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114.千枚漬 (蒼紫・夢主・斎藤)
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武尊と蒼紫はおにぎりを食べた後、二人は並んで診療所へ向かってゆっくりと歩き出した。
「神谷道場の方は空けても大丈夫なんですか?」
「嗚呼、それならまったく問題ない。瓦礫も大分片付けた。」
「大変でしたね、なんかそんな時に伺うのも気が引けます。」
「ん?顔出しの日は決まったのか?」
「それが・・・、急な話で申し訳ないのですが明日伺いたいのですが・・・。」
「明日か、急だな。」
「斎藤さんが、次の任務が決まったら忙しくなるから今のうちに行っておけと・・・。抜刀斎さんが帰って来るのが今日の夜でその翌日の訪問なので本当都合が悪ければ玄関先でかまいませんので顔だけでも出したいのですが・・・。」
「緋村は神谷道場の客分で道場主は神谷薫という若い女だ。二人とも京都から帰って翌日という事になろうが顔を出すぐらいの訪問であれば問題ないだろう。」
「二人とも?」
武尊は一瞬、あれっと思いオウム返しに聞いた。
「ああ、緋村は京都に神谷薫を連れて行っている。つまり二人は・・なんだ、その・・世間でいう所の良い仲という事だ。」
「へえぇ・・。」
武尊は抜刀斎が女連れであったことよりも、蒼紫がそんな痴話話に興味があったのかとそっちの方に驚いた。
「・・・それって秘密の話なんですか?」
「いや、周囲の者は皆知っている事だ。俺が別にここで言わなくてもすぐに分かる。だがこれも事前情報として聞いておいてくれ・・神谷薫に危害が及ぶようなことがあれば緋村の逆鱗に触れることになる、という事を覚えておいた方がいい。」
だが武尊にとって今の蒼紫の話は『覚えておいた方がいい』ぐらいで済まない大事な話だった。
「分かりました。斎藤さんの話だと、神谷道場の人達は甘々・・じゃなくて優しい方達だと思っていましたけどやっぱり気を引き締めて行くことにしますね。」
「いや、そんなに気にすることはないと思うが・・普段の緋村は・・・。」
「いえ・・・私・・・抜刀斎さんと殺りあったことあるんですって。」
「!」
蒼紫ははっとした。
今まで蒼紫も武尊に十六夜丸の事はつっこんで聞いてはいなかった。
聞く機会がなかったといえばそうなのだが、斎藤は確か十六夜丸と殺りあったと言っていた。十六夜丸と治安を維持する為の組織新撰組とは対峙することはあっただろうと考えていた蒼紫だが緋村と十六夜丸が敵同士だったとは思っていなかった。
なぜなら翁の話によると十六夜丸が狙っていたのは薩摩の人間ばかりだという事だったからだ。
と、思案する蒼紫に武尊は話を続ける。
「・・もちろん相手は十六夜丸ですけど。って、斎藤さんが教えてくれました・・・だからやっぱり警戒していかないと・・・私の顔をみて私が神谷さんに危害を加えると判断されたら・・・。」
武尊は別に蒼紫の事を言っているわけではないと蒼紫から目を離して地面の石ころをコツっと蹴った。
「・・・・。」
蒼紫は自分が葵屋で武尊に会った時の事を思い出した。
痛いと叫ぶ武尊の手首を本気で砕いてやろうと思った事。
武尊は前を向いて歩き続けた。
きっと蒼紫が自分にした事を思い出して気にしているのではないかと思ったからだ。
武尊はそのまま話を続けた。
「斎藤さんは抜刀斎さんはもう人斬りじゃないから無害だって言うんですけど・・・。」
「俺の所為か・・・。」
「いえ、蒼紫の気持ちも分かるからあの件は気にしないで。」
と、ここでようやく武尊は蒼紫を見てにこっと笑った。
「武尊。」
「あれはあれで私にはいい教訓になったし・・、出会い頭じゃなければ同じ手は喰わないですよ・・ってそれじゃだめか。」
「・・・・。」
「蒼紫も明日は道場にいるの?」
「嗚呼・・。(武尊が来ると言うのに出かけるわけがないだろう。)」
「だったら・・・一つ約束して欲しいことがあるんですけど。」
