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77.蒼紫の願い (蒼紫・夢主)
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「・・・すみません、四乃森さん。」
「別にかまわん。」
蒼紫はそう言ってベッドサイドの椅子に座った。
椅子に腰掛け、ふと蒼紫が武尊の方を向くと、武尊は目を開けて蒼紫の方をじっと見ていた。
「どうした・・。」
「私・・・・生きているんですか?」
蒼紫は武尊の思いもよらぬ質問に驚いた。
だが、不安そうに自分を見る武尊を安心させようと穏やかに、
「ああ。ここの医者に見せたが傷口は大分塞がっているとのことだ。しばらく安静にしていればじきに良くなる。」
と言った。
武尊は蒼紫の言葉を聞きながらずっと蒼紫の顔を見ていた。
その視線が何か言いたげだったので蒼紫が武尊に、
「武尊、どうした。」
と聞いた。
「・・・・すみません、御迷惑をおかけして。」
と、武尊が答えた。
武尊は先ほど少しだけ体を起こしてもらった時にこの部屋の全体を見た。
他に人のいる気配がしなかった。
(もしかして四乃森さんがずっと付いていてくれてた・・・・?)
と、武尊はそう思った。
こんな自分の為に。
ひょんな事から知り合っただけなのに。
友になろうと言ってくれて。
私を好きになってくれて。
何度も私を助けてくれて・・・。
それなのに。
私は四乃森さんにお返しの一つもしないで・・・。
そう思いながら武尊はずっと蒼紫を見ていた。
蒼紫は武尊があまりにもじっと自分の顔を見るので気になって、
「いったいどうした。いつになく俺を見るとは。」
と言った。
武尊は、
「ううん・・、私、このまま死んじゃったら四乃森さんに何もお返しできないままになっちゃうと思って・・・・。」
と言った。
武尊の言葉に蒼紫はぴくっと手が動いた。
武尊は少し喋ると息があがる。
「ははっ・・・、喋るのもこんなに苦しいなんて。」
武尊は笑ってそう言ってみたものの、気を抜くとまた目をつむってしまいそうな気がして。
目をつむったら、もう二度と目覚めないかもしれないというそんな不安があって。
だから・・・。
「四乃森さん・・・、何か私に出来る事ありますか?」
武尊は出来る限りの笑顔を作って蒼紫にそう言った。
血色の悪い武尊の顔。
本当に苦しそうに話す武尊。
そんな武尊のような末期の人間を多数見てきた蒼紫は武尊の申し出の返答に蒼紫は困った。
(武尊が死期を悟ったとでもいうのか。ならん武尊。それだけはならんぞ。)
そう思った蒼紫は、
「何を言う。早く良くなることだけを考えていればいい。」
と、武尊に言ったが、武尊は首をわずかに横を振ると、
「良くならなかったらでは遅いから・・・。」
と、答えた。
「弱気になるな。武尊はまだやる事があるのだろう?武尊の師匠とやらに言われたことがあるのだろう?気をしっかり持て。」
蒼紫にそう言われて武尊は比古の顔を思い浮かべた。
武尊の脳裏に山小屋での短かった生活が事細かに思い出される。
比古さん・・・・・。
武尊は遠い比古に思いを馳せ語りかける。
比古さん、私は今たぶん死にそうです。
こんな私を見せると比古さん怒るかな?
でも私、自分がやったことを後悔してないよ。
自分で考えてやったことだから・・・・・許してください・・・・ちゃんと戻れなかったこと。
そしてありがとうございました。
あ、やばっ・・・ほっとすると強烈な眠気が襲ってくる。
寝てしまったら次はちゃんと目覚めることが出来るのか?・・・今のうちに言っておかないと・・・。
そう考え、武尊は気力を振り絞って蒼紫に、
「四乃森さん・・・、もし私が死んだら、師匠に・・・・私が・・・命を助けていただいて本当に感謝していたと、私は笑って逝ったと伝えてもらえますか?」
と言った。
でも、言った瞬間、頭のなかで比古が『馬鹿野郎!』と叫んでいるのが思い浮かんで思わず、ふふっと心で笑った。
(やっぱり怒るかなぁ・・・比古さん。)
蒼紫は武尊が終始笑顔なのが見ているとつらかった。
蒼紫は口に出したくなかったが武尊の気持ちをしっかりさせるならばとあの男の名前を口にした。
「武尊、斎藤はどうなんだ。武尊が死んだらあの男はどう思うと思っているんだ。」
武尊は蒼紫のその言葉を聞いて、じっと蒼紫を見た。
(・・・・・・斎藤さん。)
武尊は愛しい人の名前を思い出す。
口調はいつも厳しいけどいつも優しい斎藤さん。
あんなにも激しく抱いてくれた斎藤さん。
「・・・・・・いいの。」
「斎藤さんは・・・・いいの。」
「わかり合ってるから・・・。何も言わなくても斎藤さんはわかってるから。」
この時だけ武尊は蒼紫の方を見ながらもその目は蒼紫ではなく、遠く斎藤の姿を追っていた。
「・・・・・・。」
蒼紫はそれを聞いて何も言えなかった。
やはりその名前を口にすべきではなかったと後悔した。
それほどまでに武尊は斎藤のことを思っているのかと思い知らされた。
心の中に黒いもやのようにどうしようもない嫉妬とやるせなさが同時に湧き上がってくる。
蒼紫がそんな思いに囚われていると武尊が、
「だから、四乃森さん。」
と蒼紫に呼びかけた。
蒼紫は・・・・・武尊をじっと見つめた。
武尊は、
「私・・・四乃森さんに今までのたくさん助けてくれた事に対してありがとうございますっていう言葉だけで終わらせたくない・・・こんな私にでも何か出来る事ありませんか。」
と言った。
「別にかまわん。」
蒼紫はそう言ってベッドサイドの椅子に座った。
椅子に腰掛け、ふと蒼紫が武尊の方を向くと、武尊は目を開けて蒼紫の方をじっと見ていた。
「どうした・・。」
「私・・・・生きているんですか?」
蒼紫は武尊の思いもよらぬ質問に驚いた。
だが、不安そうに自分を見る武尊を安心させようと穏やかに、
「ああ。ここの医者に見せたが傷口は大分塞がっているとのことだ。しばらく安静にしていればじきに良くなる。」
と言った。
武尊は蒼紫の言葉を聞きながらずっと蒼紫の顔を見ていた。
その視線が何か言いたげだったので蒼紫が武尊に、
「武尊、どうした。」
と聞いた。
「・・・・すみません、御迷惑をおかけして。」
と、武尊が答えた。
武尊は先ほど少しだけ体を起こしてもらった時にこの部屋の全体を見た。
他に人のいる気配がしなかった。
(もしかして四乃森さんがずっと付いていてくれてた・・・・?)
