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70.夜明けは始まりの合図 (蒼紫・恵・夢主・夢主の中に潜むもの)
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蒼紫は自分と武尊の服を持って洗い場へ向かった。
空は日の出前でオレンジ色の光が広がっている。
もうすぐ夜明けだ。
恵の言った洗い場はすぐに分かった。
「石鹸があるのか。さすが診療所だな。」
と、蒼紫は一人で呟くと洗い桶に井戸の水を汲んで血で汚れた衣類を浸けた。
蒼紫はまず武尊の制服を取り、石鹸を布地にこすり付け指で揉む。
雨でずぶ濡れのだった服の血は乾いておらず、泡がみるみるうちに赤く染まっる。
自分が斬った武尊の制服は使い物にならないくらいに切れていたし、斎藤がぶっちぎった襟元も布地に大穴が開いていた。
武尊の服を手に、骨をも断ち切ったとばかりに思っていたその斬り裂かれた身体が目の前で修復されていく信じがたい出来事が思い出される。
・・・だが紛れもなく己の目が見ていた事だ。
それが現実。だが人間にはそんなことは出来ない。
「十六夜丸とは神か・・・?」
蒼紫はそう口にしたがすぐに否定した。
「いや、神ならあのように交戦的で破壊を喜びとするような顔はしないな・・・・。」
では十六夜丸とは物の怪なのか?
蒼紫は今までそんな物の存在なんて信じてはいなかった。
だが斎藤が飲ませた何かによって武尊に物の怪が憑りつく・・・・、と、仮定すれば合点がいく。
だが、『有得ない』と現実主義者の蒼紫は信じることが出来ない。
(しかし、受け入れるべきなのだろう・・武尊の場合は。)
それが紛れもない現実だからだ。
蒼紫は自分にそう言い聞かせた。
パン!
蒼紫が洗い終わった武尊の制服を絞った後、広げて一振りするといい音がした。
蒼紫は広げた武尊の制服の背中に二本の斬り裂かれた箇所から向こうの景色が見えるのを見て改めて険しい顔をした。
無言でそれを物干し竿に干すと、次に自分の着物を無言で洗ってさっさと干すと、病室の方へ戻った。
だが、その途中廊下で蒼紫の耳に微かだが武尊の声が届いた。
蒼紫が微かに聞いた声というのは紛れもない、いつか自分が武尊を啼かした時に聞いたあの濡れた声。
蒼紫ははっとし、急いで病室へ戻って扉を開いた。
「斎藤!」
生死の縁を彷徨っている武尊に何をする!と言うつもりだったが部屋には誰もいない。
「くぁ・・・、ぁっ・・・、ぅん・・。」
息を荒くして頬を紅潮させる武尊に蒼紫は武尊に駆け寄った。
その瞬間、
バチッ!
蒼紫の手に強烈な痺れが走り、その手がはじかれた。
「!!」
突然の衝撃に一瞬驚く蒼紫だったが、
武尊を心配し再び触れようと手を伸ばすがやはり、手に衝撃が走りはじかれる。
「ああっ!!」
悲鳴を上げる武尊に大丈夫かと手を差し出すが何度やっても見えない力にはじかれ武尊に触れる事が出来ない。
「何なんだ・・・。」
その間にもまるで犯されているように苦しそうに喘いで啼く武尊。
「お前か!十六夜丸、お前の仕業なのか!」
姿の見えない十六夜丸向かって蒼紫は問うが答えはない。
蒼紫はぎりりと唇を噛み、武尊を見た。
見ているしかなかった・・・・・・・。
空は日の出前でオレンジ色の光が広がっている。
もうすぐ夜明けだ。
恵の言った洗い場はすぐに分かった。
「石鹸があるのか。さすが診療所だな。」
と、蒼紫は一人で呟くと洗い桶に井戸の水を汲んで血で汚れた衣類を浸けた。
蒼紫はまず武尊の制服を取り、石鹸を布地にこすり付け指で揉む。
雨でずぶ濡れのだった服の血は乾いておらず、泡がみるみるうちに赤く染まっる。
自分が斬った武尊の制服は使い物にならないくらいに切れていたし、斎藤がぶっちぎった襟元も布地に大穴が開いていた。
武尊の服を手に、骨をも断ち切ったとばかりに思っていたその斬り裂かれた身体が目の前で修復されていく信じがたい出来事が思い出される。
・・・だが紛れもなく己の目が見ていた事だ。
それが現実。だが人間にはそんなことは出来ない。
「十六夜丸とは神か・・・?」
蒼紫はそう口にしたがすぐに否定した。
「いや、神ならあのように交戦的で破壊を喜びとするような顔はしないな・・・・。」
では十六夜丸とは物の怪なのか?
蒼紫は今までそんな物の存在なんて信じてはいなかった。
だが斎藤が飲ませた何かによって武尊に物の怪が憑りつく・・・・、と、仮定すれば合点がいく。
だが、『有得ない』と現実主義者の蒼紫は信じることが出来ない。
(しかし、受け入れるべきなのだろう・・武尊の場合は。)
それが紛れもない現実だからだ。
蒼紫は自分にそう言い聞かせた。
パン!
蒼紫が洗い終わった武尊の制服を絞った後、広げて一振りするといい音がした。
蒼紫は広げた武尊の制服の背中に二本の斬り裂かれた箇所から向こうの景色が見えるのを見て改めて険しい顔をした。
無言でそれを物干し竿に干すと、次に自分の着物を無言で洗ってさっさと干すと、病室の方へ戻った。
だが、その途中廊下で蒼紫の耳に微かだが武尊の声が届いた。
蒼紫が微かに聞いた声というのは紛れもない、いつか自分が武尊を啼かした時に聞いたあの濡れた声。
蒼紫ははっとし、急いで病室へ戻って扉を開いた。
「斎藤!」
生死の縁を彷徨っている武尊に何をする!と言うつもりだったが部屋には誰もいない。
「くぁ・・・、ぁっ・・・、ぅん・・。」
息を荒くして頬を紅潮させる武尊に蒼紫は武尊に駆け寄った。
その瞬間、
バチッ!
蒼紫の手に強烈な痺れが走り、その手がはじかれた。
「!!」
突然の衝撃に一瞬驚く蒼紫だったが、
武尊を心配し再び触れようと手を伸ばすがやはり、手に衝撃が走りはじかれる。
「ああっ!!」
悲鳴を上げる武尊に大丈夫かと手を差し出すが何度やっても見えない力にはじかれ武尊に触れる事が出来ない。
「何なんだ・・・。」
その間にもまるで犯されているように苦しそうに喘いで啼く武尊。
「お前か!十六夜丸、お前の仕業なのか!」
姿の見えない十六夜丸向かって蒼紫は問うが答えはない。
蒼紫はぎりりと唇を噛み、武尊を見た。
見ているしかなかった・・・・・・・。