※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
67.雨の夜、診療所と見張り場 (蒼紫・恵・夢主・斎藤・張)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
蒼紫は恵の足音が遠ざかると雨ですっかり冷たくなった武尊の手を取って脈を診た。
「弱いな・・・・。」
蒼紫はそう呟くとその手を自分の両手で包み込むようにして握った。
そして心配そうに血の気のない武尊の顔をじっと見た。
「武尊・・・・。」
蒼紫は祈る様に両手に力を入れた。
と同時に、あの、武尊の背中を切り裂いた瞬間の事が蒼紫の脳裏によみがえった。
本当にあの時はもう終わったと思ったのだと。
と、蒼紫は故意ではないとはいえ、己の放った小太刀で武尊を死に至らしめたかもしれない悪夢のような出来事を思い出す。
もし、もう少し、刀を引くのが遅かったら間違いなく武尊の体は三つにバラされていた。
だが、そのあと、何が起こった・・・?
あの時は気が動転していたが今一度良く考えるんだと、自分に言い聞かせるようにして蒼紫は目を閉じた。
ひん死の武尊に斎藤は何かを飲ませた・・・・・。
薬か?
あれを飲むと武尊は十六夜丸になるのか?
斎藤はそれを知っていて黙っていたのか・・・・・。
武尊は・・・・知らなかったはずだ。
そうでなければ、あのように辛そうな顔をしたり悩んだりしない。
だが、幕末、江戸城に忍び込んだ十六夜丸に斎藤が後ろで糸を引いていたとは思えない・・・。
新撰組は幕府側だ。
将軍に刃向うようなことはすまい。
と、いうことは武尊が薬 によって十六夜丸になるという事を知っている人間が他にいて、それが十六夜丸を使っていたと考えるべきだが・・・。
・・・・・・何者だ。
そしてもう一つ、あれは誰が、何の為に、どうやって作ったか・・・・・。
いずれにせよ武尊の秘密を他に知られることはまずい。
薬があれば武尊はいつでも十六夜丸になってしまうのか?
そういえば翁によると十六夜丸は京では人を斬っていたんだったな。
・・・何の為に人を斬った?
・・・そして江戸城に侵入した本当の目的はなんだ?
俺や緋村、斎藤には闘う理由があった。
十六夜丸にはあったのか?
十六夜丸は確かに強い。
蒼紫は十六夜丸に会ったのは一度だがその顔は忘れない。
十六夜丸と同じ顔だが血のように紅い眼。
だがあの眼は何かを守りたいという眼ではなく、壊すのが楽しくてたまらないという眼だった。
あんなのが今出て来て人斬りを始めたら明治政府は大変なことになるだろう。
「・・・・・・。」
引っ掛かるな・・・、十六夜丸自信に闘う目的がないのなら何故十六夜丸は闘う?
金か?
いや、武尊に財があるような話は本人の話からしてもないだろう。
・・・・何故だ?
自らの意思でなければ何の為に闘う?
金でもなく、名誉でもなさそうだ。
・・・・・そもそも、十六夜丸とは何なのだ。
もう一人の武尊なのか?
それがあの薬で呼び起されるのか?
「武尊・・。」
蒼紫はもう一度武尊の名前を小さく呼んだ。
「いや、十六夜丸なのか、今は・・・。」
それと同時に斎藤の『身体は武尊のまま』という言葉を思い出す。
蒼紫は十六夜丸に向かって、
「悪いな。中身のお前は嫌がるだろうが、武尊の冷たいこの体をこのままにしておくわけにはいかないんでな。」
と、言うと、蒼紫は武尊のベッドに腰をかけ、そのまま、武尊の横へ滑り込んだ。
そして、
「武尊・・俺が温めてやる・・早く戻って来い。」
と言って自分の体を武尊にそっと寄せて温もりを分け与えたのだった。
「弱いな・・・・。」
蒼紫はそう呟くとその手を自分の両手で包み込むようにして握った。
そして心配そうに血の気のない武尊の顔をじっと見た。
「武尊・・・・。」
蒼紫は祈る様に両手に力を入れた。
と同時に、あの、武尊の背中を切り裂いた瞬間の事が蒼紫の脳裏によみがえった。
本当にあの時はもう終わったと思ったのだと。
と、蒼紫は故意ではないとはいえ、己の放った小太刀で武尊を死に至らしめたかもしれない悪夢のような出来事を思い出す。
もし、もう少し、刀を引くのが遅かったら間違いなく武尊の体は三つにバラされていた。
だが、そのあと、何が起こった・・・?
あの時は気が動転していたが今一度良く考えるんだと、自分に言い聞かせるようにして蒼紫は目を閉じた。
ひん死の武尊に斎藤は何かを飲ませた・・・・・。
薬か?
あれを飲むと武尊は十六夜丸になるのか?
斎藤はそれを知っていて黙っていたのか・・・・・。
武尊は・・・・知らなかったはずだ。
そうでなければ、あのように辛そうな顔をしたり悩んだりしない。
だが、幕末、江戸城に忍び込んだ十六夜丸に斎藤が後ろで糸を引いていたとは思えない・・・。
新撰組は幕府側だ。
将軍に刃向うようなことはすまい。
と、いうことは武尊が
・・・・・・何者だ。
そしてもう一つ、あれは誰が、何の為に、どうやって作ったか・・・・・。
いずれにせよ武尊の秘密を他に知られることはまずい。
薬があれば武尊はいつでも十六夜丸になってしまうのか?
そういえば翁によると十六夜丸は京では人を斬っていたんだったな。
・・・何の為に人を斬った?
・・・そして江戸城に侵入した本当の目的はなんだ?
俺や緋村、斎藤には闘う理由があった。
十六夜丸にはあったのか?
十六夜丸は確かに強い。
蒼紫は十六夜丸に会ったのは一度だがその顔は忘れない。
十六夜丸と同じ顔だが血のように紅い眼。
だがあの眼は何かを守りたいという眼ではなく、壊すのが楽しくてたまらないという眼だった。
あんなのが今出て来て人斬りを始めたら明治政府は大変なことになるだろう。
「・・・・・・。」
引っ掛かるな・・・、十六夜丸自信に闘う目的がないのなら何故十六夜丸は闘う?
金か?
いや、武尊に財があるような話は本人の話からしてもないだろう。
・・・・何故だ?
自らの意思でなければ何の為に闘う?
金でもなく、名誉でもなさそうだ。
・・・・・そもそも、十六夜丸とは何なのだ。
もう一人の武尊なのか?
それがあの薬で呼び起されるのか?
「武尊・・。」
蒼紫はもう一度武尊の名前を小さく呼んだ。
「いや、十六夜丸なのか、今は・・・。」
それと同時に斎藤の『身体は武尊のまま』という言葉を思い出す。
蒼紫は十六夜丸に向かって、
「悪いな。中身のお前は嫌がるだろうが、武尊の冷たいこの体をこのままにしておくわけにはいかないんでな。」
と、言うと、蒼紫は武尊のベッドに腰をかけ、そのまま、武尊の横へ滑り込んだ。
そして、
「武尊・・俺が温めてやる・・早く戻って来い。」
と言って自分の体を武尊にそっと寄せて温もりを分け与えたのだった。