「お食事、先に用意いたしますね。」



と、夕飯を頂いて、その後お風呂を沸かしますからごゆっくりしててください、と言われたが



武尊は



「時尾さん、私にも手伝わせて下さい。」


とお願いした。



ここで斎藤さんと二人きりになるのが落ち着かない気がして・・・。



斎藤はそんな武尊を別にどうもするわけでもなく縁側で煙草をふかしていた。



「五郎さんのお客様にそんなことはさせられません。」



「でもしばらくお世話になることだし、その・・・、お仕事の邪魔でなかったら教えて欲しいんです。この時代の生活を。」



「はい？」



「あ、では、お風呂の準備の仕方とか・・・。お風呂ってうちになかったので今後の為にも・・・。」



時尾はそれならと、



「そうですね、まだお風呂が家にあるところは少ないですから・・・。」



「私がいない時ときでも名さんが入りたいときに入れればいいですものね。ではすみません、こちらに一緒に来てください。」



と、蝋燭の灯りを持った時尾と一旦履物を履いて裏へ出る。








風呂は母屋とは別に少し離れた小屋にあった。



なるほど、ここから薪で火をくべるのか。



「今日はお水は汲んでありますので、火をつけるだけです｡」



という事で武尊は風呂焚きを教えてもらった。



「湯加減は熱めでお願いします。」



「分かりました、時尾さん。」



時尾が戻って行くと、武尊は



「ふぅ～。どうも緊張していけないや。」



やっと一人になれてふにゃ～と体の力を抜いた武尊であった。