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75.空耳 (左之助・恵・蒼紫・斎藤)
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それからしばらくして、離れの方で声がした。
往診の最後に神谷道場の弥彦を診た後、恵は左之助に送ってもらって帰って来たのだった。
「今日はどうもありがとう、送ってもらって助かったわ。」
「これくらいどうってことないって。この辺りも最近ぶっそうだからよ。ま、女狐とは言え一応心配だからな。」
少し間を置いて左之助がギャ-と叫ぶ。
「あら、ごめんなさい。暗くて足元が見えなかったわ。」
「こらっ!てめ-わざと足踏んだだろ!」
「あら、なんのことだか・・・ホホホホ・・・。」
「そりゃまあ、いいってことだけどよ、何かねぇのかよ。」
「まったく・・・、あんたったら。私は往診でずっと朝から出てたんですからね。でも送ってもらったことだし、お茶ぐらい出すわよ。」
「なんでぃ、お茶か。」
左之助の言い草に恵はクスリと笑うと、
「あら、いいの?確か御饅頭が残ってたと思ったけど。」
と、言った。
「お、せっかくだからいただいてくとすっか。」
恵の一声に左之助は急に上機嫌になり、恵の後をついて行く。
恵は離れの台所に行って左之助にお茶と御饅頭を出した。
「悪いな。何か催促しちまったみたいで。」
と、全然そんな事は思ってもいない顔でそう言われても・・・と恵は思ったが、まあ、この男はいつもこうだと、そう思いながら自分もお茶を飲んだ。
「うめぇ!」
と、言いつつ左之助は饅頭を頬張った。
一口で口に消えた饅頭をもぐもぐさせながら左之助が台所を見回すと、握り飯が二つ置いてあるのが見えた。
「お、こいつももらっていいかい。」
「え?」
恵が振り向く前に、左之助はその一つに手を伸ばした。
「あ、馬鹿!それは・・。」
と、恵がそう言った時にはすでに左之助は一口かぶりついていた。
「ん?そんな顔するなよ。女狐の分も半分残してやってっからよ。」
恵は一瞬、早朝に作ったおにぎりが今日は日中気温も上がって傷んではしないかと心配したが、ここは日も直接当たらないし風通しもいいから大丈夫だろうと考えた。
「いいわよ、食べちゃって。私は神谷道場へ行く前に遅い昼食を取ったからお腹がすいてないの。」
「お、そうかいそうかい。」
左之助はうししと笑うと、嬉しそうに残りの握り飯を食べ終えた。
「わりぃな、握り飯までもらっちまってよ。」
と言う左之助に、
「いいのよ、置いておいても痛んでしまうだけだから。じゃ、あんたも気を付けて帰るのよ。」
と、言った。
「おうよ。じゃ、またな。」
と、左之助は振り向くことなく手を振って帰っていった。
恵は左之助が帰ったら、大きくため息をつき、
「こっちにもいう事をきかないのがいたわね・・・・。」
と、言い、パタパタとスリッパをならしながら病室へ向かった。
往診の最後に神谷道場の弥彦を診た後、恵は左之助に送ってもらって帰って来たのだった。
「今日はどうもありがとう、送ってもらって助かったわ。」
「これくらいどうってことないって。この辺りも最近ぶっそうだからよ。ま、女狐とは言え一応心配だからな。」
少し間を置いて左之助がギャ-と叫ぶ。
「あら、ごめんなさい。暗くて足元が見えなかったわ。」
「こらっ!てめ-わざと足踏んだだろ!」
「あら、なんのことだか・・・ホホホホ・・・。」
「そりゃまあ、いいってことだけどよ、何かねぇのかよ。」
「まったく・・・、あんたったら。私は往診でずっと朝から出てたんですからね。でも送ってもらったことだし、お茶ぐらい出すわよ。」
「なんでぃ、お茶か。」
左之助の言い草に恵はクスリと笑うと、
「あら、いいの?確か御饅頭が残ってたと思ったけど。」
と、言った。
「お、せっかくだからいただいてくとすっか。」
恵の一声に左之助は急に上機嫌になり、恵の後をついて行く。
恵は離れの台所に行って左之助にお茶と御饅頭を出した。
「悪いな。何か催促しちまったみたいで。」
と、全然そんな事は思ってもいない顔でそう言われても・・・と恵は思ったが、まあ、この男はいつもこうだと、そう思いながら自分もお茶を飲んだ。
「うめぇ!」
と、言いつつ左之助は饅頭を頬張った。
一口で口に消えた饅頭をもぐもぐさせながら左之助が台所を見回すと、握り飯が二つ置いてあるのが見えた。
「お、こいつももらっていいかい。」
「え?」
恵が振り向く前に、左之助はその一つに手を伸ばした。
「あ、馬鹿!それは・・。」
と、恵がそう言った時にはすでに左之助は一口かぶりついていた。
「ん?そんな顔するなよ。女狐の分も半分残してやってっからよ。」
恵は一瞬、早朝に作ったおにぎりが今日は日中気温も上がって傷んではしないかと心配したが、ここは日も直接当たらないし風通しもいいから大丈夫だろうと考えた。
「いいわよ、食べちゃって。私は神谷道場へ行く前に遅い昼食を取ったからお腹がすいてないの。」
「お、そうかいそうかい。」
左之助はうししと笑うと、嬉しそうに残りの握り飯を食べ終えた。
「わりぃな、握り飯までもらっちまってよ。」
と言う左之助に、
「いいのよ、置いておいても痛んでしまうだけだから。じゃ、あんたも気を付けて帰るのよ。」
と、言った。
「おうよ。じゃ、またな。」
と、左之助は振り向くことなく手を振って帰っていった。
恵は左之助が帰ったら、大きくため息をつき、
「こっちにもいう事をきかないのがいたわね・・・・。」
と、言い、パタパタとスリッパをならしながら病室へ向かった。