だめだ、もっと状況がわかるような証拠か情報が欲しい・・・・。



武尊は地図を睨んだ。



「あれ？」



武尊は地図の隅田川を指で上流にたどっていく。



隅田川に合流する川がある。



「神田川だな。」



と、蒼紫が答えた。



「あの神田川？」



武尊は思わず歌を思い出し、そうだ、東京には神田川もあった。



と思ったが蒼紫に『あの』とは何だと言われ焦った。



「いや・・、深い意味はないんですけど。」



と、笑ってごまかす・・・ごまかせるか？



「それより、神田川って・・・。」



と、武尊はさらに指で上流へとたどっていく｡



（小石川・・東京ドームの方か・・そこから分かれてもっと上流へ行く方とは別に、こっちは・・・・・市ヶ谷？）





「防衛省！」




思わず思ったことが口に出てしまった武尊。



（うっ！やっちまった！！また余計な事を口走った。）



そう言って武尊は顔から汗が噴き出るように固まった。



蒼紫に突っ込まれたくない・・・。



おそるおそる蒼紫を目だけ動かして見上げる。



「どうした、土岐。」



「いえ・・・・べ、別に・・・・。」



（突っ込まれない？）



「・・・・・・・・・・・。」



蒼紫の様子をちょっと伺うが突っ込まれないので思考を進める。



市ヶ谷と言えば確か戦前陸軍の大本営があったところ。



さかのぼって明治にも何か軍関係の施設があったかもしれない、と思い蒼紫に聞いてみる。



「四乃森さん、この辺りでで陸軍関係の施設あります？」



と、市ヶ谷を指さした。



「陸軍士官学校が出来たと聞いたことがあるが・・・・・・・・・・。土岐、何を考えている。」



蒼紫が少し厳しい眼をして武尊に言った。



「いえ、別に・・・。ただちょっと気になったことがあったので・・・。」



えへへ、と笑ってごまかす。



ごまかしだらけだ、と武尊は思ったついでに



「ついでなんですけど、海軍ってどこか近くに施設あります？」



蒼紫は少し呆れ気味に



「何故そんなことを聞く。」



「すみません、今は何も聞かないで知っていたら教えて下さい！」



「俺には話せない事なのか。」



「職務上の秘密です、一応。」



「・・・・・・・築地に海軍の兵器製造所がある｡」





築地。



そりゃ名前は知っている。



築地市場ではおいしいものがたくさんある、とＴＶでやっていた。
（※この話は豊洲に市場が移転する前に書いてます）



そこが兵器製造所とはびっくりだ。



地図でみると７ｋｍ前後？かな。（地図が正しければの話だが。）



見に行ってみようと武尊は思った。