※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
68.2×刀>50×短銃 (斎藤・張)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「雨が随分と小降りになったな。」
斎藤は倉庫の近くの木まで来ると、その下で雨がなるべくかからない所でポケットをまさぐり煙草の箱を出すと一本口にくわえた。
マッチの箱は水分を吸って少しよれていたが斎藤は中のなるべく湿気ていないようなマッチを選ぶと、マッチ擦った。
弱弱しい炎がかろうじて点くとなんとか煙草に火がつき、斎藤はその煙をうまそうに肺に取り入れた。
フゥ-、っと一息ついている斎藤に、張が手振り身振りで、
『旦那、こんな(倉庫の)近くで煙草なんか吸うとる場合じゃありませんで。』
と言うが、斎藤は、
「煙草ぐらい吸わせろよ。雨の所為でずっと吸えなかったんだからな。」
と張に言った。
その後一瞬斎藤の眼がどこか遠くを写したが、すぐ、目の前の倉庫に視線を移した。
(行くぞ・・・武尊。)
心の中でそう呟くと斎藤は倉庫の入り口に近づいた。
入り口はまるで中に得体が知れない魔物が黒い口を開けているかのようだった。
中では先ほど様子を見に行った以外の者は武器を構え倉庫内に分散して隠れていた。
斎藤が入り口に立つと、ス-、っと煙草の煙が真っ暗な倉庫内に流れて行く。
「ふっ、それで隠れているつもりか。殺気が丸出しだな。」
斎藤は鼻で笑うと真っ暗な倉庫内を睨んだ。
倉庫の中は古い木箱や金属の部品、それらを置く棚などがある。
軍人達はそれを利用して隠れているわけだが、斎藤にとっては気配でどこに人が隠れているのか丸わかりだった。
斎藤は真っ直ぐ正面へ向かって歩き出した。
消された蝋燭の匂い。
間違いなくここに今まで何かが行われていた証拠。
暗い中、斎藤の足音と、赤い煙草の火だけが闇を移動する。
すると突然、
「・・・・・警官が海軍の立ち入り禁止区域に何の用だ。」
と、正面奥から声がした。
「ほう、この暗闇の中、俺が警官だと分かるのか?」
「その声を聞けば嫌でも分かってしまうというものだ。」
「分かっているなら話が早い。ここに隠してあった上海マフィアから買った多量の武器・・・・。今度は何処へ持って行く。とっとと捕縛されて主謀者と目的を吐いてもらおうか。この間の夜会襲撃の件、ここの改良型ア-ムストロンング砲が使われたのは分かっているんだ。」
「さて・・・・、何の事かな。」
「何の事だと?そう堂々としらを切られても困るんだがな。」
そう言って斎藤は暗闇の一点を睨んだ。
「上海マフィアの件については一応けりがついたと聞いていたんだが、まさか嗅ぎつけられていたとは・・・。」
「それは残念だったな。こっちには優秀な部下がいるんでな。ま、そういう訳で不法な武器は没収だ。肝心な武器がなければお前達にはどうすることも出来まい、おとなしく警視庁の方まで来てもらおうか。」
「何を戯言を・・・。」
斎藤と話している男は闇の中でニヤっと笑った。
「お前はここで死ぬんだ、斎藤一。この暗闇で御丁寧に煙草をつけて自分の位置を教えているお前は何十という短銃に狙われているんだ。その恐怖を味わいながら死ぬがいい。」
「・・・阿呆が、折角牢獄へ入る機会を与えてやったのに。」
斎藤はつぶやくと刀を抜いた。
その男が撃てという前に、ヒュっと、微かに空気を切り裂く音がすると、入り口付近で数人の叫び声が聞こえた。
「何だ!」
と、その男が思わず叫ぶと、誰もが斎藤にばかり気を向けている間に入り口から侵入した張が、
