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65.赤い薬の秘密 (斎藤・蒼紫・夢主)
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時間の感覚は永遠のように感じられたなか、武尊が、ピクっと動いた。
蒼紫が驚いて武尊を食い入るように見た。
一瞬だけ動いてまたしばらく動かなくなった武尊に蒼紫が絶望し武尊を抱きしめようと、腕に力を込めると、また武尊がピクっと動く。
死体が何かの刺激で動くことがあることは知識で知っているがそれがこの状態だろうかと蒼紫が思った時、
「・・・・・・・・、くそおおかみが・・・。」
と、低い声がした。
低い声、されど間違いなく武尊の声。
そう言った武尊は蒼紫に支えられたまま、わずかに顔をあげ、斎藤を睨む。
「痛てえだろうが・・・。」
十一年ぶりの紅い眼。それを見て、内心安堵した斎藤だったが口からは皮肉が飛ぶ。
「阿呆が。ようやくお出ましか。待ちくたびれたぞ。」
「けっ、串刺しにしておきながら何言いやがる。」
「御託はいいから早く武尊を治せ。」
「るせぇよ、言われなくとも・・・・。」
と言うと、武尊はまた頭を垂れ、動かなくなった。
「武尊。」
武尊を心配して蒼紫が武尊の名を呼ぶが、斎藤に
「・・・四乃森、黙って見ていろ。」
と言われ、蒼紫は武尊と斎藤を交互に見た。
「斎藤、これはどういう事だ。今のは武尊なのか!?」
「ふ、・・・これが武尊だと?お前の目はどういう目をしているんだ。こいつの事はお前も知っているんだろう?おっと、身体は武尊だからちゃんと支えておけよ。」
「まさか此れが十六夜丸だと言うのか。」
「いいから黙って見てろ。今は武尊の命が最優先だ・・・。」
そう言われて蒼紫は納得がいかないままま武尊を見た。
しばらくすると十六夜丸が、
「・・・・・背中はもういいぞ・・・・、おおかみ、次はてめぇのこの刀だ・・・、おっと・・・ゆっくり抜けよ・・・そっとだ、そっと・・・。」
と言い、斎藤は自分の刀を持つとゆっくりと、少しづつ刀武尊の体から抜く。
「・・うっ・・・。」
時折十六夜丸がうめき声を出す。
「・・・くっ・・・・もっとゆっくりだ、おおかみ・・・・。」
十六夜丸がつらそうに言った。
斎藤は言葉通りさらにゆっくりと刀を抜いていく。
最後に剣先がすっと抜かれると十六夜丸は深く息を吐きだし、
「流石にこれだけの傷、一度に完治は無理だな・・・。」
と呟いた。
「武尊はどうなんだ。」
「今の俺ではこれが限界だ。後は武尊の回復力が問題だ。俺の時間はもう終わりだからな・・。」
「ふん、俺が帰って来るまで死ぬんじゃないぞ。」
「・・・・・・人間っていうのは本当に勝手だな・・・、斬っておいて生きろか・・・、勝手ついでにとっとと行きやがれ・・・。」
蒼紫は二人の会話についていけない。
(限界・・・・だと?一体何の事を言っている。)
と、疑念に思った蒼紫がはっと気が付くと、背中を貫いていたはずの斎藤が刀の所からはうっすらしか血が出ていない。
出血多量で流れる血がないのかと思ったが、自分が血飛沫が飛ぶほど斬った武尊の背中の傷がほぼ塞がっている。
理解しがたい現象に蒼紫は目を見張る。
「なんだこれは、どうなっている!」
四乃森が斎藤に向って叫んだ。
斎藤は蒼紫に、
「説明は後だ。」
と、いうと、少し膝を曲げ、武尊の顔を覗き込む。
すっかり血の気がなくなった顔色。
斎藤がペチペチと武尊の頬を叩いても目を閉じたまま反応がない。
斎藤は再び武尊の前で背筋を真っ直ぐにして立つと数秒思案した後、
「四乃森・・・、出血はほぼ止まったにしろ武尊の容体はあまりよくなさそうだ。本意ではないがここはお前に武尊を任せる。」
と、言うとくるりと踵を返した。
「待て、斎藤。武尊を置いて何処へ行く。」
「聞いてなかったのか?武尊の言葉を。名は俺を呼びに来たんだ。ここで俺が行かねば武尊の行為が無になるだろう。」
「斎藤・・・・。お前という奴は・・・。」
「よく武尊を置いて行けるかだと?だからお前は分かっていないと言うんだ。別に俺が手当をしても構わんが、武尊が目覚めた時怒られるのは御免だからな。今はお前に武尊を任せてやるといったんだ、有難く思え。ああ、そいつはまだ十六夜丸だからな、一応気を付けろと忠告しておくぞ。」
