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13.足跡・・・庵 (蒼紫・翁・操・夢主・悪い奴等)
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翌日、お増にお昼のおにぎりを作ってもらった武尊は、またぶらぶらするからと朝出て行った。
別に操がいては嫌なわけではないが、かつて自分が関係した所をゆっくり回りたかったので今朝は操がついてきてないのを確認し葵屋を出たつもりだった。
が、その武尊をじっと見ていた蒼紫がいた。
蒼紫は禅寺へ向かうと見せかけ、今日は葵屋の外で武尊を見張っていた。
昨日、翁の話にもあったが、昔の敵は今の敵だとは限らない。
今戦う理由もない。
が、抜刀斎の時もそうだったが京都に来たのには何か目的があるのかもしれない。
今回の志々雄のように裏に何者かが潜んでる可能性もなきにしも在らず。
ただそれだけは確認しなければと思っていた。
俺を待っていてくれた場所・・・ここを二度と危険にさらしてはいけない。
葵屋を守るのが俺の務めだ。
「今日は嵐山のあの庵をみてこようかな。」
あれから十年、もしかしたらそこはもう朽ち果てているかもしれない。
若しくはだれかが住んでいるかもしれない。
若しくは、兄様が帰って来ているかもしれない・・・。
・・・・・・そうしたら今度こそ鷹の事を言おう。
そう思った。
渡月橋を渡り桂川の少し上に向かう。
川べりぎりぎりの獣道を行けば山の中に向かう庵がある。
が、その道に最近人が入った形跡はない。背丈ほどの草をかき分け武尊は進む。
「やっぱり、無人なのかな-。」
登っていくと草ぶき屋根の上にも草が生えて変形している小さな庵が残っていた。
周辺も草は生え放題生え、誰も訪れる者もない事を物語る。
武尊は入り口の草を踏み固め庵の中へ入った。
戸を開け、空気を通し、床の埃を払い、灌漑深く天井を見回す。
「しっかし、よく残ってたよね-、今にも崩れ落ちそうだけど。」
少しだけ穏やかだった生活を思い出し『ふふふ』と笑う。
ボロだけど日の当たる縁側は侘び寂びの境地だ。
「気持ちいいからここで座禅を組んでみようかな。」
もう暑くない秋の日差しに風が武尊のうなじを駆けて行く。
その自然の空気、気を体内に取り入れ、丹田、そして背骨を駆けあがり頭のてっぺんに廻す・・・。
先日から座禅を組んで【気】が充実していくのが目でわかるようになってから武尊はそれが面白くなっていた。
友達もいない、パソコンもない、本はあっても読めない、趣味も娯楽も金もないこの時代で座禅は武尊にとって楽しみになっていた。
瞑想・・・・・。
日に日に気の量が増えていく。
今日は昨日より遠くへ飛ばしてみるか。
距離10m、目標ススキのてっぺん。
愛銃ワルサ-P99の代わりに人差し指に気を溜め・・・
(撃て!)
昨日よりも大きなピンポン玉ぐらいの気の塊がふわふわ~~~~~と飛び、狙ったススキの頭を揺らした。
「ん~、狙いはいいんだけど威力とスピードがねぇ-。」
もう一度狙って・・・・。
武尊が獣道を通っていたころ、離れて後ろを追う五人の男。
「間違いないねぇ。あの顔の野郎だ。」
「なんで今頃こんな所にいるかわからねぇがここで会ったが百年目、じゃなく十年目か。」
武尊を町中で偶然に見かけた男達がいた。
幕末、十六夜丸の姿を見ながらも生き残った数少ない者、十六夜丸に斬られて恨みを持っていた。
「でも返り討ちにあったらどうする?奴は抜刀斎並みに強いぞ。」
「見ただろう、刀はもっちゃあいねえ。あんな小柄な奴だったら五人いたら十分。」
「この奥は特に何もないはずだな。山の中で仏さんになっても見つかりもしないってわけか。いいじゃないか。」
そのまた後ろを蒼紫がつけていた。
「何かを企むにはいい隠れ場所じゃないか。だが武尊の跡をついて行くあいつらの顔は間違いなく悪党。京都において事件を起こそうというのなら見過ごせん。確かめさせてもらうぞ、土岐。」
蒼紫は人相の悪い五人組が武尊の部下か仲間で、これから悪だくみを企てようとしているのではと考えた。
何発目か気の固まりを発射した後、武尊は庵に通じる道の下の方からあの、悪意に満ちた【気】が上がってくることに気が付いた。
(何?何でこんなところに。)
だが武尊には恨みを受ける覚えはない。
(ということは十六夜丸の方か・・・。)
気配は数人分。
すり抜けてもと来た道を戻り町にでて助けを求めるか、そのまま巻くか・・・。
いつもの武尊だったらそれが出来たはずであった。
逃げるために立ち上がった途端、くらっときた。
(!?)
