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54.障子のあちらとこちら (蒼紫・夢主・時尾)
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カタ。
蒼紫が部屋の中へ入ると武尊は障子を閉めた。
部屋の真ん中まで武尊はゆっくり進むと蒼紫の方を向いて
「お願いします。」
と、頭を下げた。
死ぬほど恥ずかしい行為が四乃森さんにバレた。
思いっ切り、キャ-!とか何か、叫びたい気分になる。
でも何よりもこのギコチナイ動きがなんとかなるなら・・・・。
その為に何か出来るなら、何でもやって欲しい・・・。
それをするのが四乃森さんだという事が、思いの他恥ずかしいのだけれとも・・・・。
と武尊は思った。
「・・・下向きに横になれるか?」
「うん・・・。」
よいしょ、っと、ゆっくりゆっくり膝を付き、それからゆっくり体を伸ばす。
「もし、痛いところがあったら言ってくれ。」
と、蒼紫は2、3度、両手の掌で武尊の背中から臀部へと上から下へ、下から上へと背中の状態を確認する。
「ぅぅ・・。」
と、武尊は小さく呻いた。
「痛むのか?」
「いえ・・・。」
武尊は蒼紫と反対の方へ顔向け答えた。
斎藤の手じゃない別の大きな手。
さわり心地が丁度いいというか・・・。
気持ちいい・・・・・・・。
そう思う自分に困惑した。
蒼紫は
「ここだな。」
と呟くと、
「少し力を加えるぞ。」
と言うと、親指で腰部を押した。
「んんっ・・!」
「痛むか?」
「い、いえ・・・。痛くはないけど、押された感が、ちょっと・・・。」
ツボに入るというか・・・・。
蒼紫は場所を少しずつずらしながら、ここだと思う所を加圧する。
痛いという理由ではないが、押される度に武尊がうめくような声を出す。
時尾がお風呂が丁度よい湯加減になったからと戻って来た。
客間にいると思っていた客人が姿が見えず、武尊もおらず、はて?と思っていると隣の武尊の部屋は障子が閉めてあり、きっと武尊さんは自室で休んでいると思い、部屋へ近寄ろうとすると、
「四乃森さん・・・そこ・・・、もう少し弱く・・・。」
「・・・これくらいでよいか。」
「うっ・・・ん・・・、それくらいで・・・あっ・・・。」
と、声が聞こえる。
思わず足が止まる時尾。
(ええっ・・・武尊さん?!)
閉められた障子。
中から聞こえる武尊の少し苦しそうな声。
聞き様によってはその声は悩ましげにも聞こえる。
(・・・・・まさか。)
と、時尾は自分の耳を疑ったが、そこに立っているとやはり聞こえる武尊のその声。
他人の家で、しかも家の者が起きている中、隠れてそのような事をやっているのだろうか。
あの男は自分を武尊さんの友人だと言っていたがそういう仲なのだろうか。
時尾の胸に疑念が湧く。
でもあの武尊さんが?
時尾の知っている武尊からすると、自ら誘い入れてそのような事を行っているとはとてもじゃないが考えにくい。
すると、あの男が武尊さんを・・・。
藤田の・・・夫の客に何という事を・・・。
時尾は一気に障子を開けようかと思ったが、大人同士、それはあまりにも失礼だと考え、どうしていいか悩み台所の方へ去って行った。
耳のよい蒼紫には、時尾が客間の方へ戻って来た時からその足音は聞こえていた。
その足音がしばらくすぐそこの障子の前で止まっていたこと。
そして今、遠ざかっていったことも。
(・・・・・・・・・。)
蒼紫は小さくため息をついた。
そして、
「武尊、終わったぞ。どうだ。」
と言った。
武尊は起き上がるとクルリとその場で回った。
「すごい!四乃森さん!腰の痛みほとんどない!」
武尊は感嘆の声をあげた。
蒼紫は武尊の身体の様子を見て表情を和らげた。
「それはよかった。だが、足の方はたぶん捻挫だ。あまり動かすなよ。風呂でもあまり温めるな。」
と言った。
「ありがとうございます!これでなんとかなりそうです。」
と、武尊は助かったとばかりに蒼紫に礼を言った。
「まったく・・・・・。斎藤に、『考えてやれ』と、言っておけ。」
蒼紫がため息まじりにそう言うと、武尊はそうだった、斎藤との情事がこの人には知られてしまったのだと、思い出してまた顔を真っ赤にした。
「あ、あの・・・その事は・・・。」
という武尊に
「心配するな。誰にも言わん・・・。」
