武尊は般若の面の男の言葉を黙って聞きながら思った。



（四乃森さんって・・・・。この人たちからこんなにも思われているんだ・・・・。）



武尊は四人を一人一人の姿をゆっくりと目に映しながら考えた。





御庭番衆・・・。





その御頭だったという四乃森さん・・・この人達の事を気遣って自分の幸せを求めないなんて・・・。



いったいどれだけ強い絆で結ばれていたのだろうか？



事件簿を全文読んだわけじゃないから書いてあったかどうかわからないけど、いったい観柳邸で何があったというのか。



御庭番衆って言うからには素人じゃないはず。



なのにこの人達は亡くなった。



そして四乃森さんはその首を斬った・・・・。



武尊の心のなかにやるせない思いが湧いてきた。



「もう一度、四乃森さんに会えればいいのにね。」



武尊は、つい思ったことを口走ってしまった。



そしてすぐ、しまったと思った。



会えるわけがない。



死んでしまった人間に何てことを、と。



武尊がそう思ったらすぐに、



「ふん、お前が我らを見ることが出来るのはその霊力とやらのお陰。蒼紫様のような特に現実主義の人間には到底出来ぬこと。」



と、般若の面の男に軽蔑されたように言われた。



やっぱり言われたと、武尊が思っていると続いて筋肉の男が、



「せめて操様のように子供のように純粋であられたら声を聞くことは出来たかもしれねぇな。」



と、少し残念そうに言った。



「ともあれ、我らは蒼紫様がなんと思おうともお前が蒼紫様に相応しいとは認めぬ。」



と般若の面の男が武尊に言った。



「え？」



武尊はいきなりの般若の面の男の話に面食らって思わず声を出した。



（四乃森さんに相応しいって？なんの話？）



そう思った時、真っ暗だった世界がパアッ－と光に包まれた。



と、同時に武尊の前の四人の男の姿が消えて行く。



そしてその姿が消える時、



「我らは認めぬ・・・・認めぬぞ！・・・覚えて置け・・・覚えて置け・・。」



と、何度もエコ－のようにその声が武尊の耳にこだました。