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116.女狐 (蒼紫・夢主・恵・玄斎)
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恵は武尊に椅子に座る様に指示をすると、
「じゃ、武尊さん上着を脱いで。」
と言ったが武尊は恵の方を見てなんだか困っている様子だった。
「何?今更恥ずかしいとかって言うんじゃないでしょうね。」
「いえ、・・・その・・やっぱり先生から名前を『さん付け』でよばれるのは慣れないと言うか・・・。」
「そんな所にこだわってるの?まあ・・。」
半分呆れ顔の恵を見ながらも武尊の習慣というのだろうか、病院施設で『さん付け』されることに非常に慣れていない武尊であった。
「武尊でいいですよ、先生。」
「武尊さんの方こそ私の事をまた『先生』って呼ぶ言い方に戻ってるわね。」
恵はため息をついたがこれくらいの我が儘なら患者としてはかわいい方だ。
「はいはい、それくらいのことなら聞いてあげるわ、武尊。」
「すみません、恵さん。」
武尊は照れ笑いをしながら身体に巻き付けている物をとって傷を恵に見せた。
「傷の方は順調順調。いいわね、もうしばらくはおとなしくしているのよ。折角いい感じで傷がふさがってきているんだから。」
「はい、おとなしくしときます。早く治さないとお風呂で滲みそうだもん。」
「そうよ、本当(女なんだから)少しは自分の身体を大事にしなさいよ!」
と、恵は包帯を巻き始めた。
「あれ?薬はいいんですか?」
「朝塗ってもらったんだったらもういいわよ。あとはこうやって自然に治るのを待つだけよ。塗り薬も丁度なくなった頃でしょ?」
「そうなんですよ、さすが恵さん!あの塗り薬って恵さんが作ったんですよね?」
「まあね、一応私薬に詳しいの。だからといって【馬鹿につける薬】というのは作れないけれど。」
と、恵は何度口を酸っぱくして注意してもすぐに右手の拳を使うある人物を想像して眉間に皺を寄せた。
「それはちょっと・・・誰もそんな薬は作れないと思います。」
「でも最近ある文献から試しに作ってる・・・。」
と恵はある物を思い出して話始めるが、何かが頭にひらめいたようでキツネの耳がぴょこっと頭に現れた。
「恵さん?」
恵は武尊の位置からすると今丁度背後にいて恵の様子が見えない。
「ふふっ、何でもないわ。さっ、巻いてしまうわよ。」
と、恵は口元をふっとあげるとテキパキと包帯とサラシを巻き終えた。
「はい、出来上がり。制服着てちょっと待ってて。今お茶を入れるわ。」
「いえ、お茶なんかいいですよ恵さん!私は傷を見てもらいに来た患者ですから。終わったのなら帰ります、次の人が待っているんじゃないんですか。」
「今日のところは次の人なんていないわ、気にしなくていいのよ。今日は武尊を診た後は玄斎先生が戻って来られてから弥彦君の往診に行くだけだから。」
「でも・・・。」
「いいのよ、遠くから来て疲れたでしょ。お茶ぐらい飲んでいきなさいよ。」
と、恵はそう言ってついたての奥からお茶を持って来て武尊に出した。
「すみません・・・いただきます。」
と、武尊が乾いた喉を潤しコクンとお茶をのどに流した時、恵が唐突に、
「ところで武尊、斎藤って武尊のこと好きでしょ。」
と言った。
思わず飲んでいたお茶が気管に入ってしまい、武尊はゲホッっとむせた。
「ちょっ・・・恵さん、何を・・・・。」
「いいのよ、隠さなくても。見てれば分かる事なんだから。」
ホーホホホホと、片手を口に当てもう片手をクイクイ曲げて笑う恵を武尊はただ唖然を見ていた。
「『なんでわかるの?!』って言いたそうね、武尊。でも分かるのよ長年こうして人を見る仕事をしているとね。でも、まだ信じられないわ。あの斎藤が誰かをあんな風に心配そうに見る顔をするなんて。」
「『あの』って・・・って言いますけど、斎藤さんはいたって普通ですよ。そりゃ、見た目ちょっととっつきにくいかもしれませんけど・・・。」
「斎藤なんて『あの』付けで十分よ。本当、嫌味だし協力しないし・・・。」
酷い言われようだと思いながらも、なんとなく恵のいう事も想像出来てしまうので武尊もそんなに否定できない。
それどころか思わずうなずいてしまいそうになった。
恵はプリプリしていたが武尊と目を合わせると、
「だからこそ面白いんだけど・・・。」
と、恵の目は三日月のように弧を描くがごとく細くなった。
「え?面白い・・・?」
