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35.Kaffee(カフェ)につられて (外国人紳士・夢主・張)
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船は築地から出る。
夜会の事後処理を海軍に都合よく事を持って行かれた事もあり、いい感情を持っていない海軍施設からは足が自然に遠のく。
そして気が付けば、外国人居留地の方へと足が向っていた。
「へ~、よく見てみれば教会堂もあるんだ。」
と、久しぶりに見る教会堂を眺めていると、
「Guten Tag、アナタ モシカシテ コノアイダジュウデ ウッテタヒト。」
と、変なアクセントの日本語が・・・・。
(え、もしかして私?)
変な人だったら嫌だなぁ、と思いつつ武尊が振り返るとそこには先日夜会で音楽隊の指揮棒を振っていた外国人が立っていた。
先程の挨拶からドイツ人だったんだと思い、
「私はドイツ語わかりません、さようなら。」
と、即座に回れ右して歩き出す武尊。
「ダイジョウブ、ワタシニホンゴハナシマ-ス。」
と、ついてくる。
(いや~ん、おじさん・・・勘弁して~。)
と内心思いつつ歩いていると後ろから
「ワタシアナタニキョウミガアリマス、ワタシノウチスグソコ、カフェイカガ。」
と声をかけてくる。
(カフェ?)
ぴたっと武尊の足が止まった。
(・・・・今、カフェって言ったよね。)
ドイツ語は分からないけどコーヒー好きを自称する武尊はドイツ語ではコーヒーをカフェと発音することを知っていた。
コーヒー中毒者の武尊は葛藤していた。
コーヒー飲みたい・・・・、コーヒー飲みたい・・・・、コーヒー飲みたい・・・・・う~~~。
(こっちに来てコーヒーが飲めるなんて最初で最後の機会かもしれない。せめて死ぬ前にせめて一杯・・・。)
と思うと、誘いを断る気持ちがしゅるしゅるとしぼんでいく。
それに、このおじさんぐらいだったら、何かあったら斎藤さん仕込みのパンチで十分いけるはず。
と、身の安全も確保できるのを予測した。
武尊は、
「・・・・ちょっとだけならお邪魔します。カフェ飲ませて下さい。」
と、くるりとその外人男性に向かって言った。
「オゥ、アリガト、ドーモネ、アンナイシマ-ス。」
武尊はやっぱりその怪しい日本語に断った方がいいかな、と、ちょっと後悔したけど、コーヒーの魅力にはかなわなく、男の後をついて行く。
するとすぐに外国人居住者用の住居の一つに入って行った。
小さいといえども長屋に比べると遥かに大きい洋館。
武尊を驚かせたのはピアノがあったことだ。
(うわ-。)
と思いながら男に言われるままに居間のソファーに腰かける。
どうやってコーヒーを飲ませてくれるかと思ったら
「あ、サイフォン!」
男はサイフォンをカウンターに置いて引いた豆をセットした。
興味深々に見ている武尊に男はウインクしてランプに火をつけコーヒーを抽出した。
「いい香り・・・・。」
いれたてのコーヒーのアロマがサイフォンを中心に広がっていく。
すっごい幸せ・・・・。まさかこんなとこでこんなコーヒーが飲めるなんて!
今日はもしかしてついてる日?
