「五郎さん、武尊さん、お帰りなさいませ。」



と、時尾が玄関先で出迎える。



「時尾さん、ただい・・・。」



武尊は帰りの挨拶を最後まで言うことなく、玄関で靴を脱ぐと安堵したのか崩れる様に倒れてしまった。



「武尊！」



「武尊さん！」



二人はほぼ同時に武尊の名前を呼ぶがはそのまま横たわったままだ。




「時尾、布団を敷け、それから手桶に水と手ぬぐいを。」



「わかりました、五郎さん。」



灯りを持つ時尾の後を武尊を抱き上げた斎藤が続く。



時尾が布団を敷き、井戸へ走っている間に斎藤は武尊の制服を脱がせにかかる。



上着のボタンを外すとサラシが現れた。



それを見て斎藤は眉尻をピクっと上げ、



「ちっ、あれほど言ったにもかかわらず、か。・・・こいつはお仕置きだな。」



と、武尊が熱でくたっ、としているにもかかわらず容赦ない言葉を吐く。



そして、ズボンと武尊の腹の間に挟まれている短銃を見て、



「これか、さっき抱きしめたとき、俺の脚に当たった硬いものは。こんな所にいれてやがったのか。」





斎藤が掛布団を掛けてやると時尾が戻ってきた。



「五郎さん、武尊さんは一体・・・。大丈夫でしょうか。」



「疲れが溜まっただけだ。心配はいらん。」



と、時尾にはそう説明して武尊の額に濡れた手ぬぐいをそっと置いた。