何故?
そう言えば昨日も気を飛ばしていたら急に眠くなっていつの間にか意識を失っていた。
(もしかして、気をとばすと何か影響がある・・?今気づいても・・っていうか、、ヤバイ・・・?)
ようやく縁側に立ち上がった時、丁度男達も庵に着いて目が合った。
「優男さんよ・・・、あの時は世話になったな。」
いかにも、というお決まりのセリフを吐いた男だった。
(やっぱり十六夜丸か!何でこんな時に・・タイミング悪すぎ。)
武尊は泣きたい気分になった。
(くっそ~、十六夜丸に会ったらスリッパの裏でたたいてやりたい!)
そんな事が瞬時脳裏に浮かんだが、目の前の状況にそんな余裕はなかった。
それでも逃げなきゃっと思うが、動きが鈍い。
庵の裏へ・・・。
蒼紫が獣道の上へ着こうとするとき
武尊の叫び声が聞こえた。
「汚い手で私に触れるな!」
「ん?」
蒼紫は胸騒ぎを覚えて走り出した。
目の前には小さな庵。
だが人の姿は見えず。
庵の裏から声がする。
「何ビビッてるんだよ。こっちへ来いよ。刀がないと何にも出来ないのか?たっぷりお礼をしてやろうっていうのによ。」
刀やドスを持った男達が武尊ににじり寄る。
だが、飛び掛かれない。
なぜなら武尊が立っているのは崖で下は桂川。
下手に踏み込めば落ちてしまう。
だから男達は武尊を取り囲みじわじわと近寄る。
もう、捕まる・・。
と思った時、武尊は後ろへ飛んだ。この高さなんて北海道のあの崖の高さに比べたら全然なんてことない。泳いで逃げよう、と思いながら。
「こ、こいつ!」
「飛びやがった。」
男達が崖下を覗き込む。
その背後から
「おい・・・お前たち何をしている。」
気配もなく近づいた蒼紫に
「てめぇ、何者だ!」
「面倒くせぇ、この伊達男もやっちまえ!」
と言い襲い掛かる。
が、次の瞬間全員が蒼紫の拳法によって崖下へ落とされ川の中へ落ちて行った。
「土岐!」
上から川面を見渡すが土岐の姿が見えない。
(川に落ちていないのか?否、水音がした。)
すると、沈んでいるのか?川へ落とした男達は全員アップアップしながら流れていくのが確認できるが武尊だけ見えない。
「ちっ。」
蒼紫はコートを脱ぐと川をめがけて飛び込んだ。
別に操がいては嫌なわけではないが、かつて自分が関係した所をゆっくり回りたかったので今朝は操がついてきてないのを確認し葵屋を出たつもりだった。
が、その武尊をじっと見ていた蒼紫がいた。
蒼紫は禅寺へ向かうと見せかけ、今日は葵屋の外で武尊を見張っていた。
昨日、翁の話にもあったが、昔の敵は今の敵だとは限らない。
今戦う理由もない。
が、抜刀斎の時もそうだったが京都に来たのには何か目的があるのかもしれない。
今回の志々雄のように裏に何者かが潜んでる可能性もなきにしも在らず。
ただそれだけは確認しなければと思っていた。
俺を待っていてくれた場所・・・ここを二度と危険にさらしてはいけない。
葵屋を守るのが俺の務めだ。
「今日は嵐山のあの庵をみてこようかな。」
あれから十年、もしかしたらそこはもう朽ち果てているかもしれない。
若しくはだれかが住んでいるかもしれない。
若しくは、兄様が帰って来ているかもしれない・・・。
・・・・・・そうしたら今度こそ鷹の事を言おう。
そう思った。
渡月橋を渡り桂川の少し上に向かう。
川べりぎりぎりの獣道を行けば山の中に向かう庵がある。
が、その道に最近人が入った形跡はない。背丈ほどの草をかき分け武尊は進む。
「やっぱり、無人なのかな-。」
登っていくと草ぶき屋根の上にも草が生えて変形している小さな庵が残っていた。
周辺も草は生え放題生え、誰も訪れる者もない事を物語る。
武尊は入り口の草を踏み固め庵の中へ入った。
戸を開け、空気を通し、床の埃を払い、灌漑深く天井を見回す。
「しっかし、よく残ってたよね-、今にも崩れ落ちそうだけど。」
少しだけ穏やかだった生活を思い出し『ふふふ』と笑う。
ボロだけど日の当たる縁側は侘び寂びの境地だ。
「気持ちいいからここで座禅を組んでみようかな。」
もう暑くない秋の日差しに風が武尊のうなじを駆けて行く。
その自然の空気、気を体内に取り入れ、丹田、そして背骨を駆けあがり頭のてっぺんに廻す・・・。
先日から座禅を組んで【気】が充実していくのが目でわかるようになってから武尊はそれが面白くなっていた。
友達もいない、パソコンもない、本はあっても読めない、趣味も娯楽も金もないこの時代で座禅は武尊にとって楽しみになっていた。
瞑想・・・・・。
日に日に気の量が増えていく。
今日は昨日より遠くへ飛ばしてみるか。
距離10m、目標ススキのてっぺん。
愛銃ワルサ-P99の代わりに人差し指に気を溜め・・・
(撃て!)
