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83.口外無用 (斎藤・夢主・蒼紫・恵)
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廊下には蒼紫がいた。
「話は終わったのか。」
斎藤は煙草に火をつけて、
「話の途中で邪魔が入った所為で雰囲気が壊れて切り上げた。だが武尊の身体の事を考えるとこれ以上は疲れさせるだけのようだから時間的には丁度よかったか。」
と、言って外を見ながら煙草をふかした。
「斎藤・・・・・、お前は知っていたのか。十六夜丸が武尊本人だったという事を。」
「お前も知っていたんじゃないのか。」
斎藤は煙草を吸うと振り向き蒼紫をじろりと見た。
蒼紫は、
「嗚呼、そうではないかと思っていた。だが、十一年も経つと言うのに変わらぬ風貌に納得がいっていなかった。」
「そうか、お前は十一年前は十六夜丸しか見ていなかったのか。俺は幕末に武尊会っているからあまり違和感を感じなかったがな。・・・確かに歳の取り方が妙だと最初は思いはしたが・・・、だがそれも十六夜丸の力の所為かとも思えば合点がいかないことでもない。」
「ではやはり武尊は十六夜丸・・・・。」
「嗚呼。俺達が見たものそれが真実だ。」
「・・・・・。」
蒼紫は昨日洗濯をしながら、己で『これは現実だ』と結論を導き出したはずだったのにやはり心のどこかで否定していた。
いや、否定したかったのだ。
だが、斎藤に同じことを言われ帰す言葉がない。
(十六夜丸の力・・・。)
別に十六夜丸が憑依する人間の若さを保つわけではないのだが、斎藤と蒼紫はそう考えた。
「だがこの事は口外無用だ、四乃森。俺が言いたいのはそれだけだ。幕末十六夜丸を利用していた奴らが今も生き残っていて、十六夜丸の存在を知れば武尊が巻き込まれる可能性がある。」
斎藤はそう言った後、
「巡察の途中なんで俺はもう行くが、俺の目の届かない所で武尊に手を出すなよ。」
と、釘をさし蒼紫に背を向け歩き出した。
立ち去る斎藤に蒼紫は、
「行方不明の雪代縁を探しているのか。」
と後ろから声をかけると、斎藤はフンと鼻をならし振り返ることなく立ち止まり、
「あんなヌケガラ、今更何が出来るという。放っておいても何も出来まい。だが、不思議なことに雪代縁の追及の命は解けん・・・。」
まるで警察の目を他の何かから逸らす様だと斎藤は感じながらそう言った。
「俺の方は残務を警察署に申し送ったんでこの件は終わりだ。すでに来週辺り別命を受ける事だろうがな。」
蒼紫の問いに斎藤はそう答えると、今度こそ巡察へ戻って行った。
蒼紫は、静かに病室の扉を開け、武尊の傍へ立った。
武尊は斎藤の話の通り、疲れたのか眠っていた。
蒼紫は武尊の寝顔を見降ろしながら、
「武尊・・。」
と小さく名前を呼んだ。
「話は終わったのか。」
斎藤は煙草に火をつけて、
「話の途中で邪魔が入った所為で雰囲気が壊れて切り上げた。だが武尊の身体の事を考えるとこれ以上は疲れさせるだけのようだから時間的には丁度よかったか。」
と、言って外を見ながら煙草をふかした。
「斎藤・・・・・、お前は知っていたのか。十六夜丸が武尊本人だったという事を。」
「お前も知っていたんじゃないのか。」
斎藤は煙草を吸うと振り向き蒼紫をじろりと見た。
蒼紫は、
「嗚呼、そうではないかと思っていた。だが、十一年も経つと言うのに変わらぬ風貌に納得がいっていなかった。」
「そうか、お前は十一年前は十六夜丸しか見ていなかったのか。俺は幕末に武尊会っているからあまり違和感を感じなかったがな。・・・確かに歳の取り方が妙だと最初は思いはしたが・・・、だがそれも十六夜丸の力の所為かとも思えば合点がいかないことでもない。」
「ではやはり武尊は十六夜丸・・・・。」
「嗚呼。俺達が見たものそれが真実だ。」
「・・・・・。」
蒼紫は昨日洗濯をしながら、己で『これは現実だ』と結論を導き出したはずだったのにやはり心のどこかで否定していた。
いや、否定したかったのだ。
だが、斎藤に同じことを言われ帰す言葉がない。
(十六夜丸の力・・・。)
別に十六夜丸が憑依する人間の若さを保つわけではないのだが、斎藤と蒼紫はそう考えた。
「だがこの事は口外無用だ、四乃森。俺が言いたいのはそれだけだ。幕末十六夜丸を利用していた奴らが今も生き残っていて、十六夜丸の存在を知れば武尊が巻き込まれる可能性がある。」
斎藤はそう言った後、
「巡察の途中なんで俺はもう行くが、俺の目の届かない所で武尊に手を出すなよ。」
と、釘をさし蒼紫に背を向け歩き出した。
立ち去る斎藤に蒼紫は、
「行方不明の雪代縁を探しているのか。」
と後ろから声をかけると、斎藤はフンと鼻をならし振り返ることなく立ち止まり、
「あんなヌケガラ、今更何が出来るという。放っておいても何も出来まい。だが、不思議なことに雪代縁の追及の命は解けん・・・。」
まるで警察の目を他の何かから逸らす様だと斎藤は感じながらそう言った。
「俺の方は残務を警察署に申し送ったんでこの件は終わりだ。すでに来週辺り別命を受ける事だろうがな。」
蒼紫の問いに斎藤はそう答えると、今度こそ巡察へ戻って行った。
蒼紫は、静かに病室の扉を開け、武尊の傍へ立った。
武尊は斎藤の話の通り、疲れたのか眠っていた。
蒼紫は武尊の寝顔を見降ろしながら、
「武尊・・。」
と小さく名前を呼んだ。