斎藤は武尊を抱きしめたまま体を起こし、武尊の髪をいつものようにくしゃっ、とかきあげると



「起きたぞ・・・。」



と言った。





はい、確かに斎藤さんは起きました・・・。



しかし、なんとリアクションをしていいのか、武尊は分からず、



「おはようございます・・・、斎藤さん。」



と、咄嗟に答えるのが精一杯だった。







しかし、まあ、改めて見ても昨日は散々だったことが一目両全の部屋の中。



そして徹夜をしたと思われる上司・・・・。



「お湯と手ぬぐい持ってきましょうか。」



と武尊が言うと、



「いい、顔を洗ってくる。」



と斎藤は立ち上がって部屋を出た。






今のうちに掃除だ！



と、武尊はホウキとちりとりで床のあちこちに落ちている煙草の灰を集め、吸殻を捨てに行き、ちらばった書類をある程度集めて占めて五分。



斎藤が顔を洗って歯を磨き小用をたして帰って来るまでに終わっていた。



斎藤が戻って来ると、そこはいつもの清掃された部屋と、



「おかえりなさい、斎藤さん！」



と、にっこり笑う武尊がいた。



「まあ、よくも短時間でここまでやったな。」



と斎藤が言うと



「気持ち切り替えてやった方がいいかと思って。お茶、ここに置いておきますね｡」



と武尊は言った。