そう言うと斎藤は今度こそ振り向かずに神社を去って行った。
雨は幾分小ぶりになり、雷は遠くなっていた。
蒼紫が驚いて武尊を食い入るように見た。
一瞬だけ動いてまたしばらく動かなくなった武尊に蒼紫が絶望し武尊を抱きしめようと、腕に力を込めると、また武尊がピクっと動く。
死体が何かの刺激で動くことがあることは知識で知っているがそれがこの状態だろうかと蒼紫が思った時、
「・・・・・・・・、くそおおかみが・・・。」
と、低い声がした。
低い声、されど間違いなく武尊の声。
そう言った武尊は蒼紫に支えられたまま、わずかに顔をあげ、斎藤を睨む。
「痛てえだろうが・・・。」
十一年ぶりの紅い眼。それを見て、内心安堵した斎藤だったが口からは皮肉が飛ぶ。
「阿呆が。ようやくお出ましか。待ちくたびれたぞ。」
「けっ、串刺しにしておきながら何言いやがる。」
「御託はいいから早く武尊を治せ。」
「るせぇよ、言われなくとも・・・・。」
と言うと、武尊はまた頭を垂れ、動かなくなった。
「武尊。」
武尊を心配して蒼紫が武尊の名を呼ぶが、斎藤に
「・・・四乃森、黙って見ていろ。」
と言われ、蒼紫は武尊と斎藤を交互に見た。
「斎藤、これはどういう事だ。今のは武尊なのか!?」
「ふ、・・・これが武尊だと?お前の目はどういう目をしているんだ。こいつの事はお前も知っているんだろう?おっと、身体は武尊だからちゃんと支えておけよ。」
「まさか此れが十六夜丸だと言うのか。」
「いいから黙って見てろ。今は武尊の命が最優先だ・・・。」
そう言われて蒼紫は納得がいかないままま武尊を見た。
しばらくすると十六夜丸が、
「・・・・・背中はもういいぞ・・・・、おおかみ、次はてめぇのこの刀だ・・・、おっと・・・ゆっくり抜けよ・・・そっとだ、そっと・・・。」
と言い、斎藤は自分の刀を持つとゆっくりと、少しづつ刀武尊の体から抜く。
「・・うっ・・・。」
時折十六夜丸がうめき声を出す。
「・・・くっ・・・・もっとゆっくりだ、おおかみ・・・・。」
十六夜丸がつらそうに言った。
斎藤は言葉通りさらにゆっくりと刀を抜いていく。
最後に剣先がすっと抜かれると十六夜丸は深く息を吐きだし、
「流石にこれだけの傷、一度に完治は無理だな・・・。」
と呟いた。
「武尊はどうなんだ。」
「今の俺ではこれが限界だ。後は武尊の回復力が問題だ。俺の時間はもう終わりだからな・・。」
「ふん、俺が帰って来るまで死ぬんじゃないぞ。」
「・・・・・・人間っていうのは本当に勝手だな・・・、斬っておいて生きろか・・・、勝手ついでにとっとと行きやがれ・・・。」
蒼紫は二人の会話についていけない。
(限界・・・・だと?一体何の事を言っている。)
と、疑念に思った蒼紫がはっと気が付くと、背中を貫いていたはずの斎藤が刀の所からはうっすらしか血が出ていない。
出血多量で流れる血がないのかと思ったが、自分が血飛沫が飛ぶほど斬った武尊の背中の傷がほぼ塞がっている。
理解しがたい現象に蒼紫は目を見張る。
「なんだこれは、どうなっている!」
四乃森が斎藤に向って叫んだ。
斎藤は蒼紫に、
「説明は後だ。」
と、いうと、少し膝を曲げ、武尊の顔を覗き込む。
すっかり血の気がなくなった顔色。
斎藤がペチペチと武尊の頬を叩いても目を閉じたまま反応がない。
斎藤は再び武尊の前で背筋を真っ直ぐにして立つと数秒思案した後、
「四乃森・・・、出血はほぼ止まったにしろ武尊の容体はあまりよくなさそうだ。本意ではないがここはお前に武尊を任せる。」
と、言うとくるりと踵を返した。
「待て、斎藤。武尊を置いて何処へ行く。」
「聞いてなかったのか?武尊の言葉を。名は俺を呼びに来たんだ。ここで俺が行かねば武尊の行為が無になるだろう。」
「斎藤・・・・。お前という奴は・・・。」
「よく武尊を置いて行けるかだと?だからお前は分かっていないと言うんだ。別に俺が手当をしても構わんが、武尊が目覚めた時怒られるのは御免だからな。今はお前に武尊を任せてやるといったんだ、有難く思え。ああ、そいつはまだ十六夜丸だからな、一応気を付けろと忠告しておくぞ。」
そう言うと斎藤は今度こそ振り向かずに神社を去って行った。
雨は幾分小ぶりになり、雷は遠くなっていた。