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57.気分が晴れない日 (斎藤・夢主・時尾)
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心情的にはunusual。
でも出勤風景はusual・・・藤田家の門を出るまでは。
武尊は靴を履くと斎藤の後をついて行くように歩く。
斎藤はいつも門を出て三歩目でポケットに手を突っ込み、最初の曲がり角までに煙草に火を点ける。
そのあと大抵武尊が
『斎藤さん、今日は何があるんですか?』
と、目を輝かせて斎藤に聞くのに、今日はずっと無言の武尊に斎藤の方から話しかけた。
「どうした、珍しくおとなしいな。」
「いえ・・・別に・・・。」
斎藤の方を見もしないで答える武尊に驚いた斎藤だった。
あれだけ啼いて甘えておきながら今の態度。
どうなっているんだ、と思いつつ、
「何を怒っている。四乃森のお陰で時尾に余計な勘ぐりをされなくて良かったんじゃないのか。」
「別に怒ってなんていません。私にだって・・・いろいろ考え事をしたい時があります。特にここの所思う事がいっぱいあって・・・。」
武尊は小さくため息をつくと、話を続ける。
「四乃森さんが来てくれたお陰で、結果的にあの夜の事を時尾さんに気付かれなくてよかったと思ってますが、私と四乃森さんが変な事をしていないと分かってるのなら時尾さんに言っておいてくださいよ・・・。朝から時尾さん、私の事すごく見てたんですよ。」
「では武尊の腰が痛かった理由を俺から時尾に言ってもよかったのか。」
「なっ・・・。」
武尊は思わず絶句して斎藤を見上げた。
「何を言ってるんですか!そんな事言ってどうするんですか!自分から浮気をばらしてどうするんです!」
斎藤も煙草を咥えながら武尊をじっと見た。
「浮気などと・・・、この気持ちは決して軽々しいものではないぞ、武尊。・・・・俺はいつも本気だ。」
射抜くような眼で斎藤は武尊を見る。
二人の歩みが止まり、互いがじっと相手を見る。
「本気だったら・・・・、自分の妻に違う女を抱いたって言っていいんですか?時尾さんとの仲を大事だとは思わないんですか・・。」
武尊は悔しいのと、悲しいのと、女の気持ちが分からない目の前の男にやりようのない気持ちでいっぱいになり斎藤を睨んだ。
・・・どうしてわかってくれないんだろう。
私は斎藤さんが好き。
でも前にも言ったはず。
私が願うのは藤田一家の丸ごとの幸せで、それを壊したくないという事を。
だから、私を好いてくれるなら隠して。
・・・・・お願い・・隠して・・・・。
武尊は唇を噛んで込み上げる感情を堪えていたがついに涙が両方の目からこぼれた。
(あ・・。)
泣くつもりはなかったのに、と思う心とは裏腹に武尊の目からはぽろりぽろりと大粒の涙がこぼれた。
でも出勤風景はusual・・・藤田家の門を出るまでは。
武尊は靴を履くと斎藤の後をついて行くように歩く。
斎藤はいつも門を出て三歩目でポケットに手を突っ込み、最初の曲がり角までに煙草に火を点ける。
そのあと大抵武尊が
『斎藤さん、今日は何があるんですか?』
と、目を輝かせて斎藤に聞くのに、今日はずっと無言の武尊に斎藤の方から話しかけた。
「どうした、珍しくおとなしいな。」
「いえ・・・別に・・・。」
斎藤の方を見もしないで答える武尊に驚いた斎藤だった。
あれだけ啼いて甘えておきながら今の態度。
どうなっているんだ、と思いつつ、
「何を怒っている。四乃森のお陰で時尾に余計な勘ぐりをされなくて良かったんじゃないのか。」
「別に怒ってなんていません。私にだって・・・いろいろ考え事をしたい時があります。特にここの所思う事がいっぱいあって・・・。」
武尊は小さくため息をつくと、話を続ける。
「四乃森さんが来てくれたお陰で、結果的にあの夜の事を時尾さんに気付かれなくてよかったと思ってますが、私と四乃森さんが変な事をしていないと分かってるのなら時尾さんに言っておいてくださいよ・・・。朝から時尾さん、私の事すごく見てたんですよ。」
「では武尊の腰が痛かった理由を俺から時尾に言ってもよかったのか。」
「なっ・・・。」
武尊は思わず絶句して斎藤を見上げた。
「何を言ってるんですか!そんな事言ってどうするんですか!自分から浮気をばらしてどうするんです!」
斎藤も煙草を咥えながら武尊をじっと見た。
「浮気などと・・・、この気持ちは決して軽々しいものではないぞ、武尊。・・・・俺はいつも本気だ。」
射抜くような眼で斎藤は武尊を見る。
二人の歩みが止まり、互いがじっと相手を見る。
「本気だったら・・・・、自分の妻に違う女を抱いたって言っていいんですか?時尾さんとの仲を大事だとは思わないんですか・・。」
武尊は悔しいのと、悲しいのと、女の気持ちが分からない目の前の男にやりようのない気持ちでいっぱいになり斎藤を睨んだ。
・・・どうしてわかってくれないんだろう。
私は斎藤さんが好き。
でも前にも言ったはず。
私が願うのは藤田一家の丸ごとの幸せで、それを壊したくないという事を。
だから、私を好いてくれるなら隠して。
・・・・・お願い・・隠して・・・・。
武尊は唇を噛んで込み上げる感情を堪えていたがついに涙が両方の目からこぼれた。
(あ・・。)
泣くつもりはなかったのに、と思う心とは裏腹に武尊の目からはぽろりぽろりと大粒の涙がこぼれた。