武尊がここに来て既に一時間半を過ぎている。



館内は警備の警察と陸海軍、警察の招待客、と御婦人達。



・・・・・お、外人さんも一人いる！いつの間に来たんだろう。


すごい！なんか外人さん見るの久しぶり！Ｗｏｗ！



いかんいかん、、集中集中っと。



今の所、変わった所は無し。



館外は斎藤さんが回ってくれているはず｡




事が起こるのはあの晩聞こえた話によると二十時・・・。



武尊は壁にある柱時計を見る。




現在時刻、十九時五十五分。



と、思ったら武尊の後ろから音楽が突然聞こえてきた。



武尊が音に反射的に振り向くと先ほどの外人さんが指揮棒を振っていた。



何処かの国の軍隊の音楽隊・・・か？



どこかで聞いたことがある懐かしいポピュラーな曲。


そうだよね、まだレコードもない時代なんだもん。



生じゃないと聞けないよね。



と、ちょっと心躍ると思いつつも時間が時間なだけに武尊は会場内に注意集中した。



会場内の人々は一斉に音楽隊の方を見ている。



が、その中でわずかに体が動く海軍の軍人がいるのに武尊は気が付いた。



（狙いは・・・・誰だ？！誰を狙っている！）



武尊は周囲に目を集中して配らせる。



微妙に武尊に近づいて来る気がする。




一曲が終わる｡



拍手が館内を鳴り響く。



拍手の中をボーン、ボーン、ボーン・・・・




柱時計が二十時を知ら始めた｡



時計が八回なり終わった。



拍手も終わり二曲目、指揮者がまさに指揮棒を振ろうとした瞬間、洋館の外、少し遠い場所でドーン！っという大きな音がした。