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44.二十六夜待 (斎藤・夢主)
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武尊も斎藤の横に腰を下ろし、街灯りを見下ろす。
斎藤さんが言った『思い出』って何だろう。
幕末、斎藤さんといた(というか、新撰組に半拉致された感じだったけど・・・。)のは約ニ十日ぐらいしかなかったんだけど・・・。
と、武尊は過去を振り返る。
そういえば、うどん派だった私が蕎麦派に変わったのは斎藤さんの所為だもんね・・。
と、新撰組にいた時、蕎麦屋台の手伝いをしたのがきっかけだったと。
そんなある日、屋台の主人、山崎さんが言ってたっけ・・・。
「今夜は二十六夜待だねぇ、蘭丸(幕末、記憶がなかった時の名前)。」
「にじゅうろくやまち?」
「なんや、そんな事もしらんのか。」
首を傾げる蘭丸に、
「二十六日目に上る月をめでる日、とでも言おうか。本来は月待講(つきまちこう)の一つで、この夜の月光のなかに阿弥陀様、観音様、勢至(せいし)様の三尊の姿が見えるっていうありがた~~い月なんやで。ま、それは口実で、それを見るために夜遅うまで起きて飲んだり騒いだりするんやけどな。」
と言ってカラカラと笑う山崎に
「へ~ぇ。」
と、首を何度も縦に振ってうなずく武尊。
「ホンマに知らへんのか。信じられへんわ!」
と、山崎が呆れていると、
「二十六夜待は江戸の方が知られているな。」
と蘭丸の背後から声がした。
「あ、斎藤さん!」
「斎藤の旦那、いらっしゃい。」
「いつもの頼む。」
「へい、毎度。」
山崎が手を動かしている間、武尊が
「今日も巡察お疲れ様です。」
と斎藤に言うと、
斎藤はフッと笑って
「お前も異常なし、今夜も十六夜丸は出没しない・・・と。」
と言った。
「も-!斎藤さん!」
と、武尊は両頬を膨らませた。
山崎から出された蕎麦をすすりながら斎藤は、
「この頃は月の出が遅いからな。今夜の月が昇るのはまだ先だな。」
そう、言われて武尊は空を仰ぎみたが、空に見えるのはギラギラ瞬く無数の星。
月の姿はなかった。
斎藤は蕎麦を食べ終わると再び巡察へ戻っていった。
夜も更け、手伝いも終わり、屯所に戻って寝る間際まで空にありがたいといわれる月を見ようと何度も空をみたけど、その姿はなく、武尊は床に入り眠りについた。
その晩に限って、いつも朝まで爆睡コースの武尊のはずなのに、斎藤が夜の巡察を終えて帰って来た気配に目が覚めた。
目はつむったまま、耳だけが感覚器として機能する。
刀をおろす音。
羽織を脱ぐ音。
寝間着に着替える時の布の擦れる音。
寝ていればなんてことない姿勢も起きていれば同じ姿勢でいるのがつらくて、武尊は少し体を動かした。
たったそれだけで斎藤が気が付く。
「起きているのか?」
ドキっとしながらも、
「いえ、斎藤さんが帰って来た気配で起きただけです。」
と、武尊は小声で答えた。
斎藤は自分の床に入りながら、
「あれから雲がでてきて、結局月は見えなかった・・・。いつか見に行くか?」
と言った。
武尊が
「うん・・・・・、行きたい・・・・。」
と返事をしたら、額に軽い口付けを落とされた。
「!!」
武尊が目をまん丸くして斎藤を見ると斎藤はフッと笑って
「寝るぞ。」
と、ひとこと言い床へ就いた。
斎藤さんが言った『思い出』って何だろう。
幕末、斎藤さんといた(というか、新撰組に半拉致された感じだったけど・・・。)のは約ニ十日ぐらいしかなかったんだけど・・・。
と、武尊は過去を振り返る。
そういえば、うどん派だった私が蕎麦派に変わったのは斎藤さんの所為だもんね・・。
と、新撰組にいた時、蕎麦屋台の手伝いをしたのがきっかけだったと。
そんなある日、屋台の主人、山崎さんが言ってたっけ・・・。
「今夜は二十六夜待だねぇ、蘭丸(幕末、記憶がなかった時の名前)。」
「にじゅうろくやまち?」
「なんや、そんな事もしらんのか。」
首を傾げる蘭丸に、
「二十六日目に上る月をめでる日、とでも言おうか。本来は月待講(つきまちこう)の一つで、この夜の月光のなかに阿弥陀様、観音様、勢至(せいし)様の三尊の姿が見えるっていうありがた~~い月なんやで。ま、それは口実で、それを見るために夜遅うまで起きて飲んだり騒いだりするんやけどな。」
と言ってカラカラと笑う山崎に
「へ~ぇ。」
と、首を何度も縦に振ってうなずく武尊。
「ホンマに知らへんのか。信じられへんわ!」
と、山崎が呆れていると、
「二十六夜待は江戸の方が知られているな。」
と蘭丸の背後から声がした。
「あ、斎藤さん!」
「斎藤の旦那、いらっしゃい。」
「いつもの頼む。」
「へい、毎度。」
山崎が手を動かしている間、武尊が
「今日も巡察お疲れ様です。」
と斎藤に言うと、
斎藤はフッと笑って
「お前も異常なし、今夜も十六夜丸は出没しない・・・と。」
と言った。
「も-!斎藤さん!」
と、武尊は両頬を膨らませた。
山崎から出された蕎麦をすすりながら斎藤は、
「この頃は月の出が遅いからな。今夜の月が昇るのはまだ先だな。」
そう、言われて武尊は空を仰ぎみたが、空に見えるのはギラギラ瞬く無数の星。
月の姿はなかった。
斎藤は蕎麦を食べ終わると再び巡察へ戻っていった。
夜も更け、手伝いも終わり、屯所に戻って寝る間際まで空にありがたいといわれる月を見ようと何度も空をみたけど、その姿はなく、武尊は床に入り眠りについた。
その晩に限って、いつも朝まで爆睡コースの武尊のはずなのに、斎藤が夜の巡察を終えて帰って来た気配に目が覚めた。
目はつむったまま、耳だけが感覚器として機能する。
刀をおろす音。
羽織を脱ぐ音。
寝間着に着替える時の布の擦れる音。
寝ていればなんてことない姿勢も起きていれば同じ姿勢でいるのがつらくて、武尊は少し体を動かした。
たったそれだけで斎藤が気が付く。
「起きているのか?」
ドキっとしながらも、
「いえ、斎藤さんが帰って来た気配で起きただけです。」
と、武尊は小声で答えた。
斎藤は自分の床に入りながら、
「あれから雲がでてきて、結局月は見えなかった・・・。いつか見に行くか?」
と言った。
武尊が
「うん・・・・・、行きたい・・・・。」
と返事をしたら、額に軽い口付けを落とされた。
「!!」
武尊が目をまん丸くして斎藤を見ると斎藤はフッと笑って
「寝るぞ。」
と、ひとこと言い床へ就いた。