武尊は川路親子の後ろについて歩く。



そうでもしなければこんな所来られる身分ではない。



まだ明治十一年、鹿鳴館には到底及ばない小さな洋館であるが、入り口の大理石の階段を上がればそこはまるで別世界・・・・。



天井中央からぶら下がる大きなシャンデリアが室内を明るく照らす。



この間まで川で茶碗を洗っていた世界とは全く違う明治日本の先端を行く世界｡



このような華やかな場所に来ることが出来るのはほとんど明治維新で功労者と言われた薩長土肥、つまり、薩摩、長州、土佐、肥前藩の者たちばかり。



そういえば殺された大久保卿も薩摩出身だったっけ。



志々雄の部下はともかく、政府が公表した士族も大久保卿に不満があったということだけど、今回狙われている人も同じ理由で狙われているんだろうか？



一体誰なんだ・・・狙われているのは・・・。





と、フクロウのように辺りに気を配る武尊であった。