斎藤は武尊から聞いた改造型アームストロング砲の射程距離内の高台や公園を主に警官を配備していく。



そして、日中、不審な物はないか徹底的に調べさせ、さらに夜間は馬車の通行を規制する。





『斎藤さん、鯨波だから自分であんな重いもの運べましたけど普通の大人なら長距離運ぶなんて無理です。だから、日中不審な物が見つからなければ相手は馬車に積んで迅速にやってくる可能性があります。もちろん相手が警官の配備も考慮に入れてきた場合、馬車の中には対警官用の人が何人かいると考えられます・・・。』



一通り配備が終わった斎藤は夜会が行われる洋館が遠く見える高台に立つと新たに煙草に火をつけ武尊が長々と言っていた言葉を思い出した。



「まったく・・・、俺と同じ考えを言ってくるとはな｡」



アームストロング砲の射程距離といい、俺の欲しい情報を的確に持ってくる・・・。



そこらへんの警官よりずっと役に立つ。



「何より見てて飽きないしな。」



独り言を言う斎藤は武尊に感心するやら少し嬉しいやら。



ふっ、と口角を上げて遠くを見下ろす斎藤｡






煙草の煙が風で流れて行く。



「さて、後はパンチの署長に任せて戻るとするか。」