と、嫌な予感がしつつも武尊は何やら意味ありげに自分を見る恵から視線を逸らそうとお茶をずず~~っと飲んでいる所に恵は、
「そう・・・、武尊も斎藤の事が好きでしょ。」
と、小声で武尊に囁いた。
「じゃ、武尊さん上着を脱いで。」
と言ったが武尊は恵の方を見てなんだか困っている様子だった。
「何?今更恥ずかしいとかって言うんじゃないでしょうね。」
「いえ、・・・その・・やっぱり先生から名前を『さん付け』でよばれるのは慣れないと言うか・・・。」
「そんな所にこだわってるの?まあ・・。」
半分呆れ顔の恵を見ながらも武尊の習慣というのだろうか、病院施設で『さん付け』されることに非常に慣れていない武尊であった。
「武尊でいいですよ、先生。」
「武尊さんの方こそ私の事をまた『先生』って呼ぶ言い方に戻ってるわね。」
恵はため息をついたがこれくらいの我が儘なら患者としてはかわいい方だ。
「はいはい、それくらいのことなら聞いてあげるわ、武尊。」
「すみません、恵さん。」
武尊は照れ笑いをしながら身体に巻き付けている物をとって傷を恵に見せた。
「傷の方は順調順調。いいわね、もうしばらくはおとなしくしているのよ。折角いい感じで傷がふさがってきているんだから。」
「はい、おとなしくしときます。早く治さないとお風呂で滲みそうだもん。」
「そうよ、本当(女なんだから)少しは自分の身体を大事にしなさいよ!」
と、恵は包帯を巻き始めた。
「あれ?薬はいいんですか?」
「朝塗ってもらったんだったらもういいわよ。あとはこうやって自然に治るのを待つだけよ。塗り薬も丁度なくなった頃でしょ?」
「そうなんですよ、さすが恵さん!あの塗り薬って恵さんが作ったんですよね?」
「まあね、一応私薬に詳しいの。だからといって【馬鹿につける薬】というのは作れないけれど。」
と、恵は何度口を酸っぱくして注意してもすぐに右手の拳を使うある人物を想像して眉間に皺を寄せた。
「それはちょっと・・・誰もそんな薬は作れないと思います。」
「でも最近ある文献から試しに作ってる・・・。」
と恵はある物を思い出して話始めるが、何かが頭にひらめいたようでキツネの耳がぴょこっと頭に現れた。
「恵さん?」
恵は武尊の位置からすると今丁度背後にいて恵の様子が見えない。
「ふふっ、何でもないわ。さっ、巻いてしまうわよ。」
と、恵は口元をふっとあげるとテキパキと包帯とサラシを巻き終えた。
「はい、出来上がり。制服着てちょっと待ってて。今お茶を入れるわ。」
「いえ、お茶なんかいいですよ恵さん!私は傷を見てもらいに来た患者ですから。終わったのなら帰ります、次の人が待っているんじゃないんですか。」
「今日のところは次の人なんていないわ、気にしなくていいのよ。今日は武尊を診た後は玄斎先生が戻って来られてから弥彦君の往診に行くだけだから。」
「でも・・・。」
「いいのよ、遠くから来て疲れたでしょ。お茶ぐらい飲んでいきなさいよ。」
と、恵はそう言ってついたての奥からお茶を持って来て武尊に出した。
「すみません・・・いただきます。」
と、武尊が乾いた喉を潤しコクンとお茶をのどに流した時、恵が唐突に、
「ところで武尊、斎藤って武尊のこと好きでしょ。」
と言った。
思わず飲んでいたお茶が気管に入ってしまい、武尊はゲホッっとむせた。
「ちょっ・・・恵さん、何を・・・・。」
「いいのよ、隠さなくても。見てれば分かる事なんだから。」
ホーホホホホと、片手を口に当てもう片手をクイクイ曲げて笑う恵を武尊はただ唖然を見ていた。
「『なんでわかるの?!』って言いたそうね、武尊。でも分かるのよ長年こうして人を見る仕事をしているとね。でも、まだ信じられないわ。あの斎藤が誰かをあんな風に心配そうに見る顔をするなんて。」
「『あの』って・・・って言いますけど、斎藤さんはいたって普通ですよ。そりゃ、見た目ちょっととっつきにくいかもしれませんけど・・・。」
「斎藤なんて『あの』付けで十分よ。本当、嫌味だし協力しないし・・・。」
酷い言われようだと思いながらも、なんとなく恵のいう事も想像出来てしまうので武尊もそんなに否定できない。
それどころか思わずうなずいてしまいそうになった。
恵はプリプリしていたが武尊と目を合わせると、
「だからこそ面白いんだけど・・・。」
と、恵の目は三日月のように弧を描くがごとく細くなった。
「え?面白い・・・?」
と、嫌な予感がしつつも武尊は何やら意味ありげに自分を見る恵から視線を逸らそうとお茶をずず~~っと飲んでいる所に恵は、
「そう・・・、武尊も斎藤の事が好きでしょ。」
と、小声で武尊に囁いた。