません。休みをいただけるように五郎さんに話してみます。」
「そ、それは困ります、仕事は仕事。ちゃんとやらないと・・・。」
と、武尊が困っていると、時尾は畳の上に置いていたお盆の上に載っている小さな竹細工の蓋つきの入れ物を手に取り蓋を開けて、
「御一ついかがですか?」
と差し出した。
「?」
と武尊がその中を見てみるとその中には和紙の上にのっている小さな干菓子が数個入っていた。
「(かっ、かわいい!)・・いいんですか?」
「はい、どうぞ。」
と、時尾にニッコリされながら武尊は手を伸ばし薄いピンクの桜の形をしたものを取って口にパクっと入れた。
「おいしい・・・。」
ほろほろほろりと口の中でとけていくその食感、優しい甘さに武尊は感動した。
「へぇ・・ものすごくおいしい・・。」
と驚き目を丸くする武尊に時尾は、
「でしょ?」
と、顔をほころばせた。
「今日先生からいただいたんですよ。おいしいでしょ?当日はもっとおいしい京都のお茶菓子がお茶請けに出されるそうですよ、武尊さん。」
繊細な甘さ、細かい職人技の形。京都菓子の魅力は計り知れない。
「ふう・・ん・・・、まあ・・藤田警部補がいいって言ったら行ってもいいか・・・な・・・。」
と答える武尊の顔はまんざらでもない。
時尾はフフフっと笑った。
「そうこなくっちゃ武尊さん。お稽古は三日後なんですけど、五郎さんに聞いてみますね。じゃ、これから夕餉の支度をしますね。」
と、時尾は台所へ向かった。
「そうなの。で、先生がおっしゃるには丁度今、先生の流派の家元様が京都から東京へ来られていてその家元様が特別に教えて下さるから是非って。」
「よかったじゃないですか~。すごいですね、家元様が教えて下さるなんて。」
「そうでしょう~、ね、だから武尊さんも御一緒してくださりませんか。」
「・・・。」
武尊は先程もそうだが、どうして自分が一緒に行こうと誘われるのかが全く見当がつかない。
「ねえ時尾さん、どうして私を誘うんですか?私なんて茶道なんて全く知らないんですよ?こんな門外漢連れて行ったら時尾さんが恥をかきます。どなたかお知り合いでいい方いらっしゃらないんですか?」
「それが・・、私こちらにあまり知合いとかいませんし・・。それに先生のお話によると家元様はもっと茶の道をたくさんの人に知ってもらいたいから是非どなたでもお連れして欲しいらしいんですよ。ですから私と一緒に行ってくださいませんか武尊さん。」
「でも私には仕事が・・・。」
「武尊さん・・・正直そんなお怪我をされて御無理をされるのは感心いたしません。休みをいただけるように五郎さんに話してみます。」
「そ、それは困ります、仕事は仕事。ちゃんとやらないと・・・。」
と、武尊が困っていると、時尾は畳の上に置いていたお盆の上に載っている小さな竹細工の蓋つきの入れ物を手に取り蓋を開けて、
「御一ついかがですか?」
と差し出した。
「?」
と武尊がその中を見てみるとその中には和紙の上にのっている小さな干菓子が数個入っていた。
「(かっ、かわいい!)・・いいんですか?」
「はい、どうぞ。」
と、時尾にニッコリされながら武尊は手を伸ばし薄いピンクの桜の形をしたものを取って口にパクっと入れた。
「おいしい・・・。」
ほろほろほろりと口の中でとけていくその食感、優しい甘さに武尊は感動した。
「へぇ・・ものすごくおいしい・・。」
と驚き目を丸くする武尊に時尾は、
「でしょ?」
と、顔をほころばせた。
「今日先生からいただいたんですよ。おいしいでしょ?当日はもっとおいしい京都のお茶菓子がお茶請けに出されるそうですよ、武尊さん。」
繊細な甘さ、細かい職人技の形。京都菓子の魅力は計り知れない。
「ふう・・ん・・・、まあ・・藤田警部補がいいって言ったら行ってもいいか・・・な・・・。」
と答える武尊の顔はまんざらでもない。
時尾はフフフっと笑った。
「そうこなくっちゃ武尊さん。お稽古は三日後なんですけど、五郎さんに聞いてみますね。じゃ、これから夕餉の支度をしますね。」
と、時尾は台所へ向かった。