コーヒーの抽出を嬉しそうに見ている武尊をその男は穏やかに微笑みながら見ていた。
「ドウゾ。」
と言われ、入れたてのコーヒーが武尊に出される。
そのコーヒーにすっかり警戒心を忘れた武尊が男に聞いた。
「何故私に声をかけたのですか。」
と。
すると男は
「アノバン アナタハ ワルイグンジンヲウッタ。 マワリノヒトニキケバ アナタハケイサツダト。ワタシハニホンニ アナタミタイナ ウツクシイジョセイガ ケイサツニイテオドロイタ。 ドンナジョセイナノカ キョウミガワイタ、ダカラサソイマシタ。」
美しいなんて言われたことない武尊はそこも突っ込みたがそれよりも
「え、あなたは私が女性だとわかったんですか?」
と聞いた。
日本ではたいていの人が私を何故か男と間違える中で外国人のあなたはどうして分かったのか、と武尊は驚いていた。
「ワカルモナニモ、ミルカラニアナタハジョセイデハナイデスカ。」
「・・・・・。」
思いもよらぬ言葉に武尊は言葉を失う。
ふぅん・・・外人にはそんな風にみえるものかな・・人の見かたがそもそも違うのかも。
そう思えば納得出来ないこともない。
「ワタシニモムスメガイマシタ。アナタニドコカニタ。」
と、男は言った。
「いました?」
過去形なのに気が付いて言葉を繰り返す。
「ハイ、イマハカミノモトニ。」
そう言って一瞬、男は遠くを見た。
「そうですか・・。」
武尊はその意味が分かってそれ以上深くは聞けなかった。
それから少し歓談をしてコーヒーを飲み終わる。
男はそれを見届けると
「ヨビトメテ スミマセンデシタ。ドウモアリガトウ。」
というと武尊にお礼と、小さな包を武尊に握らせた。
男の家を出てからしばらくして武尊はなんだろうとさっきの包を覗くと割チョコが入っていて、びっくり驚いた。
まさかこんな所でコーヒーを頂いてその上もう一生出会う事もないと思っていたチョコレートがもらえるなんて!
変わったおじさんだったけど悪い人じゃなかったな・・・(食べ物につられたからか?)と思う武尊。
紳士ってあんな感じなのかな。
日本にはいないタイプだよね、と思う武尊。
人生何が起こるか分からないってこういうことなのかも、と不思議な出会いを後に武尊は海辺へ向かった。
コーヒーを出した男は武尊の後ろ姿を見送りながら呟いた。
「ワタシノムスメモ ジュウデヒトヲ ウチマシタ・・。ソノアト ジブンデジブンヲ コロシマシタ。 カミノモトニハイケマセン。 ドウカ アナタハソノヨウナコトヲ ナサラナイデ。 カミノゴカゴガ アリマスヨウニ・・・。」
夜会の事後処理を海軍に都合よく事を持って行かれた事もあり、いい感情を持っていない海軍施設からは足が自然に遠のく。
そして気が付けば、外国人居留地の方へと足が向っていた。
「へ~、よく見てみれば教会堂もあるんだ。」
と、久しぶりに見る教会堂を眺めていると、
「Guten Tag、アナタ モシカシテ コノアイダジュウデ ウッテタヒト。」
と、変なアクセントの日本語が・・・・。
(え、もしかして私?)
変な人だったら嫌だなぁ、と思いつつ武尊が振り返るとそこには先日夜会で音楽隊の指揮棒を振っていた外国人が立っていた。
先程の挨拶からドイツ人だったんだと思い、
「私はドイツ語わかりません、さようなら。」
と、即座に回れ右して歩き出す武尊。
「ダイジョウブ、ワタシニホンゴハナシマ-ス。」
と、ついてくる。
(いや~ん、おじさん・・・勘弁して~。)
と内心思いつつ歩いていると後ろから
「ワタシアナタニキョウミガアリマス、ワタシノウチスグソコ、カフェイカガ。」
と声をかけてくる。
(カフェ?)