「すみません・・・・・。」
「いや・・・・。別に謝る事のほどではない。」
俯いてバツの悪そうにそう言う武尊を、蒼紫はそう答えて、ただ見つめることしか出来なかった。
用は済んだ、帰るか、と思った蒼紫は、最後にもう一つ武尊に言っておく事があったのを思い出した。
「武尊・・・・、今日武尊をつけていた男、あれは十六夜丸目当てではないな。つけられていたのは武尊武尊自身だ。しばらく身の回りを気を付けた方がいい。」
と言った。
「え?」
気の転換が早いのも武尊の特徴だ。
恥ずかしい自分の事は頭の隅に押しやって蒼紫の話に集中する。
「俺の見立てでは、の、話だがな。それにあの男達は普通の服装をしていたがたぶん、警察か軍人だ・・・・。歩調と歩幅がほとんど一緒だった。訓練された者は無意識に合わせてしまうものだ・・。」
武尊は頭の中で今まであった警官を思い出す。
「斎藤さんの用事とかで、この辺の警察署はほとんど回りましたけど、たぶん私が恨まれるような感じはなかったですね。」
「すると軍の方か?」
「軍・・・・・。」
と考え込む武尊に蒼紫が、
「何かやったのか、軍に対して。」
と少し強い口調で武尊に言った。
「何かやったという訳では・・・・でも、警察ではないと思うので・・・。」
と、考えこむ武尊に、
「そうか、今のところは確証いたる物がない。気を付けろ。」
と言って
「では、俺は帰る。武尊・・・・・。」
「はい?」
途中で言葉を止めた蒼紫を不思議に思い武尊が聞き返した。
「もし・・・・、奥方が斎藤との仲を不審だと疑って武尊が困る様であれば、俺がやったと言えばいい・・・。」
「えっ?!」
と聞き返す武尊に
「俺の名前を好きに使え、武尊。ここを離れたくないのだろう?」
そう言うと蒼紫は障子を開けて勝手口へ向かった。
「四乃森さん!」
と、武尊がその後を追いかける。
靴を履く蒼紫に、
「すみません、四乃森さん!」
と、武尊は頭を下げた。
「そのようにするな武尊、俺が自分で好きにやっているだけだ。・・・嫌だったら言ってくれ。・・・俺達は【友】だからな。」
蒼紫は靴を履くと武尊の肩越しに家の奥を見た。
だが、時尾の姿は見えない。
(誤解されたか・・・が、構わぬ。)
蒼紫は武尊に、奥方によろしく伝えるように言うと神谷道場へと戻って行った。
蒼紫が部屋の中へ入ると武尊は障子を閉めた。
部屋の真ん中まで武尊はゆっくり進むと蒼紫の方を向いて
「お願いします。」
と、頭を下げた。
死ぬほど恥ずかしい行為が四乃森さんにバレた。
思いっ切り、キャ-!とか何か、叫びたい気分になる。
でも何よりもこのギコチナイ動きがなんとかなるなら・・・・。
その為に何か出来るなら、何でもやって欲しい・・・。
それをするのが四乃森さんだという事が、思いの他恥ずかしいのだけれとも・・・・。
と武尊は思った。
「・・・下向きに横になれるか?」
「うん・・・。」
よいしょ、っと、ゆっくりゆっくり膝を付き、それからゆっくり体を伸ばす。
「もし、痛いところがあったら言ってくれ。」
と、蒼紫は2、3度、両手の掌で武尊の背中から臀部へと上から下へ、下から上へと背中の状態を確認する。
「ぅぅ・・。」
と、武尊は小さく呻いた。
「痛むのか?」
「いえ・・・。」
武尊は蒼紫と反対の方へ顔向け答えた。
斎藤の手じゃない別の大きな手。
さわり心地が丁度いいというか・・・。
気持ちいい・・・・・・・。
そう思う自分に困惑した。
蒼紫は
「ここだな。」
と呟くと、
「少し力を加えるぞ。」
と言うと、親指で腰部を押した。
「んんっ・・!」
「痛むか?」
「い、いえ・・・。痛くはないけど、押された感が、ちょっと・・・。」
ツボに入るというか・・・・。
蒼紫は場所を少しずつずらしながら、ここだと思う所を加圧する。
痛いという理由ではないが、押される度に武尊がうめくような声を出す。
時尾がお風呂が丁度よい湯加減になったからと戻って来た。
客間にいると思っていた客人が姿が見えず、武尊もおらず、はて?と思っていると隣の武尊の部屋は障子が閉めてあり、きっと武尊さんは自室で休んでいると思い、部屋へ近寄ろうとすると、
「四乃森さん・・・そこ・・・、もう少し弱く・・・。」
「・・・これくらいでよいか。」
「うっ・・・ん・・・、それくらいで・・・あっ・・・。」
と、声が聞こえる。
思わず足が止まる時尾。
(ええっ・・・武尊さん?!)
