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44.二十六夜待 (斎藤・夢主)
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斎藤は武尊の予定する時刻にだいたい港に着いた。
だが、捕らえたはずの雪代縁がいない。
気が付いたのが下船前でまだましだったのだが、船内捜索をしていて警視庁へ戻ってきたのがだいたい午前一時を過ぎたところだった。
警視庁の門から自分の部屋を見上げると、ぼんやり灯りが見えた。
(武尊か?)
武尊ぐらいしか俺の部屋にいるわけがないと思いつつ、まだ帰ってなかったのか?とも思いつつ、階段を上がった奥の自分の部屋の扉を開けた。
「おい。」
そう言いつつ開けた扉の向こうにはソファーに座ってうつらうつらと船を漕いでいるな。
斎藤は静かにランプに照らされる武尊のサラシ姿にぐっとくるものがあったが、ツカツカとソファーに近寄ると武尊の名前を呼んだ。
「武尊、起きろ。」
部屋の主の声にハッとし、
「あ、お帰りなさい、斎藤さん。どうでした?」
と、武尊は目を開けて聞いた。
ランプの光でもわかる、血が染みた破けた制服。
闘いがあったんだ・・・。
だけどちゃんと帰ってきた・・・よかった。
武尊は思わずうっすら出てきた涙を指で拭った。
そんな武尊を斎藤は見て、
「心配するな、こんなのはかすり傷だ。」
と言った。
武尊はとりあえず無事な斎藤にうんうんと頷いた。
そして斎藤は最初の武尊の質問に答える。
「成果としてはまずまずと言ったところだ、一点を除いてはな。組織はボス以下捕縛し壊滅させたが、肝心のボスが下船前に消えた。」
涙を浮かべるセンチな気分を吹き飛ばすような斎藤の話。
「ええー!それってやばいじゃないですか!また東京にアームストロング砲がぶちこまれるんじゃないですか?」
「いや、それはない。奴にはもう人誅をする理由がないんだからな・・・。壊れた奴など、放っておいても構わんだろう。」
そう言って斎藤は煙草をいっそう深く吸った。
「ふううん~。」
「なんだ、不服なのか。」
「いえ、悪即斬じゃなかったんですね。」
「ふん、雪代縁は抜刀斎の相手だ。私闘に俺が口を出す筋合いはない。後で組織の事も聞かねばならんと思っていたからな。」
「じゃあ、斎藤さんの相手は?」
と、武尊が聞くと斎藤はフッと笑って
「さあな、勝負をした時は息があったが今頃はどうだか。」
と言った。
「・・・・・。」
新撰組の狼・・・。
実際刀を振るっているところは見たことがないけれど、返り血を服に浴びて屯所に戻って来たときの顔と同じだ。
今も昔も・・・・・。
武尊が今と昔の両方の斎藤を思い比べていると斎藤が、
「どうした、そんなに俺の顔を見て。」
と言った。
「いえ・・・・・、昔の斎藤さんと同じ顔をしてるって思って・・・・。」
「そうか・・・。」
斎藤と武尊が互いを見てしばし沈黙する。
二人が共有した幕末の短い時間。
ゆらめくランプの光のように二人の胸にその時の事をが思い出されていた。
だが、捕らえたはずの雪代縁がいない。
気が付いたのが下船前でまだましだったのだが、船内捜索をしていて警視庁へ戻ってきたのがだいたい午前一時を過ぎたところだった。
警視庁の門から自分の部屋を見上げると、ぼんやり灯りが見えた。
(武尊か?)
武尊ぐらいしか俺の部屋にいるわけがないと思いつつ、まだ帰ってなかったのか?とも思いつつ、階段を上がった奥の自分の部屋の扉を開けた。
「おい。」
そう言いつつ開けた扉の向こうにはソファーに座ってうつらうつらと船を漕いでいるな。
斎藤は静かにランプに照らされる武尊のサラシ姿にぐっとくるものがあったが、ツカツカとソファーに近寄ると武尊の名前を呼んだ。
「武尊、起きろ。」
部屋の主の声にハッとし、
「あ、お帰りなさい、斎藤さん。どうでした?」
と、武尊は目を開けて聞いた。
ランプの光でもわかる、血が染みた破けた制服。
闘いがあったんだ・・・。
だけどちゃんと帰ってきた・・・よかった。
武尊は思わずうっすら出てきた涙を指で拭った。
そんな武尊を斎藤は見て、
「心配するな、こんなのはかすり傷だ。」
と言った。
武尊はとりあえず無事な斎藤にうんうんと頷いた。
そして斎藤は最初の武尊の質問に答える。
「成果としてはまずまずと言ったところだ、一点を除いてはな。組織はボス以下捕縛し壊滅させたが、肝心のボスが下船前に消えた。」
涙を浮かべるセンチな気分を吹き飛ばすような斎藤の話。
「ええー!それってやばいじゃないですか!また東京にアームストロング砲がぶちこまれるんじゃないですか?」
「いや、それはない。奴にはもう人誅をする理由がないんだからな・・・。壊れた奴など、放っておいても構わんだろう。」
そう言って斎藤は煙草をいっそう深く吸った。
「ふううん~。」
「なんだ、不服なのか。」
「いえ、悪即斬じゃなかったんですね。」
「ふん、雪代縁は抜刀斎の相手だ。私闘に俺が口を出す筋合いはない。後で組織の事も聞かねばならんと思っていたからな。」
「じゃあ、斎藤さんの相手は?」
と、武尊が聞くと斎藤はフッと笑って
「さあな、勝負をした時は息があったが今頃はどうだか。」
と言った。
「・・・・・。」
新撰組の狼・・・。
実際刀を振るっているところは見たことがないけれど、返り血を服に浴びて屯所に戻って来たときの顔と同じだ。
今も昔も・・・・・。
武尊が今と昔の両方の斎藤を思い比べていると斎藤が、
「どうした、そんなに俺の顔を見て。」
と言った。
「いえ・・・・・、昔の斎藤さんと同じ顔をしてるって思って・・・・。」
「そうか・・・。」
斎藤と武尊が互いを見てしばし沈黙する。
二人が共有した幕末の短い時間。
ゆらめくランプの光のように二人の胸にその時の事をが思い出されていた。