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28.黙って帰る帰り道 (斎藤・夢主)
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武尊は斎藤と二人、帰り道を無言で歩く。
斎藤もあえて話しかけようとせず、ただ横を歩く。
夜中で人通りもない神社近くの道。
警視庁と斎藤の・・・藤田宅への別れ道に差し掛かると立ち止まり、武尊はようやく口を開いた。
「斎藤さん・・・、私、今日は帰りたくない・・・。資料室で寝ます。」
斎藤はまだ武尊がちゃんと自分の眼を見ないで話しをするのを見た。
斎藤は無意識的に指を武尊の頬にスッっと当てた。
そして、
「む、熱いな。」
手袋越しにでもわかる武尊の熱。
そのまま、武尊の額へと手の甲を移動させ熱を見る。
「どこか具合でも悪いのか?」
と、斎藤が聞くと武尊は、
「いいえ・・・たぶん知恵熱ですね。」
武尊は力なく笑った。
そして、
「具合は悪くない・・・、でも・・・・何かがおかしいの、二人を撃ってから・・・。」
と、武尊は下を向いてカタカタと小さく震えだす。
「私は正しい選択をしたはずなのに・・・・・、撃つことに迷いはなかったはずなのに・・・・。」
武尊は
「どうしてこんなに不安になるんだろう。・・・・っ、斎藤さん・・・、心が痛い・・・。」
そう言って武尊は前かがみになって胸を両手で押さえる。
斎藤は発砲後武尊をずっとおかしくさせていたのは武尊の良心の呵責だということを知った。
「後悔しているのか。」
「していない!私がああしなければ罪もない人が殺されていた!」
と、武尊が叫ぶ。
斎藤は武尊をそっと武尊の頭と肩に手を置き自分の方へ引き寄せた。
「・・ぁっ。」
武尊は頬に当たった感触に目を開く。
武尊の頬が斎藤の胸に押し付けられる。
「すまなかったな、武尊。俺がこんな話を持ってきたばかりにお前に辛い思いをさせた・・。」
と、斎藤が謝る。
すると、武尊の瞳に堪えていた涙がつぅと溢れて頬を伝った。
「斎藤さんは悪くない・・・・・・悪くない・・・・・・・、ごめんなさい・・。」
武尊は斎藤の胸にすがりながら
「ごめんなさい・・・・、ごめんなさい・・・・。」
と、ただただ涙をこぼす。
何に対してごめんなさいだか武尊自身もよくわからないと思いつつ、出てくる言葉はこれだけだ。
斎藤は武尊の泣きたいままに泣かせる。
その間ずっと武尊の頭を優しくなでながら。
しばらくして少し武尊が落ち着いてくると
「武尊、つらいならその心を俺に寄こせ。」
と斎藤が言った。
武尊は斎藤の胸に顔を寄せたままその言葉に目を見開いた。
そして、急にその言葉で周りが見えてきた。
涙が止まり意識が覚醒してくる。
斎藤の胸にピタリとくっついている耳から斎藤の心臓が、ドクッ、ドクッと音をたてるのが聞こえてくる。
まるで心臓が武尊に語りかけてくるようだ。
武尊はその音を再び目を閉じてしばらく耳を傾ける。
そして斎藤の胸にさらに顔をすり寄せるように両手を斎藤の後ろに回し斎藤を抱きしめて言った。
「・・・・渡さない・・。私が自分で決めたことだもの。痛いからって逃げ出しちゃだめだもん・・・・。」
そう絞り出す様に話すと顔を挙げ、今度は斎藤の眼を見ながら本当に微笑んだ。
斎藤もそんな武尊を見て
「やっと正気に戻ったか。」
と言って、ふっ、と笑った。
「ごめんなさい。」
「まだごめんなさいか。」
「ううん、今のは本当のごめんなさい。」
「阿呆が。」
「うん、阿呆だね。」
そう言ってまた武尊は笑う。
