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58.メインテナンス (斎藤・夢主)
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「斎藤さん、どこかに行かれるんですか?」
「いや、刀の手入れだ。こういった時間のある時しか出来んからな。」
「そうですよね・・・。私、見ていてもいいですか?」
「かまわん、見るならここに座ってろ。ここなら良く見えるだろう。」
「ありがとうございます。」
武尊は斎藤の椅子に座ると斎藤の動きを目で追った。
斎藤は手入れ箱の中から懐紙を取り出し口に挟むと鞘から刀を抜いた。
ポンポンポン・・・・。
鍔(つば)の方から先の方へ向かって打粉をたたいて、尖端まで来ると刀を裏へ返し戻って来る。
その作業を見ながら武尊は、以前、兄が刀の手入れをするのを何度か見たことがあることを思い出した。
武尊はその部屋の横の廊下を通った時にちらっと見ただけで、こんなにじっくり見たことはなかった。
兄はきっと、自分の刀だけでなく、私が知らない間に私が持っていた刀も手入れしてくれていたんだろう、と今更ながらであるが武尊はそう思った。
なぜなら武尊は一度も手入れなどしたことがないからだ。
打粉をたたくのが終わると、斎藤は口の懐紙を片手に取り、はたいた粉を拭い取っていく。
・・・・斎藤さん、その粉何ですか?
武尊はそう聞こうと思ったが、出掛かった言葉を喉元で飲み込んだ。
刀の手入れ中、話しかけてはいけない空気がそこにはあった。
刀身の放つ光がそれを示唆していた。
自分は人を斬った・・・。
自分の記憶のない所での事とはいえ、それゆえ刀に対して苦手意識がある武尊であったが、近くで見る抜き身の刀の放つ光に魅入られるように眼差しを向けた。
その光が強く美しいと・・・。
斎藤は二・三度丁寧に懐紙で粉が残ってないように拭い、少し刀を上にあげ、表、裏と注意深く視線を動かし問題がないことを確認すると、刀を鞘にしまった。
「それだけですか?」
あっという間に終わった手入れに、もうおしまい?と拍子抜けたように武尊は斎藤に聞いた。
「ああ。普段の手入れはこんなもんだ。」
斎藤はベルトに刀をつけながら答えた。
「武尊はやったことがないのか。」
斎藤にそう聞かれ、
「うん・・・・、手入れは全部兄がやってたと思う・・・。それって難しいんですか?」
「作業自体は難しくはないが刀に命を預けている者でないと心が入らんだろうな。」
これは俺の分身だ。
そう言わんばかりに斎藤は刀を吊っているいるほうの手で鞘を優しくさすった。
「それに阿呆が調子に乗って適当にやると粉を残したり、粉を拭う時に手を切ったりする。」
斎藤は手入れ箱をしまい武尊の所へ戻って来た。
武尊は机の持ち主に席を渡すと、気になっていた先ほどの質問をしてみた。
「斎藤さん、あの粉って何ですか?」
(まさか・・・・小麦粉?なわけないよね~。)
と、心の中で突っ込みを入れ武尊尊であった。
ともかくあんな小さな丸い所からぽんぽんいくらでも出てくるその粉が何であるか気になってしょうがない。
「打粉のことか?あれは砥石の粉だ。打粉を刀につけ、拭う事によって刀の汚れを取る、その為の道具だ。」
「ふ~ん。」
武尊はなるほどなるほど・・と、頷いた。
「ただし、打粉が残っていると逆に錆びるからな。覚えておけよ。」
「覚えておけ、だなんて、私は刀持ってませんから・・・、それに今って廃刀令が出てるから普通の人は刀持てないですよ。」
「知っておいて損な知識ではない、という事だ。・・・・俺の下で働くならな。」
そう言うと、斎藤は煙草に火を点けた。
「いや、刀の手入れだ。こういった時間のある時しか出来んからな。」
「そうですよね・・・。私、見ていてもいいですか?」
「かまわん、見るならここに座ってろ。ここなら良く見えるだろう。」
「ありがとうございます。」
武尊は斎藤の椅子に座ると斎藤の動きを目で追った。
斎藤は手入れ箱の中から懐紙を取り出し口に挟むと鞘から刀を抜いた。
ポンポンポン・・・・。
鍔(つば)の方から先の方へ向かって打粉をたたいて、尖端まで来ると刀を裏へ返し戻って来る。
その作業を見ながら武尊は、以前、兄が刀の手入れをするのを何度か見たことがあることを思い出した。
武尊はその部屋の横の廊下を通った時にちらっと見ただけで、こんなにじっくり見たことはなかった。
兄はきっと、自分の刀だけでなく、私が知らない間に私が持っていた刀も手入れしてくれていたんだろう、と今更ながらであるが武尊はそう思った。
なぜなら武尊は一度も手入れなどしたことがないからだ。
打粉をたたくのが終わると、斎藤は口の懐紙を片手に取り、はたいた粉を拭い取っていく。
・・・・斎藤さん、その粉何ですか?
武尊はそう聞こうと思ったが、出掛かった言葉を喉元で飲み込んだ。
刀の手入れ中、話しかけてはいけない空気がそこにはあった。
刀身の放つ光がそれを示唆していた。
自分は人を斬った・・・。
自分の記憶のない所での事とはいえ、それゆえ刀に対して苦手意識がある武尊であったが、近くで見る抜き身の刀の放つ光に魅入られるように眼差しを向けた。
その光が強く美しいと・・・。
斎藤は二・三度丁寧に懐紙で粉が残ってないように拭い、少し刀を上にあげ、表、裏と注意深く視線を動かし問題がないことを確認すると、刀を鞘にしまった。
「それだけですか?」
あっという間に終わった手入れに、もうおしまい?と拍子抜けたように武尊は斎藤に聞いた。
「ああ。普段の手入れはこんなもんだ。」
斎藤はベルトに刀をつけながら答えた。
「武尊はやったことがないのか。」
斎藤にそう聞かれ、
「うん・・・・、手入れは全部兄がやってたと思う・・・。それって難しいんですか?」
「作業自体は難しくはないが刀に命を預けている者でないと心が入らんだろうな。」
これは俺の分身だ。
そう言わんばかりに斎藤は刀を吊っているいるほうの手で鞘を優しくさすった。
「それに阿呆が調子に乗って適当にやると粉を残したり、粉を拭う時に手を切ったりする。」
斎藤は手入れ箱をしまい武尊の所へ戻って来た。
武尊は机の持ち主に席を渡すと、気になっていた先ほどの質問をしてみた。
「斎藤さん、あの粉って何ですか?」
(まさか・・・・小麦粉?なわけないよね~。)
と、心の中で突っ込みを入れ武尊尊であった。
ともかくあんな小さな丸い所からぽんぽんいくらでも出てくるその粉が何であるか気になってしょうがない。
「打粉のことか?あれは砥石の粉だ。打粉を刀につけ、拭う事によって刀の汚れを取る、その為の道具だ。」
「ふ~ん。」
武尊はなるほどなるほど・・と、頷いた。
「ただし、打粉が残っていると逆に錆びるからな。覚えておけよ。」
「覚えておけ、だなんて、私は刀持ってませんから・・・、それに今って廃刀令が出てるから普通の人は刀持てないですよ。」
「知っておいて損な知識ではない、という事だ。・・・・俺の下で働くならな。」
そう言うと、斎藤は煙草に火を点けた。