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10.藤田家へいらっしゃい (斎藤・夢主・時尾)
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「ん・・・。」
「起きたか。」
「あれ・・?斎藤さん?」
武尊がズキズキする首を押さえながら起き上がるとそこは元の資料室。
武尊はソファーに寝かされていた。
おかしいな、さっきは警視総監の部屋にいたはず・・と思ったが、ちょっとかっとなってしまっていたら首に痛みがあって・・・。
「痛むか?」
ああ・・・斎藤さんがやったんだ。
で、てっとりばやく私をおとなしくさせる方法をとったわけね・・。
仕方がないか。
と思いつつ、
「少し・・・・。すみません、お偉いさんの前で失礼なことしてしまって・・。」
と、斎藤に謝る。
「まあ、偉いと言えばこの警察の一番偉い役職だがな・・・。お前がまさかそんな面を持っているとは思わなかったぞ。面白いと思ったが後後面倒だと困るんでな。」
「面白いって・・・。」
「で、何があった。川路と。」
やはり聞いてくると思ったが、話すしかないか。
「兄が・・・、本当の兄ではないんですが、幕末一緒に暮らしていたんです。前にお話ししたと思うんですが私に薬を飲ましていた人です。その兄が元薩摩藩士で、まあ、手っ取り早く言えば同じ薩摩藩士の計略にかかって父が死罪、母が後追い、兄と私・・・でなく兄の妹と従者一人はその後大変な暮らしをしたそうです。で、その時の主謀者が川路利良だと、兄から聞かされていました。戊辰戦争の時も川路を追って母成峠まで兄と一緒に行ったんですけど・・・・その後は・・・十六夜丸が撃たれた後はどうなったかわかりません。」
なるほどな、と、斎藤は煙草咥え腕を組みしばし考えていたが、
「切腹ではなく死罪か・・・武士としてはこの上なく不名誉なことだな。・・・・お前の兄という男と川路の関係は概略わかったとして、だ。腑に落ちないことが一つある。」
と言った。
「妹は何処へ行ったんだ。武尊は妹ではないんだろう?」
「それは聞いてません。兄は記憶のなかった私に自分の妹と言い聞かせて妹として扱っていたみたいなんだけど。・・・私は武士の子ではないし、私の養父も、何年も前に亡くなりましたから。」
「ふむ・・・。」
斎藤は煙草をくゆらせながらまた、思案にふけったが、
「解せんな・・・。そもそも妹という人間が本当に存在したのか。お前の兄は間違いなくお前を十六夜丸に変える手段を知っていた人間だ。その兄とやらがお前と十六夜丸の関係を知っているとみるべきなのだが・・・・。」
「私もそう思います。でも、まあ、今は兄以外にその手段を知っている者はいないし、私も十六夜丸になることはないし、とりあえず斎藤さんの任務のお手伝い頑張ります!」
そう言って武尊がまた、資料の続きを見ようと机に向かったところ、警官の服がたたんで置いてあった。
「あれ?この服。」
武尊が斎藤を見ると
「制服だ。明日からこれを着て出勤しろ。」
「え~~~!」
「何だ。文句でもあるのか。」
「小間使いじゃかなったんですか?」
「俺の使いがそんな着物で務まると思うのか。」
「あう・・・・。」
「靴はそこに置いてある。」
靴・・、それはちょっと嬉しいかな。草履は慣れないから。
その後武尊が書類を見ようとすると斎藤は
「帰るぞ、武尊。」
と言った。
「え?」
「今日はまだ資料が出そろわん。明日ぐらいには張が帰ってくる。それまで少し時間がある。忙しいともちろん泊りだ。だから今日のうちに武尊に帰り道を教えておかないとな。」
「そうでした。泊めていただくのでした。」
武尊は斎藤の家に行きたいのが半分、行きたくないのが半分。
斎藤の後をついて警視庁を出た武尊の足は少し重かった。
「起きたか。」
「あれ・・?斎藤さん?」
武尊がズキズキする首を押さえながら起き上がるとそこは元の資料室。
武尊はソファーに寝かされていた。
おかしいな、さっきは警視総監の部屋にいたはず・・と思ったが、ちょっとかっとなってしまっていたら首に痛みがあって・・・。
「痛むか?」
ああ・・・斎藤さんがやったんだ。
で、てっとりばやく私をおとなしくさせる方法をとったわけね・・。
仕方がないか。
と思いつつ、
「少し・・・・。すみません、お偉いさんの前で失礼なことしてしまって・・。」
と、斎藤に謝る。
「まあ、偉いと言えばこの警察の一番偉い役職だがな・・・。お前がまさかそんな面を持っているとは思わなかったぞ。面白いと思ったが後後面倒だと困るんでな。」
「面白いって・・・。」
「で、何があった。川路と。」
やはり聞いてくると思ったが、話すしかないか。
「兄が・・・、本当の兄ではないんですが、幕末一緒に暮らしていたんです。前にお話ししたと思うんですが私に薬を飲ましていた人です。その兄が元薩摩藩士で、まあ、手っ取り早く言えば同じ薩摩藩士の計略にかかって父が死罪、母が後追い、兄と私・・・でなく兄の妹と従者一人はその後大変な暮らしをしたそうです。で、その時の主謀者が川路利良だと、兄から聞かされていました。戊辰戦争の時も川路を追って母成峠まで兄と一緒に行ったんですけど・・・・その後は・・・十六夜丸が撃たれた後はどうなったかわかりません。」
なるほどな、と、斎藤は煙草咥え腕を組みしばし考えていたが、
「切腹ではなく死罪か・・・武士としてはこの上なく不名誉なことだな。・・・・お前の兄という男と川路の関係は概略わかったとして、だ。腑に落ちないことが一つある。」
と言った。
「妹は何処へ行ったんだ。武尊は妹ではないんだろう?」
「それは聞いてません。兄は記憶のなかった私に自分の妹と言い聞かせて妹として扱っていたみたいなんだけど。・・・私は武士の子ではないし、私の養父も、何年も前に亡くなりましたから。」
「ふむ・・・。」
斎藤は煙草をくゆらせながらまた、思案にふけったが、
「解せんな・・・。そもそも妹という人間が本当に存在したのか。お前の兄は間違いなくお前を十六夜丸に変える手段を知っていた人間だ。その兄とやらがお前と十六夜丸の関係を知っているとみるべきなのだが・・・・。」
「私もそう思います。でも、まあ、今は兄以外にその手段を知っている者はいないし、私も十六夜丸になることはないし、とりあえず斎藤さんの任務のお手伝い頑張ります!」
そう言って武尊がまた、資料の続きを見ようと机に向かったところ、警官の服がたたんで置いてあった。
「あれ?この服。」
武尊が斎藤を見ると
「制服だ。明日からこれを着て出勤しろ。」
「え~~~!」
「何だ。文句でもあるのか。」
「小間使いじゃかなったんですか?」
「俺の使いがそんな着物で務まると思うのか。」
「あう・・・・。」
「靴はそこに置いてある。」
靴・・、それはちょっと嬉しいかな。草履は慣れないから。
その後武尊が書類を見ようとすると斎藤は
「帰るぞ、武尊。」
と言った。
「え?」
「今日はまだ資料が出そろわん。明日ぐらいには張が帰ってくる。それまで少し時間がある。忙しいともちろん泊りだ。だから今日のうちに武尊に帰り道を教えておかないとな。」
「そうでした。泊めていただくのでした。」
武尊は斎藤の家に行きたいのが半分、行きたくないのが半分。
斎藤の後をついて警視庁を出た武尊の足は少し重かった。