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63.斎藤と蒼紫 (斎藤・蒼紫・ちょこっと比古)
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石段を上がりながら蒼紫は、今日は別に斎藤を探していたわけではなかったと、後ろからついてくる男の気配を感じながら先ほどの事を振り返っていた。
蒼紫は小太刀を研いでもらった後は元部下の大工の所へ行く予定だった。
だが人ごみの中に斎藤を見つけて思わず寄って声をかけた。
斎藤なら昨日武尊をつけていた怪しい人物に心当たりがあるのではないかと・・・。
そう思ったからだった。
だが、話がどう転ぶかもわからなかったし、斎藤も妻の前で武尊の話が出たら奥方もいい思いはしまい・・・・。
と、蒼紫なりに気をきかせたつもりだった。
石段を上がりきった二人は玉砂利を踏みながら無言のまま進む。
古びた社が見えてきたころ斎藤が立ち止まり、
「四乃森、もうこの辺でいいんじゃないか。本題に入れ。」
と言った。
「ああ・・・。」
蒼紫もようやく足を止め、後ろを歩いてきた斎藤に振り返って一呼吸置くと、
「斎藤・・・・、昨日武尊は男二人につけられていた。心当たりはあるのか。」
と、言った。
「つけられていた話は武尊から聞いた。お前の見立てでは軍か警察か・・・といったところだそうだが。」
「ああ、まず間違いないだろう。」
「そいつらが用があるのが十六夜丸の方ではないのか。」
「あいつらは警官としての武尊を追っていた。しかもあいつら本人が武尊に恨みとががあるのではなく誰かに指示されたようだったが。」
斎藤は蒼紫の話を聞いて、武尊が言った『十六夜丸ではなく自分自身』という話と今の話を統合してやはり武尊本人が狙いであったかという結論に達した。
こういう事に関する武尊の勘は妙に鋭いし、斎藤は蒼紫の分析力に関してはあながち出鱈目ではないことは認めている。
斎藤が煙草をくわえ思案していると蒼紫が、
「斎藤、何があった。・・・・・・武尊は東京に来てまだ日が浅い。十六夜丸としてならともかく、武尊自身が追われるのは何か原因があるはずだ。」
「心当たりか・・・、あるといえばある、ないといえばない。・・・が、一つ言えるのはお前に話す必要などないということだ。」
「ふざけるな斎藤、現に昨日もつけられていたではないか。もし、捕まっていたらどうなっていたかわからないんだぞ。」
「昨日の件については上司として一応礼を言っておこう。確かにあの身体では歩くのもままならなかったからな。」
「・・・・わかっているならもう少し加減をしろ。武尊の身に関わることだ。」
蒼紫のいらだった言葉に斎藤は、
(・・・ほう・・・こいつ武尊を抱いたのが俺という事を知っているのか。)
と、思いつつ、余裕な口ぶりで、
「武尊の身体がああなった原因分かっているなら話が早い。俺達はそういう仲だ。お前の出る幕ではない。」
「武尊が誰に抱かれようがは武尊の自由だ。だが俺は友として武尊を心配している。無茶をさせて武尊の安全に支障がでるならば言いたくなくとも言わねばならん。」
「ふっ、お前に心配されなくとも武尊はそのへんの女とは違う。お前は知らないかもしれないが普段の武尊は雑魚なら一度に五人くらいは楽に相手に出来る実力がある。結構使えるぞ。」
「武尊が少しぐらい出来そうな事は俺にもわかっている。だが、お前は武尊がお前の奥方に対してどれだけ悩み苦しんでいたか知っているのか。」
「・・・・・。」
斎藤は眉間にしわをよせると、
「・・・・お前が口を出す問題ではないと言ったはずだ。」
「この話を奥方の前で出来るのか。」
「ふん、友だと自称するのは勝手だが本当の武尊を知らないお前がとやかく言うな。用がすんだら面倒を起こす前に葵屋の娘を連れてとっとと京都へ帰れ。俺の目が向かないうちに忠告に従った方が身のためだぞ。」
「武尊がお前の所にいるのはひと月と聞いた。少なくともその間はおとなしくしていよう。その後武尊が緋村と話が終わったら武尊を京へ連れて帰るからな。」
斎藤はフンと鼻で笑うと、
「お前は本当にわかってない。武尊がそんな事を望むわけがないだろう。仮に俺から引き離したとしてお前ごときに武尊が理解出来るわけがない。」