「見晒せ!わいの一番の愛刀『薄刃乃太刀』や!なかなか見れるもんやあらへんで。ああっ、あかん、こんなに暗いと折角のええもんが何も見えへん!」
と、言った。
いきなりの関西弁の突っ込みに静の空気が一気に崩れた。
(阿呆が・・・。)
斎藤がため息をついた。
周りの明らかに張に向けられた微妙な空気を察してか、
「こら、何ボケ~っと口開いてんねん!暗闇の中で狙えるのは短銃を持ったあんさん達だけでないちゅう事や。これからたっぷり実演してやるさかい、楽しみに待っときや~!」
と張が叫ぶと周りがざわめいた。
リ-ダ-格の男が、
「挑発に乗るな!まずこっちの男を狙え!撃て、撃て~!」
と言うが、入り口近くではすでに無数の叫び声があがっている。
と、同時に短銃の発砲音があちこちで鳴り響く。
「やめろ!撃つな!味方同士相撃ちになるぞ!」
そうは言われても、次は自分が殺られる番だという恐怖から発砲という動作を止めさせられない。
『薄刃乃太刀』、その姿は普通の刀と比べると異形である。
強度を保ったまま極限まで薄くしたその刃はとても長く、かつ、蛇のようにしなり、自由自在に操れる。
暗闇において相手に自分の位置を悟らせず、距離を置きながら不意に攻撃をするのには適した武器と言える。
そんな刀を操る張は十本刀の一人だった男。
その実力は抜刀斎にやぶれたとはいえ、並大抵ではない。
素人軍人の気配など剣客の張にも丸わかりだった。
それに暗闇で発砲すれば銃口から火が噴く。
張にとって暗闇の中の闘いはたやすい事だった。
一方、斎藤の煙草の火をめがけての発砲も多数同時に行われたが、それらはそこにあるはずの斎藤をすり抜けた。
斎藤は持っていた煙草を数秒前に自分のすぐ横にあった棚に置いていたのであった。
そして、そのまま正面の方へ歩き、先程の『やめろ!撃つな!相撃ちになるぞ』と言ったリーダー格の男の気配を確認した。
(そこか・・・・。)
斎藤は狙いをつけると一気に突きを繰り出した。
斎藤は倉庫の近くの木まで来ると、その下で雨がなるべくかからない所でポケットをまさぐり煙草の箱を出すと一本口にくわえた。
マッチの箱は水分を吸って少しよれていたが斎藤は中のなるべく湿気ていないようなマッチを選ぶと、マッチ擦った。
弱弱しい炎がかろうじて点くとなんとか煙草に火がつき、斎藤はその煙をうまそうに肺に取り入れた。
フゥ-、っと一息ついている斎藤に、張が手振り身振りで、
『旦那、こんな(倉庫の)近くで煙草なんか吸うとる場合じゃありませんで。』
と言うが、斎藤は、
「煙草ぐらい吸わせろよ。雨の所為でずっと吸えなかったんだからな。」
と張に言った。
その後一瞬斎藤の眼がどこか遠くを写したが、すぐ、目の前の倉庫に視線を移した。
(行くぞ・・・武尊。)
心の中でそう呟くと斎藤は倉庫の入り口に近づいた。
入り口はまるで中に得体が知れない魔物が黒い口を開けているかのようだった。
中では先ほど様子を見に行った以外の者は武器を構え倉庫内に分散して隠れていた。
斎藤が入り口に立つと、ス-、っと煙草の煙が真っ暗な倉庫内に流れて行く。
「ふっ、それで隠れているつもりか。殺気が丸出しだな。」
斎藤は鼻で笑うと真っ暗な倉庫内を睨んだ。
倉庫の中は古い木箱や金属の部品、それらを置く棚などがある。
軍人達はそれを利用して隠れているわけだが、斎藤にとっては気配でどこに人が隠れているのか丸わかりだった。
斎藤は真っ直ぐ正面へ向かって歩き出した。
消された蝋燭の匂い。
間違いなくここに今まで何かが行われていた証拠。
暗い中、斎藤の足音と、赤い煙草の火だけが闇を移動する。
すると突然、