閉められた障子。
中から聞こえる武尊の少し苦しそうな声。
聞き様によってはその声は悩ましげにも聞こえる。
(・・・・・まさか。)
と、時尾は自分の耳を疑ったが、そこに立っているとやはり聞こえる武尊のその声。
他人の家で、しかも家の者が起きている中、隠れてそのような事をやっているのだろうか。
あの男は自分を武尊さんの友人だと言っていたがそういう仲なのだろうか。
時尾の胸に疑念が湧く。
でもあの武尊さんが?
時尾の知っている武尊からすると、自ら誘い入れてそのような事を行っているとはとてもじゃないが考えにくい。
すると、あの男が武尊さんを・・・。
藤田の・・・夫の客に何という事を・・・。
時尾は一気に障子を開けようかと思ったが、大人同士、それはあまりにも失礼だと考え、どうしていいか悩み台所の方へ去って行った。
耳のよい蒼紫には、時尾が客間の方へ戻って来た時からその足音は聞こえていた。
その足音がしばらくすぐそこの障子の前で止まっていたこと。
そして今、遠ざかっていったことも。
(・・・・・・・・・。)
蒼紫は小さくため息をついた。
そして、
「武尊、終わったぞ。どうだ。」
と言った。
武尊は起き上がるとクルリとその場で回った。
「すごい!四乃森さん!腰の痛みほとんどない!」
武尊は感嘆の声をあげた。
蒼紫は武尊の身体の様子を見て表情を和らげた。
「それはよかった。だが、足の方はたぶん捻挫だ。あまり動かすなよ。風呂でもあまり温めるな。」
と言った。
「ありがとうございます!これでなんとかなりそうです。」
と、武尊は助かったとばかりに蒼紫に礼を言った。
「まったく・・・・・。斎藤に、『考えてやれ』と、言っておけ。」
蒼紫がため息まじりにそう言うと、武尊はそうだった、斎藤との情事がこの人には知られてしまったのだと、思い出してまた顔を真っ赤にした。
「あ、あの・・・その事は・・・。」
という武尊に
「心配するな。誰にも言わん・・・。」
「すみません・・・・・。」
「いや・・・・。別に謝る事のほどではない。」
俯いてバツの悪そうにそう言う武尊を、蒼紫はそう答えて、ただ見つめることしか出来なかった。
用は済んだ、帰るか、と思った蒼紫は、最後にもう一つ武尊に言っておく事があったのを思い出した。
「武尊・・・・、今日武尊をつけていた男、あれは十六夜丸目当てではないな。つけられていたのは武尊武尊自身だ。しばらく身の回りを気を付けた方がいい。」
と言った。
「え?」
気の転換が早いのも武尊の特徴だ。
恥ずかしい自分の事は頭の隅に押しやって蒼紫の話に集中する。
「俺の見立てでは、の、話だがな。それにあの男達は普通の服装をしていたがたぶん、警察か軍人だ・・・・。歩調と歩幅がほとんど一緒だった。訓練された者は無意識に合わせてしまうものだ・・。」
武尊は頭の中で今まであった警官を思い出す。
「斎藤さんの用事とかで、この辺の警察署はほとんど回りましたけど、たぶん私が恨まれるような感じはなかったですね。」
「すると軍の方か?」
「軍・・・・・。」
と考え込む武尊に蒼紫が、
「何かやったのか、軍に対して。」
と少し強い口調で武尊に言った。
「何かやったという訳では・・・・でも、警察ではないと思うので・・・。」
と、考えこむ武尊に、
「そうか、今のところは確証いたる物がない。気を付けろ。」
と言って
「では、俺は帰る。武尊・・・・・。」
「はい?」
途中で言葉を止めた蒼紫を不思議に思い武尊が聞き返した。
「もし・・・・、奥方が斎藤との仲を不審だと疑って武尊が困る様であれば、俺がやったと言えばいい・・・。」
「えっ?!」
と聞き返す武尊に
「俺の名前を好きに使え、武尊。ここを離れたくないのだろう?」
そう言うと蒼紫は障子を開けて勝手口へ向かった。
「四乃森さん!」
と、武尊がその後を追いかける。
靴を履く蒼紫に、
「すみません、四乃森さん!」
と、武尊は頭を下げた。
「そのようにするな武尊、俺が自分で好きにやっているだけだ。・・・嫌だったら言ってくれ。・・・俺達は【友】だからな。」
蒼紫は靴を履くと武尊の肩越しに家の奥を見た。
だが、時尾の姿は見えない。
(誤解されたか・・・が、構わぬ。)
蒼紫は武尊に、奥方によろしく伝えるように言うと神谷道場へと戻って行った。