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15.史実から消された男 (斎藤・張・夢主・蒼紫・その他)
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寿司桶を返し、せいろを返したところで武尊はお蕎麦を食べようと思った。
「張、これでかけ蕎麦食べれる?」
武尊はポケットに入っていたお金を張に見せた。
武尊はまだメニューを見たり、それがいくらなのか店の札で読むことに自信がない。
それはかけ蕎麦一杯分のお金。
「武尊、金、他にもっとらへんのか。」
「うん、今回の御給金が入るまでお金ないの。」
っと武尊は肩をすくめて笑う。
「あかん、わいが出したるからもっとええもん頼み。」
「張、関西人って割り勘が好きだって聞いたことあるよ。」
「だとしてもや、わいは今日、寿司も食ったし、蕎麦も食った。たまにはええやろ、文無しの後輩に恰好ええとこ見せても。」
おごるのが恰好がいいことかそうでないかは別にして武尊はここは張を立てるべき、と判断し、
「じゃあ・・・、きつね蕎麦。」
と張に言った。
「おいちゃん、稲荷定食一丁頼むわ!」
「ちょと、張、それ高いよ!」
武尊は焦って張の袖を引っ張った。
「おごっちゃる言う取るときは心配せんでええ。先輩のいう事聞いとき。」
そう言うと張は小あがり武尊を座らせ自分もその向かいに座った。
「その代り、わいも武尊の事いろいろ聞きたいねん。」
「私も先輩がどんな仕事やってるのか教えてくださいね。」
「ええで。でもわいが先に質問や。」
そのとき店の者が二人にお茶を持ってきた。
そして二人はズズーっとそれを飲みほした。
「お茶、おいし。」
「じゃ、まずわいからや。なんで武尊は密偵になったんや。」
「密偵、というか斎藤さんからは小間使いって言われてますけど、雇われた理由・・・・う~ん・・・・。強いて言うならば顔見知りだったからですかねぇ。」
「顔見知りってどんな顔見知りや。」
「幕末・・・・・・、新撰組の紹介でお蕎麦の屋台の手伝いをしてました。」
「なんやそれ!」
「でも、すぐやめちゃいましたけどね・・・・。」
武尊は屯所から逃げた時の事を思い出した。
逃げ出したその理由も・・・・。
「じゃ、今度は私の番、張はどうして密偵になったの?」
「わいの場合は・・・裏取引や。」
張は少し険しい顔になって
「わいは志々雄様の十本刀の張っと呼ばれとった。抜刀斎につかまって牢に入っとる間に志々雄様が死んでしもうて、わいは死刑ちゅうことになるはずだったんやけどわいの能力を明治政府に使うんやったら娑婆にだしちゃるって言われたんや。ま、牢に入ってもなんもおもろうないわ、と、思うてその取引に応じて密偵になった。ちゅう訳や。」
武尊は張が言った志々雄という名前が気になった。
「張、志々雄って雪代縁が軍艦を売ったっていう人だよね?」
「そうや、軍艦『煉獄』。志々雄様が明治政府と戦う切り札にしとったんや。」
「そんな大がかりな事をしたのにどうして日本史に名前が残ってないの?」
武尊がそう言うと、ぎらりと張が武尊を睨んだ。
武尊はしまった、未来の人間として言葉を使ってしまったか、と焦った。
「武尊も志々雄様を知らへんのか。・・・・明治政府は志々雄様の存在自体を本当に消しおった。」
張は怒りで拳を震わす。
「・・・・張、教えてくれる?その志々雄っていう人のこと。」
「・・・ええやろ。わいも珍しく話したい気持ちや。」
そういうと、
「おいちゃん、酒や!酒もってきて-や!」
それから日が沈むまで張の話は続いた。
そして張は荒川河口へ向かい、武尊は藤田家へ戻った。
「張、これでかけ蕎麦食べれる?」
武尊はポケットに入っていたお金を張に見せた。
武尊はまだメニューを見たり、それがいくらなのか店の札で読むことに自信がない。
それはかけ蕎麦一杯分のお金。
「武尊、金、他にもっとらへんのか。」
「うん、今回の御給金が入るまでお金ないの。」
っと武尊は肩をすくめて笑う。
「あかん、わいが出したるからもっとええもん頼み。」
「張、関西人って割り勘が好きだって聞いたことあるよ。」
「だとしてもや、わいは今日、寿司も食ったし、蕎麦も食った。たまにはええやろ、文無しの後輩に恰好ええとこ見せても。」
おごるのが恰好がいいことかそうでないかは別にして武尊はここは張を立てるべき、と判断し、
「じゃあ・・・、きつね蕎麦。」
と張に言った。
「おいちゃん、稲荷定食一丁頼むわ!」
「ちょと、張、それ高いよ!」
武尊は焦って張の袖を引っ張った。
「おごっちゃる言う取るときは心配せんでええ。先輩のいう事聞いとき。」
そう言うと張は小あがり武尊を座らせ自分もその向かいに座った。
「その代り、わいも武尊の事いろいろ聞きたいねん。」
「私も先輩がどんな仕事やってるのか教えてくださいね。」
「ええで。でもわいが先に質問や。」
そのとき店の者が二人にお茶を持ってきた。
そして二人はズズーっとそれを飲みほした。
「お茶、おいし。」
「じゃ、まずわいからや。なんで武尊は密偵になったんや。」
「密偵、というか斎藤さんからは小間使いって言われてますけど、雇われた理由・・・・う~ん・・・・。強いて言うならば顔見知りだったからですかねぇ。」
「顔見知りってどんな顔見知りや。」
「幕末・・・・・・、新撰組の紹介でお蕎麦の屋台の手伝いをしてました。」
「なんやそれ!」
「でも、すぐやめちゃいましたけどね・・・・。」
武尊は屯所から逃げた時の事を思い出した。
逃げ出したその理由も・・・・。
「じゃ、今度は私の番、張はどうして密偵になったの?」
「わいの場合は・・・裏取引や。」
張は少し険しい顔になって
「わいは志々雄様の十本刀の張っと呼ばれとった。抜刀斎につかまって牢に入っとる間に志々雄様が死んでしもうて、わいは死刑ちゅうことになるはずだったんやけどわいの能力を明治政府に使うんやったら娑婆にだしちゃるって言われたんや。ま、牢に入ってもなんもおもろうないわ、と、思うてその取引に応じて密偵になった。ちゅう訳や。」
武尊は張が言った志々雄という名前が気になった。
「張、志々雄って雪代縁が軍艦を売ったっていう人だよね?」
「そうや、軍艦『煉獄』。志々雄様が明治政府と戦う切り札にしとったんや。」
「そんな大がかりな事をしたのにどうして日本史に名前が残ってないの?」
武尊がそう言うと、ぎらりと張が武尊を睨んだ。
武尊はしまった、未来の人間として言葉を使ってしまったか、と焦った。
「武尊も志々雄様を知らへんのか。・・・・明治政府は志々雄様の存在自体を本当に消しおった。」
張は怒りで拳を震わす。
「・・・・張、教えてくれる?その志々雄っていう人のこと。」
「・・・ええやろ。わいも珍しく話したい気持ちや。」
そういうと、
「おいちゃん、酒や!酒もってきて-や!」
それから日が沈むまで張の話は続いた。
そして張は荒川河口へ向かい、武尊は藤田家へ戻った。