こうやって何か作業していた方が気が楽である。






パチパチと音を立てる薪を見ていたら比古のことが思い出された。






比古さん・・・・。






ゆれる炎を見ながらその向こうに比古の姿が浮かんでくる。






・・・・・・私、比古さんの元に帰る資格ないかも・・・・。






はぁ～。




と、ため息が出る。







胸の底に湧き出る罪悪感｡







今日は本当に劇的な再会があった。





この広い日本で、なんという奇遇。





幕末の初恋の人。





ただ再会しただけというのならこんなに罪悪感を感じることもないのであろうが、自分は斎藤を求めてしまった。







そしてあの眼を見てしまうと、どうしても抗えない・・・・。







かといって、どうして嫌いになれようか。






相手は妻も家庭もある男だというのに・・・・。






しかも今は成り行きとはいえ、その男の家にお世話になる身。






比古さんお弟子さんは、なんか事件に巻き込まれてるっていうし、四乃森さんが迎えに来るまではここでの生活か・・・。





でも、まあ・・・・。





本当、時尾さんは素敵な奥さんだ、と、思う。





自分が男だったら、絶対妻になって欲しいタイプだと思う。





『できた女』





不思議な事にそんな女に憧れる一方で自分にはそんな物わかりのいい女にはなれないと思った。





「ふっ、私には似合わないや、あは｡」



思わず自嘲する。





斎藤さんの手伝いということで、なんちゃって警官にもなってしまったり、警視庁ではあれだけ探した川路という男が目の前に現れたりして・・・。





「事実は小説より奇なり、か・・・・。人生っていろいろあるんだねぇ・・・。」






と呟き、薪の炎を見ながらいろいろ思案する武尊であった。