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14.一つの赤い花 (斎藤・夢主)
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ガバッ!
武尊は飛び起きた。
気が付けば冷や汗が背中に冷たい。
耳に残る
『武尊、お前に俺が見えるのか?』
という声。
誰だ・・・・。
聞いたことがない声。
だが向こうは私を知っている?
「大丈夫か。」
武尊を安心させる低い声。
「斎藤さん・・・。」
「ええ、ちょっと具合が悪くなってしまって・・・すみません、昨日からまったく役に立ってないですね。」
「あせるな。まずは慣れろ。」
「はい、ありがとうございます。」
そうは言うが武尊の心はまだ冷たい。
私も・・・・・、死体から作られたんです・・・・・。
その事実を否応がなく突きつけられる。
自分は動いていても、感情を持ってても、所詮、屍。
そう思うと、ぞっとする。
斎藤さんにそれを言ったらどうするだろうか。
言えない・・・・。
武尊がカタカタ震えるのを見て
「本当はどうなんだ。」
と、斎藤は近づき、膝をついて手袋を外して武尊の額の熱を見る。
「熱はないな。熱いどころか逆に冷たいぐらいだ。」
斎藤が熱を測った手を引っ込めようとすると、武尊はその手にすがるように自分の両手で斎藤の手を包んだ。
「斎藤さんすみません、少しの間だけ、手を貸してください・・・。」
斎藤はあまりにも冷たい武尊の手に驚きつつそのまま手を武尊の好きにさせる。
武尊は熱いと思えるぐらいの斎藤の手から温もりを欲していた。
温かい血が通う人のぬくもりを。
斎藤の手の熱を吸収して武尊の手もようやく同じぐらいの暖かさになってようやく手を離した武尊。
「すみませんでした。お仕事中に。」
「かまわん、これくらい。」
武尊はようやく落ち着いてソファーから起きる。
「斎藤さん、ちょっと確認したいんですけど。」
と、武尊が話を切り出す。
「なんだ。」
「雪代縁の武器密輸組織って今までに日本に結構大口な取引をしてますね。」
「嗚呼。」
さっきまで死にそうな顔をしていたのにもう仕事の話か。
おかしなやつだ、と斎藤は思いつつも相槌を打つ。
「書類によるとおととしの神風連の乱に旧肥後藩、去年の西南戦争の時に旧薩摩藩、それから志々雄?個人ですか?この人。すごいですね、個人で武器輸入するなんて・・・・。えっと今まで三度取引があったように思えます。」
「そうだ。」
「で、今回もその組織がどこかに武器を密輸しようとしているんですよね。」
「嗚呼。その顧客名簿の入手が第一目的だ。」
「やった-!馬車で説明省かれたところ、ようやく流れが分かった!」
「おい・・・。」
「斎藤さんの言うとおり死ぬ気で書類見てたら少しづつわかってきました!」
「やれやれ。まったくなんだったんだ、さっきのは。」
斎藤がそう言うと武尊は少し遠い目をして
「先ほどはすみませんでした。・・・・心の闇の部分を突かれると自己を否定してしまうんです。心が弱いので・・・。」
「お前が?」
「ええ、これは記憶が戻ってから知らなくていい事を知ってしまったからなんですけどね・・・・。斎藤さんを見習ってもっと強い心をもたなくっちゃね。」
と、武尊は乾いた笑いをした。
「で、張は?」
そう言えばいないことに気が付いた武尊は斎藤に聞いた。
「ああ、あいつは荒川へ行った。」
「え?もうすぐ夕方ですよ。今から仕事ですか。」
「密偵に時間は関係ないだろう。」
「まあ・・・確かに。でも、張を時々休ませて下さいね。あ、だから私が仕事早く覚えて張が休みの時に働けばいいんだ。」
と、武尊は自己納得をした。
(仕事を覚えたら張と仕事を折半だと?ありえんな。二馬力に決まっているだろう。)
斎藤は心でそう思いながら煙を吐いた。
武尊を自分の部下とした本当の理由は、ただ武尊を自分の懐に置いておきたかっただけだ。
行先が抜刀斎の所というなればなおさらだった。
加えて、今あの道場には道場主も抜刀斎もいない。
まあ、抜刀斎が戻ってこなければこのまま俺の元に置いておけるが、さて・・・どうする、抜刀斎・・・。
「ということで、警視庁に戻っていろ、武尊。」
「え?斎藤さんは?」
「俺はこっちで雪代縁の捜索現場へ向かう。動くなら夜だからな。武尊は適当に切り上げて家に帰れ。」
「私も何か手伝います。」
「いや、こっちはすでに班を分けて役割分担も終わっている。新参者が来ても困るだけだ。」
「わかりました。では先に戻りますね。斎藤さんも気をつけて。」
と言って武尊は警視庁へ向かった。
武尊は飛び起きた。
気が付けば冷や汗が背中に冷たい。
耳に残る
『武尊、お前に俺が見えるのか?』
という声。
誰だ・・・・。
聞いたことがない声。
だが向こうは私を知っている?