ぴたっと武尊の足が止まった。
(・・・・今、カフェって言ったよね。)
ドイツ語は分からないけどコーヒー好きを自称する武尊はドイツ語ではコーヒーをカフェと発音することを知っていた。
コーヒー中毒者の武尊は葛藤していた。
コーヒー飲みたい・・・・、コーヒー飲みたい・・・・、コーヒー飲みたい・・・・・う~~~。
(こっちに来てコーヒーが飲めるなんて最初で最後の機会かもしれない。せめて死ぬ前にせめて一杯・・・。)
と思うと、誘いを断る気持ちがしゅるしゅるとしぼんでいく。
それに、このおじさんぐらいだったら、何かあったら斎藤さん仕込みのパンチで十分いけるはず。
と、身の安全も確保できるのを予測した。
武尊は、
「・・・・ちょっとだけならお邪魔します。カフェ飲ませて下さい。」
と、くるりとその外人男性に向かって言った。
「オゥ、アリガト、ドーモネ、アンナイシマ-ス。」
武尊はやっぱりその怪しい日本語に断った方がいいかな、と、ちょっと後悔したけど、コーヒーの魅力にはかなわなく、男の後をついて行く。
するとすぐに外国人居住者用の住居の一つに入って行った。
小さいといえども長屋に比べると遥かに大きい洋館。
武尊を驚かせたのはピアノがあったことだ。
(うわ-。)
と思いながら男に言われるままに居間のソファーに腰かける。
どうやってコーヒーを飲ませてくれるかと思ったら
「あ、サイフォン!」
男はサイフォンをカウンターに置いて引いた豆をセットした。
興味深々に見ている武尊に男はウインクしてランプに火をつけコーヒーを抽出した。
「いい香り・・・・。」
いれたてのコーヒーのアロマがサイフォンを中心に広がっていく。
すっごい幸せ・・・・。まさかこんなとこでこんなコーヒーが飲めるなんて!
今日はもしかしてついてる日?
コーヒーの抽出を嬉しそうに見ている武尊をその男は穏やかに微笑みながら見ていた。
「ドウゾ。」
と言われ、入れたてのコーヒーが武尊に出される。
そのコーヒーにすっかり警戒心を忘れた武尊が男に聞いた。
「何故私に声をかけたのですか。」
と。
すると男は
「アノバン アナタハ ワルイグンジンヲウッタ。 マワリノヒトニキケバ アナタハケイサツダト。ワタシハニホンニ アナタミタイナ ウツクシイジョセイガ ケイサツニイテオドロイタ。 ドンナジョセイナノカ キョウミガワイタ、ダカラサソイマシタ。」
美しいなんて言われたことない武尊はそこも突っ込みたがそれよりも
「え、あなたは私が女性だとわかったんですか?」
と聞いた。
日本ではたいていの人が私を何故か男と間違える中で外国人のあなたはどうして分かったのか、と武尊は驚いていた。
「ワカルモナニモ、ミルカラニアナタハジョセイデハナイデスカ。」
「・・・・・。」
思いもよらぬ言葉に武尊は言葉を失う。
ふぅん・・・外人にはそんな風にみえるものかな・・人の見かたがそもそも違うのかも。
そう思えば納得出来ないこともない。
「ワタシニモムスメガイマシタ。アナタニドコカニタ。」
と、男は言った。
「いました?」
過去形なのに気が付いて言葉を繰り返す。
「ハイ、イマハカミノモトニ。」
そう言って一瞬、男は遠くを見た。
「そうですか・・。」
武尊はその意味が分かってそれ以上深くは聞けなかった。
それから少し歓談をしてコーヒーを飲み終わる。
男はそれを見届けると
「ヨビトメテ スミマセンデシタ。ドウモアリガトウ。」
というと武尊にお礼と、小さな包を武尊に握らせた。
男の家を出てからしばらくして武尊はなんだろうとさっきの包を覗くと割チョコが入っていて、びっくり驚いた。
まさかこんな所でコーヒーを頂いてその上もう一生出会う事もないと思っていたチョコレートがもらえるなんて!
変わったおじさんだったけど悪い人じゃなかったな・・・(食べ物につられたからか?)と思う武尊。
紳士ってあんな感じなのかな。
日本にはいないタイプだよね、と思う武尊。
人生何が起こるか分からないってこういうことなのかも、と不思議な出会いを後に武尊は海辺へ向かった。
コーヒーを出した男は武尊の後ろ姿を見送りながら呟いた。
「ワタシノムスメモ ジュウデヒトヲ ウチマシタ・・。ソノアト ジブンデジブンヲ コロシマシタ。 カミノモトニハイケマセン。 ドウカ アナタハソノヨウナコトヲ ナサラナイデ。 カミノゴカゴガ アリマスヨウニ・・・。」