※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
5.再会 (蒼紫・操・夢主・斎藤)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ちっ、くだらん使いだった。」
もはやもぬけの殻の雪代縁のアジトの再確認に川路の命によって駆り出されたことを愚痴る男が一人。
一刻もはやく逃亡先を押さえ組織壊滅を図らなければという時なのに。
結局めぼしいものはなく警視庁へ引き上げるところだった。
煙草に火をつけ苛立ちを消す様に、ふ~っと煙を吐きながら歩いていると、通り過ぎた洋食屋のカラカラと音を立てて閉まるその入り口から
「じゃ、先に外に出て待ってま-す。」
と言う声がした。
(この声どこかで。)
何気なしに振り返ったその目に入ったのは、死んだと思っていた、まるで変わらないその姿。
(まさか・・・・あれから十年経っているんだぞ。)
武尊は店の扉を閉め、進行方向に向いた先に振り返る一人に警官がいることに気が付いた。
その男は自分を見ている。
(ドクン)
武尊の心臓が大きく鳴った。
姿、髪型は変われど、眼が・・・・・・。
昔と変わらぬ一瞬で心の底まで射抜くようなその眼・・・・。
武尊は思わずその場に立ちすくんだ。
(まさか・・・・。でも・・・・・。)
船の上で願った。
もし、彼が生きているなら一目でも姿が見たいと・・・・。
そして確認するように声を出した。
「・・・・・・斎・・藤・・さん?」
武尊は夢でも見ているのではないかと思いそのまま動けずにいた。
斎藤は名前を呼ばれて目の前の女が自分の考えている女と間違いがないことを確信した。
そしてそれが幻でない事を確かめる為にゆっくり歩みよる。
武尊の前まで来ると斎藤は
「名前を思い出したか?」
と聞いた。
武尊は、初めての夜、自分が名前がわからず泣いたことを覚えていてくれた事を驚きつつまた、嬉しく思った。
「武尊・・・・、土岐武尊です。」
「久しいな。」
斎藤は優しい目をして武尊の頭をなでた。
そのとき
「あ--------!不良警官!!」
の声に斎藤はいつもの不機嫌な顔に戻って声のした方を振り向く。
「イタチ娘か・・・・。」
それから斎藤は操の後ろから現れたもう一人の男に視線を移した。
「斎藤一・・・、生きていたのか・・何故貴様がここにいる。」
「これは奇遇だな。お前らこそ京都から何をしに来た。」
二人の会話を聞いて、武尊は
「え?えええ~~?(私のいなかったこの十年の間にこの二人、顔見知りだったの~~?世間は狭いっていうけど・・・・・。)」
武尊は目を皿の様にして斎藤と蒼紫を交互に見る。
(しかも斎藤さんの事を『生きていたのか』、って・・・何があったんだろう、ただ事じゃないよね・・・・。)
「神谷薫から頼まれた物を届けに来た。それと土岐は比古清十郎から葵屋が預かって今から抜刀斎の所へ送るところだ。」
と蒼紫が言った。
「武尊を抜刀斎の所へ?」
斎藤はその理由が不可解だと思いながら武尊と蒼紫を見ると一呼吸置いて言った。
「四乃森、抜刀斎は神谷道場にはいないそ。神谷薫もだ。」
「どういう意味だ。」
「俺の口から説明するより行ってみたほうがよく分かる。それから武尊は俺がしばらく預かろう。その方がいい。」
「え?」
武尊が驚いて思わず声を出す。
「斎藤、どういうことだ。」
「行けば分かることだ。俺は警視庁にいる。神谷道場へ行ってそれでも武尊を引き取るというなら警視庁へいつでも来い。」
「蒼紫様、不良警官のことなんか聞く必要ないわ。」
「いや、嫌がらせで土岐を行かせないわけではなさそうだ。分かった。ここは一先ずお前に土岐を預ける。操、行くぞ。」
と蒼紫が言うと、
「はい、分かりました蒼紫様!」
と操は返事をし、二人ともあっという間にいなくなった。
取り残された武尊は
「ええと、、私にどうする?とか意見は聞かないんですか?」
と、斎藤に聞いてみる。
「聞いたところで結果は変わらん。行くぞ。」
「え!もう?」
「俺は仕事の途中だ。」
斎藤はさっさと歩き出した。
そして日も暮れた頃・・・。
神谷道場へ向かう途中の橋の上で操は弥彦を見つけた。
そして二人は弥彦から薫が死に、剣心はそれ以来剣を封じ死人同然になっている・・・ということを知る事になった。