「・・・・・警官が海軍の立ち入り禁止区域に何の用だ。」
と、正面奥から声がした。
「ほう、この暗闇の中、俺が警官だと分かるのか?」
「その声を聞けば嫌でも分かってしまうというものだ。」
「分かっているなら話が早い。ここに隠してあった上海マフィアから買った多量の武器・・・・。今度は何処へ持って行く。とっとと捕縛されて主謀者と目的を吐いてもらおうか。この間の夜会襲撃の件、ここの改良型ア-ムストロンング砲が使われたのは分かっているんだ。」
「さて・・・・、何の事かな。」
「何の事だと?そう堂々としらを切られても困るんだがな。」
そう言って斎藤は暗闇の一点を睨んだ。
「上海マフィアの件については一応けりがついたと聞いていたんだが、まさか嗅ぎつけられていたとは・・・。」
「それは残念だったな。こっちには優秀な部下がいるんでな。ま、そういう訳で不法な武器は没収だ。肝心な武器がなければお前達にはどうすることも出来まい、おとなしく警視庁の方まで来てもらおうか。」
「何を戯言を・・・。」
斎藤と話している男は闇の中でニヤっと笑った。
「お前はここで死ぬんだ、斎藤一。この暗闇で御丁寧に煙草をつけて自分の位置を教えているお前は何十という短銃に狙われているんだ。その恐怖を味わいながら死ぬがいい。」
「・・・阿呆が、折角牢獄へ入る機会を与えてやったのに。」
斎藤はつぶやくと刀を抜いた。
その男が撃てという前に、ヒュっと、微かに空気を切り裂く音がすると、入り口付近で数人の叫び声が聞こえた。
「何だ!」
と、その男が思わず叫ぶと、誰もが斎藤にばかり気を向けている間に入り口から侵入した張が、
「見晒せ!わいの一番の愛刀『薄刃乃太刀』や!なかなか見れるもんやあらへんで。ああっ、あかん、こんなに暗いと折角のええもんが何も見えへん!」
と、言った。
いきなりの関西弁の突っ込みに静の空気が一気に崩れた。
(阿呆が・・・。)
斎藤がため息をついた。
周りの明らかに張に向けられた微妙な空気を察してか、
「こら、何ボケ~っと口開いてんねん!暗闇の中で狙えるのは短銃を持ったあんさん達だけでないちゅう事や。これからたっぷり実演してやるさかい、楽しみに待っときや~!」
と張が叫ぶと周りがざわめいた。
リ-ダ-格の男が、
「挑発に乗るな!まずこっちの男を狙え!撃て、撃て~!」
と言うが、入り口近くではすでに無数の叫び声があがっている。
と、同時に短銃の発砲音があちこちで鳴り響く。
「やめろ!撃つな!味方同士相撃ちになるぞ!」
そうは言われても、次は自分が殺られる番だという恐怖から発砲という動作を止めさせられない。
『薄刃乃太刀』、その姿は普通の刀と比べると異形である。
強度を保ったまま極限まで薄くしたその刃はとても長く、かつ、蛇のようにしなり、自由自在に操れる。
暗闇において相手に自分の位置を悟らせず、距離を置きながら不意に攻撃をするのには適した武器と言える。
そんな刀を操る張は十本刀の一人だった男。
その実力は抜刀斎にやぶれたとはいえ、並大抵ではない。
素人軍人の気配など剣客の張にも丸わかりだった。
それに暗闇で発砲すれば銃口から火が噴く。
張にとって暗闇の中の闘いはたやすい事だった。
一方、斎藤の煙草の火をめがけての発砲も多数同時に行われたが、それらはそこにあるはずの斎藤をすり抜けた。
斎藤は持っていた煙草を数秒前に自分のすぐ横にあった棚に置いていたのであった。
そして、そのまま正面の方へ歩き、先程の『やめろ!撃つな!相撃ちになるぞ』と言ったリーダー格の男の気配を確認した。
(そこか・・・・。)
斎藤は狙いをつけると一気に突きを繰り出した。