「大丈夫か。」
武尊を安心させる低い声。
「斎藤さん・・・。」
「ええ、ちょっと具合が悪くなってしまって・・・すみません、昨日からまったく役に立ってないですね。」
「あせるな。まずは慣れろ。」
「はい、ありがとうございます。」
そうは言うが武尊の心はまだ冷たい。
私も・・・・・、死体から作られたんです・・・・・。
その事実を否応がなく突きつけられる。
自分は動いていても、感情を持ってても、所詮、屍。
そう思うと、ぞっとする。
斎藤さんにそれを言ったらどうするだろうか。
言えない・・・・。
武尊がカタカタ震えるのを見て
「本当はどうなんだ。」
と、斎藤は近づき、膝をついて手袋を外して武尊の額の熱を見る。
「熱はないな。熱いどころか逆に冷たいぐらいだ。」
斎藤が熱を測った手を引っ込めようとすると、武尊はその手にすがるように自分の両手で斎藤の手を包んだ。
「斎藤さんすみません、少しの間だけ、手を貸してください・・・。」
斎藤はあまりにも冷たい武尊の手に驚きつつそのまま手を武尊の好きにさせる。
武尊は熱いと思えるぐらいの斎藤の手から温もりを欲していた。
温かい血が通う人のぬくもりを。
斎藤の手の熱を吸収して武尊の手もようやく同じぐらいの暖かさになってようやく手を離した武尊。
「すみませんでした。お仕事中に。」
「かまわん、これくらい。」
武尊はようやく落ち着いてソファーから起きる。
「斎藤さん、ちょっと確認したいんですけど。」
と、武尊が話を切り出す。
「なんだ。」
「雪代縁の武器密輸組織って今までに日本に結構大口な取引をしてますね。」
「嗚呼。」
さっきまで死にそうな顔をしていたのにもう仕事の話か。
おかしなやつだ、と斎藤は思いつつも相槌を打つ。
「書類によるとおととしの神風連の乱に旧肥後藩、去年の西南戦争の時に旧薩摩藩、それから志々雄?個人ですか?この人。すごいですね、個人で武器輸入するなんて・・・・。えっと今まで三度取引があったように思えます。」
「そうだ。」
「で、今回もその組織がどこかに武器を密輸しようとしているんですよね。」
「嗚呼。その顧客名簿の入手が第一目的だ。」
「やった-!馬車で説明省かれたところ、ようやく流れが分かった!」
「おい・・・。」
「斎藤さんの言うとおり死ぬ気で書類見てたら少しづつわかってきました!」
「やれやれ。まったくなんだったんだ、さっきのは。」
斎藤がそう言うと武尊は少し遠い目をして
「先ほどはすみませんでした。・・・・心の闇の部分を突かれると自己を否定してしまうんです。心が弱いので・・・。」
「お前が?」
「ええ、これは記憶が戻ってから知らなくていい事を知ってしまったからなんですけどね・・・・。斎藤さんを見習ってもっと強い心をもたなくっちゃね。」
と、武尊は乾いた笑いをした。
「で、張は?」
そう言えばいないことに気が付いた武尊は斎藤に聞いた。
「ああ、あいつは荒川へ行った。」
「え?もうすぐ夕方ですよ。今から仕事ですか。」
「密偵に時間は関係ないだろう。」
「まあ・・・確かに。でも、張を時々休ませて下さいね。あ、だから私が仕事早く覚えて張が休みの時に働けばいいんだ。」
と、武尊は自己納得をした。
(仕事を覚えたら張と仕事を折半だと?ありえんな。二馬力に決まっているだろう。)
斎藤は心でそう思いながら煙を吐いた。
武尊を自分の部下とした本当の理由は、ただ武尊を自分の懐に置いておきたかっただけだ。
行先が抜刀斎の所というなればなおさらだった。
加えて、今あの道場には道場主も抜刀斎もいない。
まあ、抜刀斎が戻ってこなければこのまま俺の元に置いておけるが、さて・・・どうする、抜刀斎・・・。
「ということで、警視庁に戻っていろ、武尊。」
「え?斎藤さんは?」
「俺はこっちで雪代縁の捜索現場へ向かう。動くなら夜だからな。武尊は適当に切り上げて家に帰れ。」
「私も何か手伝います。」
「いや、こっちはすでに班を分けて役割分担も終わっている。新参者が来ても困るだけだ。」
「わかりました。では先に戻りますね。斎藤さんも気をつけて。」
と言って武尊は警視庁へ向かった。