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58.メインテナンス (斎藤・夢主)
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武尊は袖で涙を拭うと一人走り出した。
残された斎藤は黙って武尊の姿を見送った。
「やれやれ・・・。」
斎藤は深く煙草の煙を吐くと歩き始めた。
斎藤が出勤すると、武尊はいつものように掃除を終えており斎藤に茶を出した。
「先ほどはすみませんでした。今日は何をすればいいですか。」
と言うと、斎藤の指示を待った。
斎藤は武尊をじっと観察する。
(従順だがへそは曲がったまま、といったところか。)
「武尊、ちょっとこっちへ来い。」
斎藤は机の向こうに立つ武尊に手まねきした。
武尊は警戒していつもより少し距離を置いて斎藤の方へ回った。
「手を出せ。」
斎藤はそう言うと、下段の引出しを開けた。
(?)
武尊が
(何だろう、確かそこは煙草しか入ってなかったはずだけど・・・。)
と思って引出しに注目していると、斎藤は引出しから懐紙を取り出して武尊に渡した。
(?)
武尊は何だろうと思ってそれを受け取った。
中になにか包まれているようだ。
「中を見ていいのですか?斎藤さん。」
「ああ。」
そう言われて懐紙を開くと中には和紙に包まれた小さな正方形の包みが二つ。
「・・・・、これってお菓子ですか?」
「昨日総務へ書類を届けに言った時丁度誰かが配っていたんでな、ついでにもらってきた。」
「・・・・・・・。」
武尊は知っている。
斎藤は甘い物を好まない。
おそらく一人だったら見向きもしないはずなのに。
私の為にもらってきてくれたという事。
きっと、受け取った後、下の階は騒ぎになったのではないかと予測される。(実際そうだったが。)
「斎藤さん・・・・ありがとう。」
さっきまで斎藤に対し怒っていたのにそんな優しさを知ってしまうと急速に苛立ちが収まっていく。
斎藤にお礼を言った後、武尊は
「一つ食べてもいい?」
と遠慮がちに聞いた。
「ああ、いいぞ。」
少し笑って斎藤が答えた。
武尊が和紙の中から取り出したの正方形の薄くて雪のように白いもの。
武尊は初めて見るそれをパクリと口に入れた。
「柔らかくて優しい甘さ・・・。おいしいです、斎藤さん。」
「それはよかったな。」
みるみるうちに武尊の機嫌が良くなっていくのが傍から見ていてもわかりやすいほどにわかる。
斎藤は現金な奴め、と思いながら軽く笑った。
武尊は一つ食べ終わると、残りのもう一つが入った懐紙を大事にポケットにしまった。
「機嫌は直ったか。」
斎藤にそう言われて、武尊はバツの悪そうにしながら口を尖がらせて、
「斎藤さんが悪いんだ・・・・。」
と、もごもご文句を言った。
斎藤は、
「それについてはまたいずれ話をしないといけないが今は勤務時間だ。私情は抜きで仕事だ。」
「うぅ。」
まったく斎藤の言うとおりだと、武尊も思った。
今またさっきの話をぶり返しても水かけ論に終わってしまいそうな気もするし・・・、と武尊もここは棚上げ論に賛成した。
斎藤は武尊が仕事の出来る気持ちに切り替わったのを表情で読み取ると、ようやく、
「今日、俺は昼から一つ警察署へ出かける用事がある。武尊は俺の代わりに張の所へ行ってくれ。」
「急にどうしたんですか。何か変わった事があったんですか。」
「ああ、昨夜の張の話によるとお忍びで陸軍関係者が訪れたらしい。近々動きがあると睨むのは俺の勘だがな。」
「わかりました。じゃ、昼から行ってきますね。で、昼までは?」
「フッ、特にない。書類は昨日出してそれで終わった。雪代縁の起こした事件は上層部の方では終わったと踏んでいるからな。」
「私情は抜きで仕事って言っておきながら仕事ないんですか。」
「阿呆、仕事というものは自分で見つけるものだ。」
斎藤はそう言うと椅子から立ち上がった。
残された斎藤は黙って武尊の姿を見送った。
「やれやれ・・・。」
斎藤は深く煙草の煙を吐くと歩き始めた。
斎藤が出勤すると、武尊はいつものように掃除を終えており斎藤に茶を出した。
「先ほどはすみませんでした。今日は何をすればいいですか。」
と言うと、斎藤の指示を待った。
斎藤は武尊をじっと観察する。
(従順だがへそは曲がったまま、といったところか。)
「武尊、ちょっとこっちへ来い。」
斎藤は机の向こうに立つ武尊に手まねきした。
武尊は警戒していつもより少し距離を置いて斎藤の方へ回った。
「手を出せ。」
斎藤はそう言うと、下段の引出しを開けた。
(?)
