さて一方、さっさと資料室の掃除を終わらせた武尊は斎藤に言われた通り帰宅した。



やるときはやる、やらないときはやらない。



メリハリは大事だと武尊は思っているからだ。



「ただ今帰りました。」



と、武尊が勝手口から藤田家へ入ると時尾が飛び出してきて、



「お帰りなさい武尊さん、ねえ、お茶はお好きかしら。」



と聞いた。



「え？お茶ですか？」



武尊はいきなりお茶と言われても何の事だろうと一瞬分からなかった。



すると時尾が、



「先日、先生の体調が悪くて、、あっ、私、月に一度お茶を習いに行っいるのですが、ほら、武尊さんが怪我をされてから家に戻って来られた日・・・。」



ああそうだった、あの時の時尾さんは本当に恐ろしかった・・、と武尊がその恐ろしさを回想していると時尾が話を進めた。



「あの日はお茶の先生の体調がお悪くて習い事がお休みだったんですの。で、今日買い出しに出かけた時偶然にもその先生にお会いして、『先回休んだ代り・・と言っては何ですが・・』と、おっしゃって三日後、お稽古をつけて下さることになったんです。」



「へぇー、よかったですね。時尾さんお茶がお好きなのですか？」



「ええ、茶の道は奥が深くてよ武尊さん。」



と、時尾は楽しそうに武尊に話した。



（凄いよね～時尾さんは・・・料理も裁縫も完璧なのに更にお茶もやるんだもの。）



と、武尊はあらためて尊敬の目で時尾を見た。



「で、武尊さんも御一緒にいかが？」



今何か時尾が突拍子もない事を口走った事に対して全く状況がつかめず武尊は、



「・・・・はい？？」



と聞き返した。



「あ、すみません、こんなに突然的にお話しても分かりづらいですよね、とりあえず上がりましょうか。お仕事から戻られたばかりですのにこんな所で立ち話もなんですよね。」



と、時尾は奥へ入っていった。



時尾は武尊にお茶を（これはいつもの麦茶）を出しながら今日の買い物へ行った時の事を話した。