「何だ・・。」
「若し・・・、万が一・・・、私が抜刀斎さんに何かされても絶対止めないでください。それが十六夜丸に対する抜刀斎さんの行動だったら私は受け止めないといけないから。」
「武尊は十六夜丸などでは・・!」
「お願いします、手は出さないで。」
武尊は歩いている足を止めて蒼紫をじっと見上げた。
「・・・・。」
蒼紫はそうはいかんと言いたかった。
いくら緋村が逆刃刀で不殺(ころさず)の剣を振るっていようが、あの威力をまともに喰らっては無事では済まない。
まして今の武尊は一昨日まで死線をさまよっていた怪我人である。
蒼紫は武尊の真剣な眼差しを受け止めながら今までの緋村との死闘、今回の縁との闘いの中での緋村を振り返っていた。
それから洞察する現在の【緋村抜刀斎】という人物・・・。
(緋村は確かに激情的な面もある・・・だが今の緋村なら・・・大丈夫だ・・・武尊はきっと大丈夫だ。)
ようやくそう結論付けた蒼紫は暫しの沈黙を経て、
「・・・・よかろう。」
と重い返事をした。
「ありがとう、蒼紫・・・。」
武尊は笑っていた。
豆知識:
章のタイトル【千枚漬け】の話は最初の1ページしにか出てきません。^^;
(そしてサブタイトルと合ってないですがそこはスルーで・・。)
その起源は今回調べてみて初めて初めて知りました。
たまたま開いたHPがどうやら【千枚漬本家】と書いてありましてそれによりますと、
・・幕末動乱にゆれる京都で 宮中で働くひとりの料理方が聖護院かぶらを使って一皿の浅漬けを生み出しました。
とありました。
漬物といえば保存食でしたのでかなりしょっぱかったのかなと思われます。
そのなかで【千枚漬】は絶賛されたと言います。
その後この料理方(大黒屋藤三郎さん)が御所を下がり、「大藤」という暖簾を上げたのが【千枚漬】の発祥だそうです。
私が【千枚漬】を食べたのがその昔修学旅行で京都に行った時でした。
お漬物なんてお年寄りが食べるものだと思っていたもんでしたが、もうこれを食べた瞬間とりこになりました。(笑)
その後、他のお店にも製法が伝わったのでしょう、今日京都ではいろいろなお漬物屋さんが【千枚漬】をつくっておられます。
「神谷道場の方は空けても大丈夫なんですか?」
「嗚呼、それならまったく問題ない。瓦礫も大分片付けた。」
「大変でしたね、なんかそんな時に伺うのも気が引けます。」
「ん?顔出しの日は決まったのか?」
「それが・・・、急な話で申し訳ないのですが明日伺いたいのですが・・・。」
「明日か、急だな。」
「斎藤さんが、次の任務が決まったら忙しくなるから今のうちに行っておけと・・・。抜刀斎さんが帰って来るのが今日の夜でその翌日の訪問なので本当都合が悪ければ玄関先でかまいませんので顔だけでも出したいのですが・・・。」
「緋村は神谷道場の客分で道場主は神谷薫という若い女だ。二人とも京都から帰って翌日という事になろうが顔を出すぐらいの訪問であれば問題ないだろう。」
「二人とも?」
武尊は一瞬、あれっと思いオウム返しに聞いた。
「ああ、緋村は京都に神谷薫を連れて行っている。つまり二人は・・なんだ、その・・世間でいう所の良い仲という事だ。」
「へえぇ・・。」
武尊は抜刀斎が女連れであったことよりも、蒼紫がそんな痴話話に興味があったのかとそっちの方に驚いた。
「・・・それって秘密の話なんですか?」
「いや、周囲の者は皆知っている事だ。俺が別にここで言わなくてもすぐに分かる。だがこれも事前情報として聞いておいてくれ・・神谷薫に危害が及ぶようなことがあれば緋村の逆鱗に触れることになる、という事を覚えておいた方がいい。」
だが武尊にとって今の蒼紫の話は『覚えておいた方がいい』ぐらいで済まない大事な話だった。
「分かりました。斎藤さんの話だと、神谷道場の人達は甘々・・じゃなくて優しい方達だと思っていましたけどやっぱり気を引き締めて行くことにしますね。」
「いや、そんなに気にすることはないと思うが・・普段の緋村は・・・。」