武尊が
(何だろう、確かそこは煙草しか入ってなかったはずだけど・・・。)
と思って引出しに注目していると、斎藤は引出しから懐紙を取り出して武尊に渡した。
(?)
武尊は何だろうと思ってそれを受け取った。
中になにか包まれているようだ。
「中を見ていいのですか?斎藤さん。」
「ああ。」
そう言われて懐紙を開くと中には和紙に包まれた小さな正方形の包みが二つ。
「・・・・、これってお菓子ですか?」
「昨日総務へ書類を届けに言った時丁度誰かが配っていたんでな、ついでにもらってきた。」
「・・・・・・・。」
武尊は知っている。
斎藤は甘い物を好まない。
おそらく一人だったら見向きもしないはずなのに。
私の為にもらってきてくれたという事。
きっと、受け取った後、下の階は騒ぎになったのではないかと予測される。(実際そうだったが。)
「斎藤さん・・・・ありがとう。」
さっきまで斎藤に対し怒っていたのにそんな優しさを知ってしまうと急速に苛立ちが収まっていく。
斎藤にお礼を言った後、武尊は
「一つ食べてもいい?」
と遠慮がちに聞いた。
「ああ、いいぞ。」
少し笑って斎藤が答えた。
武尊が和紙の中から取り出したの正方形の薄くて雪のように白いもの。
武尊は初めて見るそれをパクリと口に入れた。
「柔らかくて優しい甘さ・・・。おいしいです、斎藤さん。」
「それはよかったな。」
みるみるうちに武尊の機嫌が良くなっていくのが傍から見ていてもわかりやすいほどにわかる。
斎藤は現金な奴め、と思いながら軽く笑った。
武尊は一つ食べ終わると、残りのもう一つが入った懐紙を大事にポケットにしまった。
「機嫌は直ったか。」
斎藤にそう言われて、武尊はバツの悪そうにしながら口を尖がらせて、
「斎藤さんが悪いんだ・・・・。」
と、もごもご文句を言った。
斎藤は、
「それについてはまたいずれ話をしないといけないが今は勤務時間だ。私情は抜きで仕事だ。」
「うぅ。」
まったく斎藤の言うとおりだと、武尊も思った。
今またさっきの話をぶり返しても水かけ論に終わってしまいそうな気もするし・・・、と武尊もここは棚上げ論に賛成した。
斎藤は武尊が仕事の出来る気持ちに切り替わったのを表情で読み取ると、ようやく、
「今日、俺は昼から一つ警察署へ出かける用事がある。武尊は俺の代わりに張の所へ行ってくれ。」
「急にどうしたんですか。何か変わった事があったんですか。」
「ああ、昨夜の張の話によるとお忍びで陸軍関係者が訪れたらしい。近々動きがあると睨むのは俺の勘だがな。」
「わかりました。じゃ、昼から行ってきますね。で、昼までは?」
「フッ、特にない。書類は昨日出してそれで終わった。雪代縁の起こした事件は上層部の方では終わったと踏んでいるからな。」
「私情は抜きで仕事って言っておきながら仕事ないんですか。」
「阿呆、仕事というものは自分で見つけるものだ。」
斎藤はそう言うと椅子から立ち上がった。