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115.長月の末日 (蒼紫・夢主・斎藤・川路)
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『何があっても自分に手を出すな。』
そう武尊に言われて了承の意を表したものの蒼紫は納得はしていなかった。
武尊がどう言おうと武尊の命に係わることであれば蒼紫は緋村を止める気でいた。
たとえ武尊に後で何と言われようが、だ。
蒼紫は武尊の言葉の中に“償いの為なら己の死も構わない”という意志があるのが見え隠れするのに気づくがそれをやめさせる、若しくは変えさせるという言葉が見つからない。
なぜならその答えは自分で導き出さなけれな真に自分のものとはならない、という事を蒼紫は知っているからだ。
(俺の場合もそうだったのだ・・・。)
だが蒼紫は思う。
自分は志々雄のアジトで自分の死を持ってすべてを終わらせると緋村と決していた時は感情などなかった。
ただ勝って【最強】という称号を手にする、それだけが執念の修羅であった。
なのに今目の前の武尊は・・・。
「武尊、何故そのように笑えるのだ・・・かと言ってそれが偽りの笑いには見えぬ。」
「ん?」
武尊は先程は何もなかったかのように、にこやかに蒼紫に振り向いた。
「隠すな、十六夜丸の尻拭いなら何をされてもいいなどと言うのはその先には死があるかも知れないという事を受け入れているという事ではないのか。普通、人は虐待されて喜びはしない。以前笑えるようにならなければと言っていたのはそういう笑いのことなのか。」
「・・・・よくわからない。・・・・でも・・・・。」
武尊の顔から一瞬笑みが消え、
「私には(失うものなんて)何もないから・・・・・・。」
と言って武尊は遠くを見つめた。
「私の命が償いの為に生かされているのだったらそうするしかない・・・それにこんな私の人生でもいい事があったからもうそれで十分。本当は十六夜丸の謎を解いて真実を知りたいんだけど、恨みを持っている人から逃げるわけにいかないよね・・・。」
と言うと武尊はまた笑顔に戻った。
そして、
「笑えるのは師匠と斎藤さんと蒼紫の前ぐらいだけどね・・・。」
と、武尊ははにかんだ。
蒼紫は武尊の言葉を聞いて自分の名が呼ばれたことを嬉しく思いながらもそのはにかみが痛々しいと、そして武尊の為に力になってやりたいと思った。
「気休めにしかならんかもしれんが明日は俺も道場にいる。そんなに心配するな、武尊。」
「蒼紫・・。」
武尊は蒼紫の意外な言葉に少し驚いた。
「俺が出来ることはそれぐらいしかないが・・・。」
言葉少ないが蒼紫の飾らない実直な言葉。
それが武尊の心を包み込んでいく。
「・・・ありがとう。」
武尊も真っ直ぐな瞳で蒼紫を見つめた。
「武尊・・・。」
「あ・・・でもね、もし抜刀斎さんが・・・私の事を十六夜丸だって気が付かなかった時の事を考えて私が十六夜丸っていう事は黙っててもらってもいい?」
と、武尊は急に思いついて蒼紫に提言をした。
「狡い考えかもしれないけど、十六夜丸のことなんて・・・記憶にないのだったらないままほうがいい・・・。若しそうだったら私は私として師匠のお弟子さんと真っ直ぐ対面できそうだもの・・・。」
「十六夜丸ほどの使い手を緋村が覚えてないとは到底思えんが無用な先入観が神谷道場に蔓延するのは好ましくない。(当然操の耳にも入るだろう・・操には十六夜丸の件は首を突っ込ませたくないからな。)その件は了承するとしよう。」
「いろいろ気遣いさせてごめんね・・・でもこれで何だか少し気が楽になったみたい。ありがとう、蒼紫。」
「・・・礼を言われるほどのことでもない。」
そういう蒼紫はいつものすまし顔。
武尊はそんな蒼紫の顔をちらっと見て
(変わった人だけど・・やっぱりいい人だ。)
と、京都の葵屋で感じ印象を思い出して冷たいようだけれど実は世話焼きな人なんだなと再認識してちょっと嬉しくなったりした。
そして蒼紫に聞いてもらえるか分からないけれど武尊は一つ提言してみた。
「もしよかったら恵さんの所までまだまだあるし、もしよかったら歩きながらこの間の三国志の話、もう一度してもらってもいい?私途中で寝ちゃったから・・・ちょっと続きが気になってたんだ。」
と、言いながら武尊は目でも訴えた。