「いえ・・・私・・・抜刀斎さんと殺りあったことあるんですって。」
「!」
蒼紫ははっとした。
今まで蒼紫も武尊に十六夜丸の事はつっこんで聞いてはいなかった。
聞く機会がなかったといえばそうなのだが、斎藤は確か十六夜丸と殺りあったと言っていた。十六夜丸と治安を維持する為の組織新撰組とは対峙することはあっただろうと考えていた蒼紫だが緋村と十六夜丸が敵同士だったとは思っていなかった。
なぜなら翁の話によると十六夜丸が狙っていたのは薩摩の人間ばかりだという事だったからだ。
と、思案する蒼紫に武尊は話を続ける。
「・・もちろん相手は十六夜丸ですけど。って、斎藤さんが教えてくれました・・・だからやっぱり警戒していかないと・・・私の顔をみて私が神谷さんに危害を加えると判断されたら・・・。」
武尊は別に蒼紫の事を言っているわけではないと蒼紫から目を離して地面の石ころをコツっと蹴った。
「・・・・。」
蒼紫は自分が葵屋で武尊に会った時の事を思い出した。
痛いと叫ぶ武尊の手首を本気で砕いてやろうと思った事。
武尊は前を向いて歩き続けた。
きっと蒼紫が自分にした事を思い出して気にしているのではないかと思ったからだ。
武尊はそのまま話を続けた。
「斎藤さんは抜刀斎さんはもう人斬りじゃないから無害だって言うんですけど・・・。」
「俺の所為か・・・。」
「いえ、蒼紫の気持ちも分かるからあの件は気にしないで。」
と、ここでようやく武尊は蒼紫を見てにこっと笑った。
「武尊。」
「あれはあれで私にはいい教訓になったし・・、出会い頭じゃなければ同じ手は喰わないですよ・・ってそれじゃだめか。」
「・・・・。」
「蒼紫も明日は道場にいるの?」
「嗚呼・・。(武尊が来ると言うのに出かけるわけがないだろう。)」
「だったら・・・一つ約束して欲しいことがあるんですけど。」
「何だ・・。」
「若し・・・、万が一・・・、私が抜刀斎さんに何かされても絶対止めないでください。それが十六夜丸に対する抜刀斎さんの行動だったら私は受け止めないといけないから。」
「武尊は十六夜丸などでは・・!」
「お願いします、手は出さないで。」
武尊は歩いている足を止めて蒼紫をじっと見上げた。
「・・・・。」
蒼紫はそうはいかんと言いたかった。
いくら緋村が逆刃刀で不殺(ころさず)の剣を振るっていようが、あの威力をまともに喰らっては無事では済まない。
まして今の武尊は一昨日まで死線をさまよっていた怪我人である。
蒼紫は武尊の真剣な眼差しを受け止めながら今までの緋村との死闘、今回の縁との闘いの中での緋村を振り返っていた。
それから洞察する現在の【緋村抜刀斎】という人物・・・。
(緋村は確かに激情的な面もある・・・だが今の緋村なら・・・大丈夫だ・・・武尊はきっと大丈夫だ。)
ようやくそう結論付けた蒼紫は暫しの沈黙を経て、
「・・・・よかろう。」
と重い返事をした。
「ありがとう、蒼紫・・・。」
武尊は笑っていた。
豆知識:
章のタイトル【千枚漬け】の話は最初の1ページしにか出てきません。^^;
(そしてサブタイトルと合ってないですがそこはスルーで・・。)
その起源は今回調べてみて初めて初めて知りました。
たまたま開いたHPがどうやら【千枚漬本家】と書いてありましてそれによりますと、
・・幕末動乱にゆれる京都で 宮中で働くひとりの料理方が聖護院かぶらを使って一皿の浅漬けを生み出しました。
とありました。
漬物といえば保存食でしたのでかなりしょっぱかったのかなと思われます。
そのなかで【千枚漬】は絶賛されたと言います。
その後この料理方(大黒屋藤三郎さん)が御所を下がり、「大藤」という暖簾を上げたのが【千枚漬】の発祥だそうです。
私が【千枚漬】を食べたのがその昔修学旅行で京都に行った時でした。
お漬物なんてお年寄りが食べるものだと思っていたもんでしたが、もうこれを食べた瞬間とりこになりました。(笑)
その後、他のお店にも製法が伝わったのでしょう、今日京都ではいろいろなお漬物屋さんが【千枚漬】をつくっておられます。