昨日よりも大きなピンポン玉ぐらいの気の塊がふわふわ~~~~~と飛び、狙ったススキの頭を揺らした。
「ん~、狙いはいいんだけど威力とスピードがねぇ-。」
もう一度狙って・・・・。
武尊が獣道を通っていたころ、離れて後ろを追う五人の男。
「間違いないねぇ。あの顔の野郎だ。」
「なんで今頃こんな所にいるかわからねぇがここで会ったが百年目、じゃなく十年目か。」
武尊を町中で偶然に見かけた男達がいた。
幕末、十六夜丸の姿を見ながらも生き残った数少ない者、十六夜丸に斬られて恨みを持っていた。
「でも返り討ちにあったらどうする?奴は抜刀斎並みに強いぞ。」
「見ただろう、刀はもっちゃあいねえ。あんな小柄な奴だったら五人いたら十分。」
「この奥は特に何もないはずだな。山の中で仏さんになっても見つかりもしないってわけか。いいじゃないか。」
そのまた後ろを蒼紫がつけていた。
「何かを企むにはいい隠れ場所じゃないか。だが武尊の跡をついて行くあいつらの顔は間違いなく悪党。京都において事件を起こそうというのなら見過ごせん。確かめさせてもらうぞ、土岐。」
蒼紫は人相の悪い五人組が武尊の部下か仲間で、これから悪だくみを企てようとしているのではと考えた。
何発目か気の固まりを発射した後、武尊は庵に通じる道の下の方からあの、悪意に満ちた【気】が上がってくることに気が付いた。
(何?何でこんなところに。)
だが武尊には恨みを受ける覚えはない。
(ということは十六夜丸の方か・・・。)
気配は数人分。
すり抜けてもと来た道を戻り町にでて助けを求めるか、そのまま巻くか・・・。
いつもの武尊だったらそれが出来たはずであった。
逃げるために立ち上がった途端、くらっときた。
(!?)
何故?
そう言えば昨日も気を飛ばしていたら急に眠くなっていつの間にか意識を失っていた。
(もしかして、気をとばすと何か影響がある・・?今気づいても・・っていうか、、ヤバイ・・・?)
ようやく縁側に立ち上がった時、丁度男達も庵に着いて目が合った。
「優男さんよ・・・、あの時は世話になったな。」
いかにも、というお決まりのセリフを吐いた男だった。
(やっぱり十六夜丸か!何でこんな時に・・タイミング悪すぎ。)
武尊は泣きたい気分になった。
(くっそ~、十六夜丸に会ったらスリッパの裏でたたいてやりたい!)
そんな事が瞬時脳裏に浮かんだが、目の前の状況にそんな余裕はなかった。
それでも逃げなきゃっと思うが、動きが鈍い。
庵の裏へ・・・。
蒼紫が獣道の上へ着こうとするとき
武尊の叫び声が聞こえた。
「汚い手で私に触れるな!」
「ん?」
蒼紫は胸騒ぎを覚えて走り出した。
目の前には小さな庵。
だが人の姿は見えず。
庵の裏から声がする。
「何ビビッてるんだよ。こっちへ来いよ。刀がないと何にも出来ないのか?たっぷりお礼をしてやろうっていうのによ。」
刀やドスを持った男達が武尊ににじり寄る。
だが、飛び掛かれない。
なぜなら武尊が立っているのは崖で下は桂川。
下手に踏み込めば落ちてしまう。
だから男達は武尊を取り囲みじわじわと近寄る。
もう、捕まる・・。
と思った時、武尊は後ろへ飛んだ。この高さなんて北海道のあの崖の高さに比べたら全然なんてことない。泳いで逃げよう、と思いながら。
「こ、こいつ!」
「飛びやがった。」
男達が崖下を覗き込む。
その背後から
「おい・・・お前たち何をしている。」
気配もなく近づいた蒼紫に
「てめぇ、何者だ!」
「面倒くせぇ、この伊達男もやっちまえ!」
と言い襲い掛かる。
が、次の瞬間全員が蒼紫の拳法によって崖下へ落とされ川の中へ落ちて行った。
「土岐!」
上から川面を見渡すが土岐の姿が見えない。
(川に落ちていないのか?否、水音がした。)
すると、沈んでいるのか?川へ落とした男達は全員アップアップしながら流れていくのが確認できるが武尊だけ見えない。
「ちっ。」
蒼紫はコートを脱ぐと川をめがけて飛び込んだ。