いきなり話題を変えられつつも、
「そうだな、武尊は途中で寝てしまっていたんだったな。仕方ない・・・何処からだ。」
と言う蒼紫の口元は少し笑っていた。
そう武尊に言われて了承の意を表したものの蒼紫は納得はしていなかった。
武尊がどう言おうと武尊の命に係わることであれば蒼紫は緋村を止める気でいた。
たとえ武尊に後で何と言われようが、だ。
蒼紫は武尊の言葉の中に“償いの為なら己の死も構わない”という意志があるのが見え隠れするのに気づくがそれをやめさせる、若しくは変えさせるという言葉が見つからない。
なぜならその答えは自分で導き出さなけれな真に自分のものとはならない、という事を蒼紫は知っているからだ。
(俺の場合もそうだったのだ・・・。)
だが蒼紫は思う。
自分は志々雄のアジトで自分の死を持ってすべてを終わらせると緋村と決していた時は感情などなかった。
ただ勝って【最強】という称号を手にする、それだけが執念の修羅であった。
なのに今目の前の武尊は・・・。
「武尊、何故そのように笑えるのだ・・・かと言ってそれが偽りの笑いには見えぬ。」
「ん?」
武尊は先程は何もなかったかのように、にこやかに蒼紫に振り向いた。
「隠すな、十六夜丸の尻拭いなら何をされてもいいなどと言うのはその先には死があるかも知れないという事を受け入れているという事ではないのか。普通、人は虐待されて喜びはしない。以前笑えるようにならなければと言っていたのはそういう笑いのことなのか。」
「・・・・よくわからない。・・・・でも・・・・。」
武尊の顔から一瞬笑みが消え、
「私には(失うものなんて)何もないから・・・・・・。」
と言って武尊は遠くを見つめた。
「私の命が償いの為に生かされているのだったらそうするしかない・・・それにこんな私の人生でもいい事があったからもうそれで十分。本当は十六夜丸の謎を解いて真実を知りたいんだけど、恨みを持っている人から逃げるわけにいかないよね・・・。」
と言うと武尊はまた笑顔に戻った。
そして、
「笑えるのは師匠と斎藤さんと蒼紫の前ぐらいだけどね・・・。」
と、武尊ははにかんだ。
蒼紫は武尊の言葉を聞いて自分の名が呼ばれたことを嬉しく思いながらもそのはにかみが痛々しいと、そして武尊の為に力になってやりたいと思った。
「気休めにしかならんかもしれんが明日は俺も道場にいる。そんなに心配するな、武尊。」
「蒼紫・・。」
武尊は蒼紫の意外な言葉に少し驚いた。
「俺が出来ることはそれぐらいしかないが・・・。」
言葉少ないが蒼紫の飾らない実直な言葉。
それが武尊の心を包み込んでいく。
「・・・ありがとう。」
武尊も真っ直ぐな瞳で蒼紫を見つめた。
「武尊・・・。」
「あ・・・でもね、もし抜刀斎さんが・・・私の事を十六夜丸だって気が付かなかった時の事を考えて私が十六夜丸っていう事は黙っててもらってもいい?」
と、武尊は急に思いついて蒼紫に提言をした。
「狡い考えかもしれないけど、十六夜丸のことなんて・・・記憶にないのだったらないままほうがいい・・・。若しそうだったら私は私として師匠のお弟子さんと真っ直ぐ対面できそうだもの・・・。」
「十六夜丸ほどの使い手を緋村が覚えてないとは到底思えんが無用な先入観が神谷道場に蔓延するのは好ましくない。(当然操の耳にも入るだろう・・操には十六夜丸の件は首を突っ込ませたくないからな。)その件は了承するとしよう。」
「いろいろ気遣いさせてごめんね・・・でもこれで何だか少し気が楽になったみたい。ありがとう、蒼紫。」
「・・・礼を言われるほどのことでもない。」
そういう蒼紫はいつものすまし顔。
武尊はそんな蒼紫の顔をちらっと見て
(変わった人だけど・・やっぱりいい人だ。)
と、京都の葵屋で感じ印象を思い出して冷たいようだけれど実は世話焼きな人なんだなと再認識してちょっと嬉しくなったりした。
そして蒼紫に聞いてもらえるか分からないけれど武尊は一つ提言してみた。
「もしよかったら恵さんの所までまだまだあるし、もしよかったら歩きながらこの間の三国志の話、もう一度してもらってもいい?私途中で寝ちゃったから・・・ちょっと続きが気になってたんだ。」
と、言いながら武尊は目でも訴えた。
いきなり話題を変えられつつも、
「そうだな、武尊は途中で寝てしまっていたんだったな。仕方ない・・・何処からだ。」
と言う蒼紫の口元は少し笑っていた。