「ねぇ、時尾さん｡」



と、買い物から帰った後、武尊が時尾に話しかける。



「なんでしょう、武尊さん。」



「こないだ食べた時尾さんのカボチャの煮物、おいしかったから作り方教えてくれませんか？」



「ええ、喜んで。今夜のおかずはそれにしましょうか。」



と、その結果、大量に出来てしまったカボチャの煮物。







夕食後もそれをつまみながらいろいろ話をする武尊と時尾。



夜も更けていく中、武尊は思った。



（斎藤さん、まだ帰って来ない・・・。待つ方って結構大変かも。遅ければ遅くなるほど無事だろうかとか、ちゃんと帰って来るだろうかって心配な気持ちが大きくなるんだ・・・。知らなかったな・・・。そしてこの人はこういう気持ちで毎日毎日待っているんだ・・・。）



と茶舞台に肘をついて時尾を無意識にじっ－と見ていると、



「どうしました、武尊さん。」



と言われた。



はっ、と我に返って



「あ、いや・・・待つのって大変なんだなぁって、思って。」



と、武尊は自分の思っていることを口にした。



すると時尾は



「大丈夫ですよ、私、五郎さんを信じてますから。」



と微笑んで言った。






「強いなぁ・・・時尾さんは。」



武尊は本当にそう思った。



一体どんな心境になったらそう言って微笑むことができるんだろう。



その微笑みはまるで菩薩様のようだと武尊はまた時尾に見入ってしまう。



すると、時尾は



「さあ、武尊さん、夜も更けますからそろそろ休みましょう。明日はお忙しいのでしょう？」



と言った。



「そうですね、今日休んだ分も頑張らなくっちゃだもんね。時尾さん今日はいろいろありがとうございました、おやすみなさい。」



と、時尾に感謝の笑みを返して武尊は部屋へ戻った。