「すべてを理解出来なくても見守ることや手助けぐらいは出来るはずだ。・・・・武尊は十六夜丸の幻影に苦しんでいる。十六夜丸の罪は自分の犯した罪だと苦しんでいる。だが今やっと、武尊は自らの意思で前へ進もうとしている。・・・・・・・邪魔はさせぬぞ、斎藤。」
蒼紫は小太刀を研いでもらった後は元部下の大工の所へ行く予定だった。
だが人ごみの中に斎藤を見つけて思わず寄って声をかけた。
斎藤なら昨日武尊をつけていた怪しい人物に心当たりがあるのではないかと・・・。
そう思ったからだった。
だが、話がどう転ぶかもわからなかったし、斎藤も妻の前で武尊の話が出たら奥方もいい思いはしまい・・・・。
と、蒼紫なりに気をきかせたつもりだった。
石段を上がりきった二人は玉砂利を踏みながら無言のまま進む。
古びた社が見えてきたころ斎藤が立ち止まり、
「四乃森、もうこの辺でいいんじゃないか。本題に入れ。」
と言った。
「ああ・・・。」
蒼紫もようやく足を止め、後ろを歩いてきた斎藤に振り返って一呼吸置くと、
「斎藤・・・・、昨日武尊は男二人につけられていた。心当たりはあるのか。」
と、言った。
「つけられていた話は武尊から聞いた。お前の見立てでは軍か警察か・・・といったところだそうだが。」
「ああ、まず間違いないだろう。」
「そいつらが用があるのが十六夜丸の方ではないのか。」
「あいつらは警官としての武尊を追っていた。しかもあいつら本人が武尊に恨みとががあるのではなく誰かに指示されたようだったが。」
斎藤は蒼紫の話を聞いて、武尊が言った『十六夜丸ではなく自分自身』という話と今の話を統合してやはり武尊本人が狙いであったかという結論に達した。
こういう事に関する武尊の勘は妙に鋭いし、斎藤は蒼紫の分析力に関してはあながち出鱈目ではないことは認めている。
斎藤が煙草をくわえ思案していると蒼紫が、
「斎藤、何があった。・・・・・・武尊は東京に来てまだ日が浅い。十六夜丸としてならともかく、武尊自身が追われるのは何か原因があるはずだ。」
「心当たりか・・・、あるといえばある、ないといえばない。・・・が、一つ言えるのはお前に話す必要などないということだ。」
「ふざけるな斎藤、現に昨日もつけられていたではないか。もし、捕まっていたらどうなっていたかわからないんだぞ。」
「昨日の件については上司として一応礼を言っておこう。確かにあの身体では歩くのもままならなかったからな。」
「・・・・わかっているならもう少し加減をしろ。武尊の身に関わることだ。」
蒼紫のいらだった言葉に斎藤は、
(・・・ほう・・・こいつ武尊を抱いたのが俺という事を知っているのか。)
と、思いつつ、余裕な口ぶりで、
「武尊の身体がああなった原因分かっているなら話が早い。俺達はそういう仲だ。お前の出る幕ではない。」
「武尊が誰に抱かれようがは武尊の自由だ。だが俺は友として武尊を心配している。無茶をさせて武尊の安全に支障がでるならば言いたくなくとも言わねばならん。」
「ふっ、お前に心配されなくとも武尊はそのへんの女とは違う。お前は知らないかもしれないが普段の武尊は雑魚なら一度に五人くらいは楽に相手に出来る実力がある。結構使えるぞ。」
「武尊が少しぐらい出来そうな事は俺にもわかっている。だが、お前は武尊がお前の奥方に対してどれだけ悩み苦しんでいたか知っているのか。」
「・・・・・。」
斎藤は眉間にしわをよせると、
「・・・・お前が口を出す問題ではないと言ったはずだ。」
「この話を奥方の前で出来るのか。」
「ふん、友だと自称するのは勝手だが本当の武尊を知らないお前がとやかく言うな。用がすんだら面倒を起こす前に葵屋の娘を連れてとっとと京都へ帰れ。俺の目が向かないうちに忠告に従った方が身のためだぞ。」
「武尊がお前の所にいるのはひと月と聞いた。少なくともその間はおとなしくしていよう。その後武尊が緋村と話が終わったら武尊を京へ連れて帰るからな。」
斎藤はフンと鼻で笑うと、
「お前は本当にわかってない。武尊がそんな事を望むわけがないだろう。仮に俺から引き離したとしてお前ごときに武尊が理解出来るわけがない。」
「すべてを理解出来なくても見守ることや手助けぐらいは出来るはずだ。・・・・武尊は十六夜丸の幻影に苦しんでいる。十六夜丸の罪は自分の犯した罪だと苦しんでいる。だが今やっと、武尊は自らの意思で前へ進もうとしている。・・・・・・・邪魔はさせぬぞ、斎藤。」