「帰れるか?まだ資料室に泊まるなんぞ言ったらひっぱたいても家に連れて帰るがな。」
そう言うと斎藤は最後に武尊の髪をくしゃっとすると、
「帰るぞ、武尊。」
と言った。
斎藤もあえて話しかけようとせず、ただ横を歩く。
夜中で人通りもない神社近くの道。
警視庁と斎藤の・・・藤田宅への別れ道に差し掛かると立ち止まり、武尊はようやく口を開いた。
「斎藤さん・・・、私、今日は帰りたくない・・・。資料室で寝ます。」
斎藤はまだ武尊がちゃんと自分の眼を見ないで話しをするのを見た。
斎藤は無意識的に指を武尊の頬にスッっと当てた。
そして、
「む、熱いな。」
手袋越しにでもわかる武尊の熱。
そのまま、武尊の額へと手の甲を移動させ熱を見る。
「どこか具合でも悪いのか?」
と、斎藤が聞くと武尊は、
「いいえ・・・たぶん知恵熱ですね。」
武尊は力なく笑った。
そして、
「具合は悪くない・・・、でも・・・・何かがおかしいの、二人を撃ってから・・・。」
と、武尊は下を向いてカタカタと小さく震えだす。
「私は正しい選択をしたはずなのに・・・・・、撃つことに迷いはなかったはずなのに・・・・。」
武尊は
「どうしてこんなに不安になるんだろう。・・・・っ、斎藤さん・・・、心が痛い・・・。」
そう言って武尊は前かがみになって胸を両手で押さえる。
斎藤は発砲後武尊をずっとおかしくさせていたのは武尊の良心の呵責だということを知った。
「後悔しているのか。」
「していない!私がああしなければ罪もない人が殺されていた!」
と、武尊が叫ぶ。
斎藤は武尊をそっと武尊の頭と肩に手を置き自分の方へ引き寄せた。
「・・ぁっ。」
武尊は頬に当たった感触に目を開く。
武尊の頬が斎藤の胸に押し付けられる。
「すまなかったな、武尊。俺がこんな話を持ってきたばかりにお前に辛い思いをさせた・・。」
と、斎藤が謝る。
すると、武尊の瞳に堪えていた涙がつぅと溢れて頬を伝った。
「斎藤さんは悪くない・・・・・・悪くない・・・・・・・、ごめんなさい・・。」
武尊は斎藤の胸にすがりながら
「ごめんなさい・・・・、ごめんなさい・・・・。」
と、ただただ涙をこぼす。
何に対してごめんなさいだか武尊自身もよくわからないと思いつつ、出てくる言葉はこれだけだ。
斎藤は武尊の泣きたいままに泣かせる。
その間ずっと武尊の頭を優しくなでながら。
しばらくして少し武尊が落ち着いてくると
「武尊、つらいならその心を俺に寄こせ。」
と斎藤が言った。
武尊は斎藤の胸に顔を寄せたままその言葉に目を見開いた。
そして、急にその言葉で周りが見えてきた。
涙が止まり意識が覚醒してくる。
斎藤の胸にピタリとくっついている耳から斎藤の心臓が、ドクッ、ドクッと音をたてるのが聞こえてくる。
まるで心臓が武尊に語りかけてくるようだ。
武尊はその音を再び目を閉じてしばらく耳を傾ける。
そして斎藤の胸にさらに顔をすり寄せるように両手を斎藤の後ろに回し斎藤を抱きしめて言った。
「・・・・渡さない・・。私が自分で決めたことだもの。痛いからって逃げ出しちゃだめだもん・・・・。」
そう絞り出す様に話すと顔を挙げ、今度は斎藤の眼を見ながら本当に微笑んだ。
斎藤もそんな武尊を見て
「やっと正気に戻ったか。」
と言って、ふっ、と笑った。
「ごめんなさい。」
「まだごめんなさいか。」
「ううん、今のは本当のごめんなさい。」
「阿呆が。」
「うん、阿呆だね。」
そう言ってまた武尊は笑う。
「帰れるか?まだ資料室に泊まるなんぞ言ったらひっぱたいても家に連れて帰るがな。」
そう言うと斎藤は最後に武尊の髪をくしゃっとすると、
「帰るぞ、武尊。」
と言った。