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20.ボディガード (斎藤・夢主・川路)
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武尊は川路と話をした結果、とりあえず今日川路が退庁の際一緒に馬車に乗ってついて行くことになった。
「お帰りなさいませ旦那様。」
と女中が出迎える。
「承子はどこだ。」
「御自分の部屋でございましょう。」
「まだすねているのか」
「すねている?」
と武尊が聞きかえす。
「ああ、儂が最近毎晩夜遅く帰るのでここの所顔を合わすのも朝の僅かな時間のみ。二人しかいない家族だから寂しいのかもしれんが。」
「失礼ですけど、お嬢様おいくつですか。」
「十九だ。早く嫁にとは思うのだがなかなかうまくいかんでな。」
そういう川路はまるで娘に手を焼くただの父親。
これが警視庁で誰もが頭を下げるあの川路かと思うほど・・・あの威厳は何処へ行ったのやら。
(それにしても十九で反抗期なのか。昔の人はもっと精神的に大人だと思っていたんだけど。操ちゃんは十六だけど私よりしっかりしてるのにね。)
と武尊は思った。
二人は承子の部屋の前に着くと
「承子、新しい警護の者を連れてきた。今度はどうだ。襖を開けて出てきておくれ。」
「夜会のお話でしたら私行きませんわ。私、親のいいなりになるようなお人形ではありませんの。お父様御勝手に行かれればいいでございましょう。」
と、襖の向こうから声がした。
「私そのような場所など興味はございませんの。」
なるほど。本当は警護の人間なんて誰だって構わないんだ。
そういう理由で親を困らせてかまって欲しいだけなんだ・・・。
「すまん、土岐。いつもはもう少し聞く耳ぐらいはもってくれるんだが・・。」
と汗をかきながらそう言う横の男が武尊は気の毒になって来た。
夜会だってこの男にとっては別に遊びに行くわけではないのだろう。
たぶんこの人は人生の大半を仕事に捧げていて、家庭がおろそかになってしまうタイプの人だろう、と、武尊は思った。
まあ、いい加減な人だったら斎藤さんがこの人の下でおとなしくしているわけがないんだけど・・・。
武尊は襖を開くと
「私が今度警護を担当する土岐武尊です。よろしくお願いします。」
と言った。
娘の許可なく襖を開いたことに川路は慌てたが武尊はそのまま部屋に入ると承子の所まで進んだ。
「何を、私の許可なく部屋に入るなんて。」
川路の娘、承子に驚きと怒りの感情が見える。
「無礼なのは元より承知。ただ部屋の前に立っていても話は進まないと思ったものですから。私も遊びに来ているわけではないので話は進めてもらわないと。」
武尊は椅子に座ったままの承子に向かって更に話しかける。
「夜会はあなたのお父様にとっては大事なお仕事のうち。それを支えてあげられるのは今はあなたしかいないんですよ。」
「お父様は私よりもお仕事の方が大事なんですわ。帰ってきてはすぐ仕事仕事ですぐ出て行ってしまう。今更私の機嫌を取ろうなんて都合がよすぎるんですわ。」
バシッ。
武尊の平手打ちの乾いた音が空気を割った。
その瞬間、承子が床へ倒れた。
打たれた所を手で押さえ、キっと武尊を睨む承子。
川路は、あっ、と声をあげるが武尊の迫力に何も言えない。
「いいか、あんたの父親は命を懸けてこの国を守ろうとしているんだ。家から出ないで、外の世界も知ろうとしないで、そんなあんたに何が分かると言うんだ。明治になって内乱を押さえて国内を安定させる。それがいかに大変か知りもしないでそんな身勝手な事をいうな!」
承子は叩かれた上に初めて会う人間にいきなりそのような事を言われ怒りに肩が震えるが武尊の威圧感に口はパクパクするだけ。
「安心しろ、あんたが死んだら一人で行かせやしない。私の命もくれてやる!だから来い。夜会へ行って自分のやるべきことをやって来い!」
武尊は握りこぶしが食い込むぐらい握りそう言うと、川路の方を振り返り
「・・・・・・帰ります。」
と言って玄関へ向かった。
玄関で武尊は川路に
「今日はあなたも人の父親だったとわかってよかった。」
と言った。
川路は
「土岐の父上も厳しかった人なのか。」
と聞いた。
「いいえ・・・養父はとても優しい人で私に手をあげたことなど一度もない人でした。私、気が短いんです。感情が抑えられないなんて警官失格ですけど、でも今日あなたの娘を叩いたことを謝るつもりはありません。明後日の警護・・・・・一度だけ引き受けますが承子さんが嫌というならそれで構いませんので明日どうするか教えて下さい。」