と、武尊はそう思った。
こんな自分の為に。
ひょんな事から知り合っただけなのに。
友になろうと言ってくれて。
私を好きになってくれて。
何度も私を助けてくれて・・・。
それなのに。
私は四乃森さんにお返しの一つもしないで・・・。
そう思いながら武尊はずっと蒼紫を見ていた。
蒼紫は武尊があまりにもじっと自分の顔を見るので気になって、
「いったいどうした。いつになく俺を見るとは。」
と言った。
武尊は、
「ううん・・、私、このまま死んじゃったら四乃森さんに何もお返しできないままになっちゃうと思って・・・・。」
と言った。
武尊の言葉に蒼紫はぴくっと手が動いた。
武尊は少し喋ると息があがる。
「ははっ・・・、喋るのもこんなに苦しいなんて。」
武尊は笑ってそう言ってみたものの、気を抜くとまた目をつむってしまいそうな気がして。
目をつむったら、もう二度と目覚めないかもしれないというそんな不安があって。
だから・・・。
「四乃森さん・・・、何か私に出来る事ありますか?」
武尊は出来る限りの笑顔を作って蒼紫にそう言った。
血色の悪い武尊の顔。
本当に苦しそうに話す武尊。
そんな武尊のような末期の人間を多数見てきた蒼紫は武尊の申し出の返答に蒼紫は困った。
(武尊が死期を悟ったとでもいうのか。ならん武尊。それだけはならんぞ。)
そう思った蒼紫は、
「何を言う。早く良くなることだけを考えていればいい。」
と、武尊に言ったが、武尊は首をわずかに横を振ると、
「良くならなかったらでは遅いから・・・。」
と、答えた。
「弱気になるな。武尊はまだやる事があるのだろう?武尊の師匠とやらに言われたことがあるのだろう?気をしっかり持て。」
蒼紫にそう言われて武尊は比古の顔を思い浮かべた。
武尊の脳裏に山小屋での短かった生活が事細かに思い出される。
比古さん・・・・・。
武尊は遠い比古に思いを馳せ語りかける。
比古さん、私は今たぶん死にそうです。
こんな私を見せると比古さん怒るかな?
でも私、自分がやったことを後悔してないよ。
自分で考えてやったことだから・・・・・許してください・・・・ちゃんと戻れなかったこと。
そしてありがとうございました。
あ、やばっ・・・ほっとすると強烈な眠気が襲ってくる。
寝てしまったら次はちゃんと目覚めることが出来るのか?・・・今のうちに言っておかないと・・・。
そう考え、武尊は気力を振り絞って蒼紫に、
「四乃森さん・・・、もし私が死んだら、師匠に・・・・私が・・・命を助けていただいて本当に感謝していたと、私は笑って逝ったと伝えてもらえますか?」
と言った。
でも、言った瞬間、頭のなかで比古が『馬鹿野郎!』と叫んでいるのが思い浮かんで思わず、ふふっと心で笑った。
(やっぱり怒るかなぁ・・・比古さん。)
蒼紫は武尊が終始笑顔なのが見ているとつらかった。
蒼紫は口に出したくなかったが武尊の気持ちをしっかりさせるならばとあの男の名前を口にした。
「武尊、斎藤はどうなんだ。武尊が死んだらあの男はどう思うと思っているんだ。」
武尊は蒼紫のその言葉を聞いて、じっと蒼紫を見た。
(・・・・・・斎藤さん。)
武尊は愛しい人の名前を思い出す。
口調はいつも厳しいけどいつも優しい斎藤さん。
あんなにも激しく抱いてくれた斎藤さん。
「・・・・・・いいの。」
「斎藤さんは・・・・いいの。」
「わかり合ってるから・・・。何も言わなくても斎藤さんはわかってるから。」
この時だけ武尊は蒼紫の方を見ながらもその目は蒼紫ではなく、遠く斎藤の姿を追っていた。
「・・・・・・。」
蒼紫はそれを聞いて何も言えなかった。
やはりその名前を口にすべきではなかったと後悔した。
それほどまでに武尊は斎藤のことを思っているのかと思い知らされた。
心の中に黒いもやのようにどうしようもない嫉妬とやるせなさが同時に湧き上がってくる。
蒼紫がそんな思いに囚われていると武尊が、
「だから、四乃森さん。」
と蒼紫に呼びかけた。
蒼紫は・・・・・武尊をじっと見つめた。
武尊は、
「私・・・四乃森さんに今までのたくさん助けてくれた事に対してありがとうございますっていう言葉だけで終わらせたくない・・・こんな私にでも何か出来る事ありませんか。」
と言った。