「あ、それから・・・・、もし私が引き受けることになれば一つお願いがあります。警護が無事終わったら、あなたと兄様・・・元薩摩藩士、秦市彦との関係を教えて下さい。それが警護を引き受ける条件です。」
そう言って武尊は川路邸を後にした。
「お帰りなさいませ旦那様。」
と女中が出迎える。
「承子はどこだ。」
「御自分の部屋でございましょう。」
「まだすねているのか」
「すねている?」
と武尊が聞きかえす。
「ああ、儂が最近毎晩夜遅く帰るのでここの所顔を合わすのも朝の僅かな時間のみ。二人しかいない家族だから寂しいのかもしれんが。」
「失礼ですけど、お嬢様おいくつですか。」
「十九だ。早く嫁にとは思うのだがなかなかうまくいかんでな。」
そういう川路はまるで娘に手を焼くただの父親。
これが警視庁で誰もが頭を下げるあの川路かと思うほど・・・あの威厳は何処へ行ったのやら。
(それにしても十九で反抗期なのか。昔の人はもっと精神的に大人だと思っていたんだけど。操ちゃんは十六だけど私よりしっかりしてるのにね。)
と武尊は思った。
二人は承子の部屋の前に着くと
「承子、新しい警護の者を連れてきた。今度はどうだ。襖を開けて出てきておくれ。」
「夜会のお話でしたら私行きませんわ。私、親のいいなりになるようなお人形ではありませんの。お父様御勝手に行かれればいいでございましょう。」
と、襖の向こうから声がした。
「私そのような場所など興味はございませんの。」
なるほど。本当は警護の人間なんて誰だって構わないんだ。
そういう理由で親を困らせてかまって欲しいだけなんだ・・・。
「すまん、土岐。いつもはもう少し聞く耳ぐらいはもってくれるんだが・・。」
と汗をかきながらそう言う横の男が武尊は気の毒になって来た。
夜会だってこの男にとっては別に遊びに行くわけではないのだろう。
たぶんこの人は人生の大半を仕事に捧げていて、家庭がおろそかになってしまうタイプの人だろう、と、武尊は思った。
まあ、いい加減な人だったら斎藤さんがこの人の下でおとなしくしているわけがないんだけど・・・。
武尊は襖を開くと
「私が今度警護を担当する土岐武尊です。よろしくお願いします。」
と言った。
娘の許可なく襖を開いたことに川路は慌てたが武尊はそのまま部屋に入ると承子の所まで進んだ。
「何を、私の許可なく部屋に入るなんて。」
川路の娘、承子に驚きと怒りの感情が見える。
「無礼なのは元より承知。ただ部屋の前に立っていても話は進まないと思ったものですから。私も遊びに来ているわけではないので話は進めてもらわないと。」
武尊は椅子に座ったままの承子に向かって更に話しかける。
「夜会はあなたのお父様にとっては大事なお仕事のうち。それを支えてあげられるのは今はあなたしかいないんですよ。」
「お父様は私よりもお仕事の方が大事なんですわ。帰ってきてはすぐ仕事仕事ですぐ出て行ってしまう。今更私の機嫌を取ろうなんて都合がよすぎるんですわ。」
バシッ。
武尊の平手打ちの乾いた音が空気を割った。
その瞬間、承子が床へ倒れた。
打たれた所を手で押さえ、キっと武尊を睨む承子。
川路は、あっ、と声をあげるが武尊の迫力に何も言えない。
「いいか、あんたの父親は命を懸けてこの国を守ろうとしているんだ。家から出ないで、外の世界も知ろうとしないで、そんなあんたに何が分かると言うんだ。明治になって内乱を押さえて国内を安定させる。それがいかに大変か知りもしないでそんな身勝手な事をいうな!」
承子は叩かれた上に初めて会う人間にいきなりそのような事を言われ怒りに肩が震えるが武尊の威圧感に口はパクパクするだけ。
「安心しろ、あんたが死んだら一人で行かせやしない。私の命もくれてやる!だから来い。夜会へ行って自分のやるべきことをやって来い!」
武尊は握りこぶしが食い込むぐらい握りそう言うと、川路の方を振り返り
「・・・・・・帰ります。」
と言って玄関へ向かった。
玄関で武尊は川路に
「今日はあなたも人の父親だったとわかってよかった。」
と言った。
川路は
「土岐の父上も厳しかった人なのか。」
と聞いた。
「いいえ・・・養父はとても優しい人で私に手をあげたことなど一度もない人でした。私、気が短いんです。感情が抑えられないなんて警官失格ですけど、でも今日あなたの娘を叩いたことを謝るつもりはありません。明後日の警護・・・・・一度だけ引き受けますが承子さんが嫌というならそれで構いませんので明日どうするか教えて下さい。」
「あ、それから・・・・、もし私が引き受けることになれば一つお願いがあります。警護が無事終わったら、あなたと兄様・・・元薩摩藩士、秦市彦との関係を教えて下さい。それが警護を引き受ける条件です。」
そう言って武尊は川路邸を後にした。